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附属学校の学校改革を考える

大分大学教育学部附属小学校の「学校改革」について書かれた学校改革スタートブック(学陽書房)を読み始めた。

50項目以上の業務を見直し、残業を激減させ、全員が早く帰れる学校を実現した経緯や取組が詳しく書かれているようだ。

附属学校の使命や業務は、公立学校と違うところが多い。私の知っているいくつかの附属学校においては、一昔前まで平日10時まで教室に明かりがついているのは当たり前、午前様で帰宅し、早朝から勤務という時代もあった。

書籍の中に次のような記述がある。

研究主体の学校であったため、それまで築いてきた成果が大事にされ研究成果が守られきた半面、年次の上の者の発言や取組は絶対視され、これまでやってきたことに異を唱えることや見直しに着手することは非常に困難になっていました。

自然と前例踏襲が当たり前となり、さらに新しい業務内容も増えるため、業務内容がパンパンになっています。年次の教員が帰るまで帰れず、年次が上の教員が出勤すれば出勤しなければならないという忖度が働きます。行事や研修・授業計画・指導案審議等の日常の業務も年次が上の教員のОKが出るまで前に進められませんでした。

誰一人手を抜いていたわけではありません。むしろ、一生懸命に築いてきたものを守ってきていたのです。【P21】

他県だが、その県ではだれでも知っていると思われる附属学校出身の重鎮の校長先生が、次のような話をしてくださったことがある。

「附属には、「附属プライド」というものがあり、それを守ろうとする意識も働く。喧々諤々の議論をする中で鍛えられたという自負もある。これらのプライドは大切と思う。しかし、そのプライドを勘違いしないようにしなければならない。プライドを守ること目的化してしまい、井の中の蛙になる人もいる。公立学校においては、はるかに勉強している人は山ほどいる。附属の使命が果たされていない研究、研究の広め方になっている、時代に合わない年次の先生がいることで、附属の力が高まらない、そのプライドで同僚をつぶしてしまう、公立学校に転勤したとき、子どもたちの実態に合わせた学級経営や授業ができない、管理職となり、一部のついてこれる人のみ期待をかけてしまう、ということにならないように、自分たちの教育活動を再度見直し時期にきている。

附属学校に関係した立場にいる身として、この校長先生の言葉は重く受け止めたい。



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