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ゆさぶり発問        ~子どもへの寄り添いと教師の指導性~

2時間続きで生活科の授業を参観したことがある。                         

1時間目、子どもたちは、学校が地域の人から借用している畑で、チューリップの球根植えを行った。子どもたちは、互いのチューリップの球根を見せ合ったり、「これがチューリップになるの?」「早くチューリップが咲くといいね!」などと話したりしながら、楽しくにぎやかな雰囲気の中、球根植えは行われていた。

その様子を見ていた多くの参観者は、子どもたちは、たくさんの気づきや発見、驚きがあっただろうな、次の時間、どんなことを発表するのかなと楽しみにしていたことだろう。

2時間目、教室での授業が始まる。       授業者が導入で提示したのは、子どもたちが球根植えを行っている写真であった。

子どもたちが、一生懸命、球根を土に植えようとしている様子がうかがわれる1枚である。

写真を提示した後、授業者は次のような発問をした。

「チューリップの球根を植えて、何か気づいたことはありませんか。」

子どもたちは、活発に発表するだろう、と思いきや、発表したのは、一部の子どもたちだけあった。出された内容は「土が冷たかった。」「ミミズが出てきた。」「〇〇くんの球根が大きかった。」などと幅広く、子どもらしい素直な内容であったものの、授業者の考える展開にはなかなかつながらなかった。             

授業者の導入のねらいは、チューリップがいつ咲くのかに興味をもたせ、調べたり話し合ったりする気持ちを高めたかったのであるが、うまくいかなかった。

この授業の導入の問題点は何か。

「チューリップの球根を植えて、何か気づいたことはありませんか。」という最初の発問の妥当性を考えてみる必要がありそうだ。

もしかしたら、この発問自体が、畑いっぱいに咲くチューリップの花に思いを寄せている子どもたちに寄り添ったものではなかったかもしれない。

例えば、はじめ、子どもたちの「球根植え体験」の感想を教師が共感しながら聞く。その中で「花が咲く」という話題を取り上げ、以下のようなゆさぶり発問を行うもの一つの方法である。

「明日、チューリップの花は咲くかな?」   子どもたちは懸命になって否定するであろう。

さらに子どもたちをゆさぶる。       「じゃあ、来週になったら咲く?」     「本当に春になったら咲くの?」

このようなゆさぶり発問をしていくと、子どもたちの自信はゆらぎ、確かめてみたい、調べてみたいという気持ちになると考える。様々な生活経験をしていると思われるので、より多くの子どもたちが授業に参加しやすくなる。その中で、今まで表面的な理解をしていたものが、深い理解につながってくいくと考えられる。

導入で子どもたちの学習意欲を高めるためには、子どもたちの気持ちに寄り添いながらも、教師の指導性のある「ゆさぶり発問」をすることが大切である。






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