見出し画像

仮面ライダーギーツ第30話『慟哭Ⅵ:手紙の中の王子様』感想

◆アバンの雑記パート

・迫る資料性博覧会16新刊締め切り

というわけで迫る資料性博覧会16、新刊の入稿締め切りは4月20日ということでただいまスパートをかけております。迫る締め切り、みんな新刊のお知らせしているということで次回のギーツ感想では新刊表紙のご報告をしたいです。

5月3日は中野サンプラザで僕と握手!そしてそして

現在、参加者募集中の語ろう中田ヒーローズ。まだまだ参加者募集中ですのでよろしくお願いします。


◆仮面ライダーギーツ第30話『慟哭Ⅵ:手紙の中の王子様』感想

脚本:高橋悠也 / 監督:杉原輝昭

・衝撃の事実が明かされ、アイデンティティが崩される。

光聖が縋った完璧な未来は崩壊した

前回より開幕したジャマトグランプリ第3回戦『闘牛ゲーム』。バッファ提案のゲームにて突如ベロバより衝撃的な事実が明かされた。

鞍馬祢音はこの世界には実在しない、女神に作られた存在である。

11年前の誘拐事件、鞍馬家の本当の娘である鞍馬あかりが死亡。
そして光聖はデザイアグランプリのスポンサーになる代わりに『完璧な娘・祢音』を願った。反転するオーディエンス、激高するギーツは怒りに任せルークジャマトの肉体を観客席のベロバへ向かって蹴りこんだがそれも防がれてしまった。
勝ち星はお互い1対1。勝敗は明日のナーゴVSバッファ戦に持ち越される事になったのだが、ベロバの精神をたたき折るためだけに秘密を暴露する行為に思うところがあった道長は『俺は降りる』と宣言。目的のためには何だって利用する、だが彼はここまでの道筋が薄汚れており誇れる物ではない事というのを自覚していた。だが、ここまでいくらでも自覚して引き返せるタイミングがあったはずなので彼は目的を優先しすぎて選択を間違え続けた存在なのだと思う。

さて、今回衝撃的な事実を知った祢音は鞍馬家に戻り母であるはずの鞍馬伊瑠美に真実を問いかけていた。伊瑠美は娘の『本当の娘じゃないんじゃないか』という疑問を冗談の一種として捉え流すのだが全てを察した祢音は伊瑠美に自身のIDコアを触らせた。
その瞬間、11年前まであったあかりの記憶を呼び起こされた伊瑠美は錯乱状態で祢音を拒絶。この家に自分の存在の根拠となりうるものは存在していなかった。全部嘘ならよかったのにと涙を浮かばせる祢音の顔が切ない。

一方のキューンも光聖の元に真意を問い詰めに向かっていた。
重大な秘密を墓場まで持っていくつもりだった光聖。キューンに『それでも父親か』と激高され、糸が切れたかのように11年前の自身について語りだす。娘はあかりただ一人。それは自分の愛と共に死んだ。
最愛の娘・あかりを生き返らせる事ではなく新たな娘・祢音を願ったのは『最愛の娘を失った記憶を抱えるのは耐えられないし、作られた娘も愛せるはずもないからすべてを作り替えたかった』からだった。あかりの死を忘れる事を選択できなかった光聖は鞍馬財閥のために理想の娘を作った。
なにもかもが光聖が抱えてしまった弱さによってできた理想だったのだ。
だがその理想も決裂し、その結果伊瑠美は二人の娘の記憶に挟まれ動揺し祢音も鞍馬の家を出る事になってしまった。
祢音は本当の愛を欲しがっていたのに全ては光聖の弱さによる理想の上で成り立っていた。祢音の幸せを願い、怒りをぶつけるキューンに光聖は改めて鞍馬財閥の発展のためと言い、『祢音を支えてみせろ』と交際を迫った。
鞍馬財閥のためという大義名分を掲げてはいるが、これは光聖なりの罪の清算の仕方のような気がする。
娘の死の記憶を背負い、すべてを作り替えるために生み出した娘も結局心から愛する事ができなかった。ならば本当に愛してくれる存在に彼女を託せばよいのでは?という彼なりの『親心』といえるものなのだろう。
あまりにも孤独、そして罪深い。
当然ながらそんな父親の願いはキューンに拒絶されてしまった。

刻一刻とナーゴ公開処刑が迫る中、ツムリはチラミに秘密を知っていたのかと問いかけた。もちろんチラミは秘密を知っていたのだがベロバによる暴露行為は想定していなかった様子。
ツムリはこの悲惨な状況に見ていられないと目を瞑る。

「目を背けちゃダメ、参加者の理想を見守る務めがナビゲーターのアンタにはあるんだから。」

どんな過酷な状況でもナビゲーターにはすべてを観測する義務がある。
しかしながらツムリ同様に中立に、公平的に見守り続けたかつてのナビゲーターミツメは果たしてどうなったのだろうか?

・ナーゴ公開処刑が迫る中で明かされる本音。

聖 獣 キ ュ ー ン

オーディエンスルームにて祢音への手紙を書こうとするキューンの元に英寿がやってきた。
『そこで何している、ナーゴのサポーターだろ』そんな厳しめの言葉に感情表現ができず、煮え切らない態度を見せるキューン。衝撃的な事実が明かされ、推しが残酷な状況に陥る中で躊躇うのは仕方のない状況だろう。そんなキューンを『所詮傍観者』と切り捨てる英寿はあえて彼を焚きつける意思があったのだろう。

―—ナーゴに同情して3.5次元の感情を味わってそれで満足か?
――彼女は人間だ、誰かの自己満足のために居る偶像じゃない。

じゃあどうすればいいんだと言うキューンに英寿は『何もしないなら自分たちの時代に帰ればいい』と告げ立ち去った。英寿の焚き付け行為でコミュ障のオタクくんは祢音のためにどうするか歩む決意を固めるはずだろう。

一方、街で一人彷徨っていた祢音は自身の存在に対し葛藤していだがその隙にダンクルオステウスジャマトに襲われかける。間一髪のところで英寿が助けに入るのだがそれも空しく祢音はダンクルオステウスジャマトに浚われ戦いの場へ引きずり出された。展開されるのは虐殺ショー。葛藤するキューン、そして奔走する英寿の前に道長が現れた。
『ナーゴの対戦相手はお前じゃなかったのか』という英寿の問いかけに知るかと答える道長。

どうせ敗北が約束されている、アイツにとってはヤな事全部忘れられて幸せな結末だろ。

そんな彼の言葉は親友の死に葛藤し、デザグラの数奇な運命に翻弄されながらも死ぬ事が許されていない状況に対する感情もあったのだろう。そんな態度に英寿はベロバと大差無いと断罪するのだが、道長は一緒にするなと反論した。

「デザイアグランプリなんてモノが無きゃこんな事にはならなかった。だから俺がぶっ潰す!すべての仮面ライダーと共に!デザイアグランプリの全てを!」

それが道長の本音であった。
全ては幸せを願う人間のエゴが招いた不幸である。
しかしながら『すべての仮面ライダーをぶっ潰す力』を得ても参加資格をはく奪して再エントリーさせなければ良いのである。たとえデザイアグランプリの対抗馬であるジャマトグランプリ側についたとしてもジャマトグランプリを終わらせたベロバに切り捨てられればおしまいなのだ。
やはり吾妻道長は目的に対する手段のため死してなお運命を間違えて行ってしまったのだ。もし、彼が、一人でこの運命を終わらせようとする選択肢を取っていなければ、今頃ギーツとも共闘できていたはずなのだ。
だが、それももう致命的に遅い。彼が戻れるビジョンが全く見えないのだ。

そして戦いの場に引きずり出されたナーゴの状況だ。
一方的なリンチが展開される状況で英寿は『戦えナーゴ、勝つしかないんだ』と祈るしかない。
仮面ライダーの戦う原動力は幸せを願う想いの強さ、しかし彼女にはそんな力は残されていない。ようやく祢音はナーゴに変身するも反撃する力もなく攻撃を受け続ける。
仲間たちの『彼女には幸せになる権利がある』『君が生まれた意味だって俺たちが生きる意味だってある』そんな願いは届かず、ナーゴはダンクルオステウスジャマトに首を掴まれ変身解除してしまった。

絶望しかない、その瞬間駆けつけたのはここまで煮え切らなかったキューンだった。サポーターライダーとしての能力でダンクルオステウスジャマト周辺にバリアを張り、祢音に対する想いを告げるべく手紙を読み始めた。
理想の自分をデザインして人生を謳歌できる未来で生きてきたこと、だが誰かの不幸で自分が不幸になるというのをしってしまった事、そして今どんな言葉をかけたらいいか分からないという事、心からの言葉を手紙に紡いでいくのはなるほど、キューンらしいやり方だ…と納得しかけたがここで破り捨てたのが彼の成長なのである。

「君が教えてくれたんだ!幸せかどうかを決めるのは、生まれた境遇じゃない…決めるのは自分自身なんだ!」

だからあきらめるな。いつか本当の愛に恵まれ幸せになれる日がくる、たとえ世界中が敵になろうとも俺は君の味方だ。
手紙の末尾にも書かれていた言葉は心よりのキューンの言葉であり、そんな彼に祢音は胸を打たれていた。そんな光景が面白くないベロバはキューンを排除すべく外部からジャマトを呼びつけるがそうはさせないのが我らが浮世英寿。ナーゴを立て、邪魔をさせないための戦いに挑むのがこの男である。

ここから展開される仮面ライダーナーゴビートブーストフォーム&仮面ライダーキューンの戦いと仮面ライダーギーツレーザーブーストフォームの戦いの同時進行がアツい。
ナーゴはキューンの防護シールドを駆使して縦横無尽に、ギーツはレーザーブーストの重力操作で相手を翻弄していく。そしてギーツは一足お先に外のジャマト軍団を撃破。隙の無さを見せた。
そしてナーゴもキューンとのタッグプレイでキューンの上に騎乗。キューンから託されたレーザーレイズライザーを使い、巨大な槍にダンクルオステウスジャマトを貫く。完全にキューンは聖獣だったしナーゴも女神過ぎてこの瞬間は一種の神話のような映像だったなぁと感じる。
だが撃破するも祢音は力尽きて倒れてしまい、闘牛ゲーム最終戦は引き分けという結果に。

「気にするな、どうせこれ以上不幸になりようがないんだ。あとは幸せになるだけだろ。」

吹っ切れたキューンの言葉は棘がありつつもフォローが効いた優しい言葉であり、しかしコミュニケーションが幼いキューンはまた祢音を傷つける言葉を言ってしまったかと動揺していた。だけど祢音から言われたのは感謝の言葉であり、キューンが自らの発した言葉の意味を自覚できるのは少しばかり先になりそうだ。
そして駆けつけた景和に一緒に帰ろうと呼びかけられるも祢音はそれを拒否。彼女が新たな居場所を認識し、それを受け入れるまではまだ時間がかかりそうである。

・ヴィジョンドライバーに隠された秘密とは

一方、ダンクルオステウスジャマトを回収したアルキメデルはどうにかして蘇生をさせようと必死に水をかけていた。彼にとってはジャマトは腹を痛めて生んだ我が子のような存在。アルキメデル肥料の存在に気づくとのこぎりを手に取り自らの左腕を笑顔で見つめた。
描写はおそらく省かれるのだろうが、完全にホラー映画そのものの構図である。我が子のために左腕がなくなってしまうのかアルキメデル。

そしてジャマトグランプリ陣営の本拠地にて大智がベロバに祢音の秘密を知っていた理由について聞いていた。
ベロバ曰くヴィジョンドライバーには歴代の歴代のゲームマスターが見てきた情報がすべて記録されているという。
道長はそんなやり取りをききもう付き合ってられないとジャマトグランプリから降りると宣言するのだが『ギーツの弱点』を情報として出すと言われ立ち止まった。ここで愛想を尽かした最悪の存在を振り切れないのが吾妻道長が吾妻道長たるゆえんだろう。
そこで知ったのが英寿の母親であるミツメがかつてのデザイアグランプリの運営によって創世の女神にされたという事だった。つまり英寿はずっと母親の力を使い戦ってきたということで、彼の根幹を大きく揺るがず展開になりそうだ。

ところで五十鈴大智についてだが、ジャマーガーデン送りになってから戦いもせず参謀ニコニコムーヴをするだけで世界の根幹情報を大量に手に入れられてるので彼にとっては今がとっても楽しい時期なのだろうなと思った。


◆ギーツ30話コラム

・祢音は異性に父性を見出していた?

本当の愛を探して参戦した彼女は

今回の闘牛ゲームは鞍馬家の真相にまつわるエピソードだった。
鞍馬光聖は『鞍馬家の発展のため』と称してキューンを婚約者として付け狙っており、最終的にキューンはその要求を拒絶した。
エゴのために作り出した娘に父性を与えきれず、外界の遠い男性に娘を託そうとしているのは彼の弱さ故なのだと思う。

愛を与えられない、自分の代わりに愛を与えてくれる男性を見つけよう。
そして図らずとも祢音も光聖が与えられなかった愛を外に求めだしていたのだ。

英寿の彼氏彼女発言だったりゾンビサバイバルゲームで景和に対して本当の愛を見出している祢音の描写だったりで恋愛の方向性に少し引っ張られていたが、鞍馬祢音が探し求めている愛は『父性』のような気がする。だからこそやっぱり祢音は現時点で安易に外界の男性と結ばれるような事はしていけないと思うのだ。少なくとも光聖と決着をつけてからの方がよいと思う。


◆巻末宣伝コーナー

・語ろう中田ヒーローズ2二次募集開始!

さて、巻末は宣伝コーナーとなっております。
現在C102合わせ特撮アクション評論企画語ろう中田ヒーローズ2の参加者を募集しております。
今回は前回もありました『評論部門』に加え中田裕士さんの演じたキャラを描いたりダイマ画像を作ったりする事ができる『イラスト部門』を募集しております!お気軽にご参加ください!

4月より既に参加している人限定部門を越えた応募が可能となりました。6月になりましたら完成原稿のみ受け付ける追加エントリー枠を募集するかもしれませんのでよろしくお願いいたします。

【企画概要】

【応募フォーム】

※現在の参加者一覧はこちらになっております。

・アンケート企画ももちろん実施中!

そしてそして、語ろう中田ヒーローズ2では誌上アンケートも実施中!中田裕士キャラの頂点を決めろ!『中田裕士キャラ総選挙2023』の締め切りは6月30日です!皆様これからもご投票ありがとうございます!

【アンケート回答フォーム】

【投票の参考になったらいいなリンク集】


【運営note】


いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集