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世界で一番をみた日 サイトウキネンフェスティバル リハーサル見学

どうも、こんにちは。
【株式会社自分の履歴書】では、僕の過去について振り返ろうと思います。僕の経験をつらつらと書いていくことで、誰かの人生が少しでも良くなったらいいな、なんて思っています。

今から約1年前、一人の音楽家が急逝しました。その人は、高校時代から僕の師匠・メンターとして僕に色々なことを教えてくれた人でした。先生(そう呼んでいるので以下、先生)が僕にくれたものは数え切れない程たくさんありますが、その中でも大切な一つがサイトウキネンフェスティバルのリハーサルを見学させてくれたことです。今日はそのことについて書いてみます。

吉祥寺駅に朝5時集合

サイトウキネンでファビオ・ルイージがマーラーの5番を振った年、僕は高校2年生でした。管弦楽部に精を出していた頃で、部長としてクラシック音楽の日々に明け暮れていました。

その年の夏休みのある日、突然先生からメールが。
件名:明日 
本文:サイトウキネンのリハーサル来る?めちゃくちゃ上手いよ
ちょっと何を言っているか分からなくて、僕はこう返信しました。
件名:Re 明日
本文:いつですか?

急すぎて件名の「明日」が目に入らなかったわけですが、何やかんやで同じ高校オケのOBで指揮の勉強をしている先輩の車で部員数人を連れて、翌日松本まで行くことに。
リハーサルは午前中からだったので始発で吉祥寺まで向かって、そこから先輩の車で松本に向かいました。

ファビオ・ルイージ

途中、SAで休憩しながら順調に松本入り。リハの開始時間までに会場のキッセイ文化ホール(長野県松本文化会館)に着きました。
関係者入り口から入ると、後ろに一台のタクシーが。そこから出てきたのが指揮者のファビオ・ルイージでした。今でこそN響の主席指揮者となっている方ですが、その頃は「すごいんだろうな」ぐらいの認識でしかなく、あんなに近くでマエストロの姿を拝見できたのは今考えると貴重な経験でした。

カタコトの日本語で「ヨロシクオネガイシマース」と挨拶するマエストロを見て、巨匠なのに結構気さくな人なんだな、と思いました。

ちなみにですが、サイトウキネンフェスティバルは小澤征爾が主催する音楽祭で、そこで演奏するサイトウキネンオーケストラは世界一のオケと言っても過言ではありません。この音楽祭のために、日本のトッププロはもちろん、ウィーンフィルやベルリンフィル等の世界を代表するオケで首席を務める音楽家達が集まります。
野球で言うと、WBCに出場する各国からさらに選手を絞り込んでベスト9を作るようなものです。そこに、先生も出演していました。

ハイドン交響曲第82番 熊

午前中はプログラムの前半の「熊」のリハーサルでした。まず度肝を抜かれたのがリハーサルが始まる前のアップ。音楽家達がそれぞれ音出しをしているのですが、とあるバイオリンの方の音階(誰もが通る基礎練習の一つ)が美しすぎて、それだけで1000円払いたくなるくらいでした。
リハーサルが始まると、ハイドンなので編成も小さく、その分各楽器それぞれの音がよく聞こえました。自分が高校のオケで演奏するのとは全く違う、淀みのない音楽の流れと全く雑味のないハーモニー。プロフェッショナルという言葉が意味する本当のところを思い知らされました。

一つ印象的だったのが、ファゴットという楽器がソロを受け持つところで何度も何度も繰り返し練習をしていた場面。限られたリハーサル時間の中で一人だけに演奏をさせるのも驚きでしたし、最初に吹いたので十分素晴らしいのに何かニュアンスが違かったのでしょう。マエストロが納得するまで徹底的に繰り返していました。
もし自分が指揮者だったら、何か違うと思っても、世界一の奏者を前に「それでいいと思います」と言ってしまいそうな所ですが、そうはならないのが本当のプロフェッショナルなのでしょう。最後にマエストロが納得した時、他のみんなが拍手して奏者を称えていたのも「いいチーム」の雰囲気を感じれました。

そんなこんなで午前中が終わり、お昼を食べて午後に移ります。
午後はマーラーが作曲した交響曲第5番のリハーサルですが、ここで僕は更に衝撃を受けることになります。

今日は長くなったのでこの辺で、続きはまた明日にしましょう。

-----------------------------------------------続く

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