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カレーライスisブラックホール

「カレーはやっぱりチキンカレー」というセリフを言ってなんか聞いたことあるよなぁーと思って調べてみると、某ドラマの中で何度も繰り返し使われていたセリフだった。
食べ物が関連してきたときの記憶力はすこぶる良い。きっとどんな食べ物にも思い出がつまっている。それくらい食と人生というのは通じているのだ。

カレーライスという食べ物は実に奥が深い食べ物だ。カツを乗せたり、目玉焼きを乗せたり、シーフードを混ぜてみたり、カレールーを使ったり、使わなかったり。おふくろの味はカレーライスという人は多いと思う。事実、僕は色々な家庭でカレーを食べさせてもらったが、一人として同じ味はなかった。

面白いのは、北海道で食べたクマ肉を使ったカレーライスだ。これはなかなか食べられない。レトルトで売ってはいるが、幸運にも実際に処分された熊の肉を使ったカレーライスを食べさせてもらえる機会があった。ジビエが苦手な方は食べられないと思うだろうが、決してそんなことはない。むしろ臭みなんてほとんどなかった。

その家庭はカレールーを使用しない、いわゆる昔風なカレーだった。食べ歩き旅をしていると、最近はルーを使わないカレーになかなか出会えない。僕が他のいわゆる食べ歩きの方々と違うのは、行く場所行く場所の一般家庭にお邪魔させていただいているというところなのだが、まず一般家庭でカレーライスといえばカレールーは必須だ。

しかしその家庭で食べたのは間違いなく野菜や肉でコクのあるブイヨンをとって、スパイスを調合したカレーだった。いい意味で「カレーライスらしくなかった」のである。どうやってあの臭みを出さずにあれだけ濃厚な芳醇なカレーが出来たのか、今考えてもまったくわからない。また食べたいと思える一品だ。

家庭の味が、その地域の味である。各地の名産品を使った至極の一品をレストランでいただくのも贅沢だが、地元の人が慣れ親しんでいる味を地元の人の家でいただくというのもこれがなかなか乙である。

僕がこれまでで一番美味しかったのは、ホロホロ鳥を使って作ったチキンカレーだ。これはとてつもなく美味い。ビーフカレーやカツカレーを1馬身差以上引き離して美味い。まずこのホロホロ鳥。専門で育てていらっしゃる石黒さんという方の鶏である。実際に農場へは行けてないのだが、ネットで注文して取り寄せさせていただいた。

他の鶏肉が霞む。というと他の養鶏場の方々に失礼に当たるが、それくらいの味の衝撃。食感の衝撃。これが鶏か!と思わず舌を巻いた。

カレールーは使わず、自分で研究したスパイスでカレーを作りいざ実食。うん…美味い。完全にホロホロカレーだ。チキンカレーではなく、ホロホロカレー。絶対に生きてるうちに石黒さんの農場に行って、直接お礼が言いたいと思う。こんな鶏を育ててくださってありがとうございますと。

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