金融教育の低年齢化の背景
生活に必要なお金に関する知識や技能を身に付ける、子ども向けの金融教育が盛んになっている。義務教育においても、日本人の金融リテラシー(お金に関する知識や判断力)の低さを踏まえ、特にここ数年、金融教育の重要性が指摘されてきた。
金融教育が低年齢化する要因はいくつかある。
まず、成人年齢の引き下げである。 詐欺やクレカの使用などに関する消費者トラブルについては、個人での契約が可能となる成人年齢から各段に増えるとのデータがある。個人売買のルールやお金の流れ、契約の仕組み、支払いの方法等を小・中学校から段階的に身に付けさせる必要性があるということだ。
日常にキャッシュレス化の波が押し寄せていることもあるだろう。 小・中学生の中には、コンビニでの買い物では「〇〇ペイ」、スマホゲームの課金ではオンライン決済、フリマアプリでの商品のオンライン売買などを日常的に行っている子どもたちもいる。 「現金」の現物が見えないため、お金を支払う感覚等が、昭和の時代に教育を受けた私とは違うことであろう。
「資産形成」を推進する国家戦略もあるだろう。 年功序列は崩壊し、預金しても利息は雀の涙ほどであるだけではなく、老後の生活も、もはや年金など十分でなくなり、自己責任での資産形成が求められる社会になってきている。 非課税制度のあるNISAやiDeCoなどの対象の拡大、投資額の増額等もあり、国家としても投資等を推進している傾向がある。
金融教育は、社会に「目に見えて」直結する大切な教育であり、義務教育においても、優先順位を高めて行うことが必要であると考える。