定番の指導技術等の使い方
1 多用された指導技術・指導言
県外の算数研究会で、3本の授業を参観した。
共通する指導技術・指導言がいくつか見られた。
最も多用された指導技術は、「わざととぼけて見せる」ことである。
子どもの理解を確認するため、子どもの言語活動を活発にするため、子どもの思考をゆさぶるためと、ねらいは様々である。
よく聞かれた指導言は、以下のものである。
「当てられたら困る人?」
「○○さんの気持ちが分かる人?」
「隣にお話ししてごらん。」
「○○さんの言ったこと分かるかな?」
これらの指導技術・指導言は、よく使われる定番のものばかりである。
しかし、次の疑問が残る。
今回共通して使われた指導技術・指導言は、果たして有効であったか
他の授業を見て、同じ疑問をもった参観者もいると聞く。
2 指導技術・指導言の乱発?
誤解を恐れずに言えば、「定番である指導技術・指導言を乱発した授業になっていたのではないか。」ということである。
「わざととぼける」という指導技術を使わなくてもいい場面も多く見られた。子どもたちの表情がそれを物語っていた。「先生、わざとやらなくてもいいよ」「そんなこと みんな分かっているよ」「もっと他のことを考えたいよ」という子どもたちの心の声が聞こえてきそうな場面もあった。
指導言に関しても同じである。
◆先生「当てられたら困る人?」
◇子ども「当てられたら困るも何も、何が話題になっているのか分からないよ」
◆先生「○○さんの気持ちが分かる人?」
◇子ども「考え方が分からないので、○○さんの気持ちは分からないよ」
◆先生「○○さんの言ったことが分かるかな?」
◇子ども「説明が分かりづらいので理解できていないよ。」
指導技術・指導言の乱発は、子どもたちの思考の混乱を招くことにつながると感じた。
3 比較して分かる指導技術・指導言の使い方
その点、〇〇先生の授業は大変参考になった。
どうしても理解をそろえないといけない場面、ゆさぶりをかけることで理解を深める場面、子どもたちの考えが分かれた場面で明確なねらいのもと、指導技術・指導言を使っていた。すべて本時の授業のポイントとなるところである。
授業のポイントが分からないと、指導技術・指導言を有効に活用できないことを改めて実感したところである。〇〇先生と他の授業を比較できたからこそ、実感できたことである。
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