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俳句(いくつかの花火)

犬殺し紫の血を黴の上

忍耐の果なる放火苔の花

夕涼み持ち合わせなき死後の顔

冷房下仕事押し付け合い時報

うるわしき乙女のイビキ冷房車

窓の向こう他界の花火炸裂す

命日かもしれぬ日を生き庭花火

水バケツひとり花火のあとの庭

大花火直下のたこ焼き屋が無人

真夏日や終日時計見続けて

ブルーベリー楊子に刺してその変色

花火見る闇も美醜を裏切らず

一斉に口あけて見る大花火

大胆に花火呑み込む闇は闇

百合落つる位置の背表紙禁書室

きれいな石窓辺に置いて遠花火

大花火長きコードを浮き彫らす

夏の火事平気な場所で眺めけり

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