「メンツ」を考えることは、相手の立場や状況、心情を考えること ~「おっさんはメンツが8割」~
「これからの会社員の教科書」(田端信太郎著)の中に「おっさんはメンツが8割」という項目があります。
給料が上がりも下がりもしないおっさんは、自尊心を守ること、つまり、「メンツ」を守ることを大事にし、周囲に「自分は価値ある存在」と思わせたいと考えているということです。
「おっさんはメンツが8割」
この言葉だけとらえると、「おっさんって面倒くさいなあ」「だから若い人から疎まれるんだよ」「仕事の効率化を妨げている要因だよ」などと思う人も多いかもしれません。
確かにそのような一面もあるでしょう。
過度な根回しや忖度は、周囲を疲弊させるだけではなく、生産性向上の面でも弊害になることが多いと思います。
しかし、「メンツ」を考えることは、「相手の立場や状況、心情」を想像することにつながります。
相手の立場や状況等を想像することは、仕事をする上で、欠かせないことだと考えます。その人を重んじることにもつながるものです。
指導主事一年目の話です。
私は、先輩指導主事にアドバイスをもらいながら、学力向上で成果を出している学校の傾向をまとめ、汎用できる取組を整理した冊子を作成しました。
当時の私のレベルですが、我ながら「この冊子は各学校でも使える!」というものができたと思います。
私は出来上がった冊子を課長に見せ、ある程度の評価をもらいました。
しかし、私は失敗してしまったことに気付きます。
それは、最終的に出来上がった冊子を、先輩指導主事より、先に課長に見せてしまったことです。
自分の業務を中断し、積極的にアドバイスをくれた先輩指導主事の立場や心情を十分に理解していれば、真っ先に先輩に見せていたと思います。しかし、未熟な私は「先輩は大体分かっているからいいやという気持ち」、そしとて何よりも「評価してもらいたい気持ち」が強かったせいで、先に課長に見せてしまいました。
今では、課長に先に見せるにしても、先輩に一言必要だったと考えています。
先輩指導主事と飲んだ時に「少し寂しかったなあ」と冗談交じりに言われたことを今でも覚えています。
この例は先輩指導主事の「メンツ」をつぶした事例にはならないかもしれませんが、「相手の立場や状況、心情」を想像することの大切さを学んだ出来事でした。
相手の立場や状況、心情などを考えて、関係する人に「先に見せておく」「先に意見を聞いておく」「先に相談しておく」「先に報告しておく」「先に伝えておく」こと等は、先輩や後輩、上司や部下などに関係なく、とても大切なことだと改めて思っています。
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