俳句(丸木美術館・原爆の図)

天にも地にも救いなき原爆ピカ浴びし身に

ミリでも良し楽になりたし口ひらく

赤児あかご黒く煤けて死ねり握る手は

背せな爛れて毛羽立つ際きわの白き肌

せめて大文字に死なせよ不慮ならば

一握の水失せてゆく燃えし身に

朽ちし身を軍刀輪切るには鈍し

陰ほとも乳ちも燃えて枯木の骸むくろなる

足と足の間に乳房あり骸累積

瞑目せざる黒目を歩く蛆白き

殺戮の怒り後より来る徹底

向日葵に火は点かずそれに埋もれて死す

まとへるものを拒みて腕を上げて死す

手足垂れし人形つまみ顔欠け裸女

口が他の口咬み髑髏山積図

髑髏山より節くれの指天向けり

熔けし皮膚も爆風覆うには脆し

死女の頭ずを踏み佇たつ泣子なくこ尊厳とは

閉じし口開く口ある死屍累図

子は丸く死ねり末期の乳ちも吸はず

原爆図オッペンハイマー自害せず

丸木美術館職員談笑沖縄忌