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バッタがカチコミに来た話
帰宅しようと駐輪場に行ったら、私の手のひら程もある特大のバッタが私の自転車の隣で徘徊していた。
私は虫が世界で1番苦手なので、ノッソノッソと歩くバッタを見ながら、自転車の鍵を握りしめて立ち尽くすことしか出来なかった。
バッタが退いてくれないと自転車に乗れない。
しかしバッタは私の自転車のスタンド部分で立ち止まり、足と触覚?で確認したあと器用に私の自転車を登り始めた。
想像以上の速さに焦った私は思わず「おいおい待て待て待て待てやめろってそれはダメだろお前じゃこいつは乗りこなせないって」とバッタに話かけて説得しにかかった。
はたから見たらバッタに話しかける不審者であったが、本人は至って真面目である。
しかし種族の違いからか言葉が伝わらず、バッタは峠を攻めるヤンキーのように私の自転車を登っていく。
まさかバッタがカチコミに来るなんて思わなかった。
ディズニープリンセスだったら動物とおしゃべりできるのに。
こんなにも己がプリンセスでないことを悔しく思ったことは無い。
埒が明かないので、仕方なく恐る恐る自転車のカゴを持って揺らすと、振動が伝わってバッタは屋根の上へと高く飛んで行った。
バッタ相手に20分ほど格闘するなんて誰が予想出来ただろうか。
私は達成感と疲労感を同時に感じながら、まっくろくろすけを見せるメイちゃんのように「お姉ちゃん!!クソデカバッタいた!!」とLINEで画像と共に報告した。
すると動物に詳しい姉は即座に「ショウリョウバッタだね。色もあるからメスだね。可愛いね〜」と返信してくれた。
画像1枚しか送ってないのに即座に判別できる姉の知識量に素直に尊敬の念を抱いた。
正直、虫とは分かり合える未来が見えないけれど、クソデカバッタのおかげで姉を更に尊敬することが出来たので、姉の力を発揮させてくれてありがとうと感謝した。
二度と私の前に現れないで欲しい。
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