見出し画像

木摺り下地中塗土仕上げ(セルフビルド可能)

木摺り土壁という構法がある。この構法は、柱や間柱に杉の細材(幅30ミリ、厚さ15ミリ)を9ミリ間隔で打ち付け、そこに土を塗りつける方法だ。この構法は土と漆喰の厚みが30㎜近くあるので壁が音を吸収するなど、とても重厚感のある仕上げとなる。

中塗り土を塗っている様子

石膏ボードの代わりに木摺り、なんとも贅沢であるがその様子はとても綺麗だ。細い木を柱に打ち付けていくという作業は、石膏ボードを貼るよりも数倍の手間がかかる。木摺りを打ち付ける際には、パネル化をする方法もある。事前にパネル化することで、現場での時間を短縮することができる。60センチほどの高さで継ぎ手をずらしたり、建具枠の縦ラインで継ぎ手を設けないなどの割れを防ぐための工夫も大切だ。

木摺り施工状況

土の準備
土はあらかじめ練っておき、発酵させる必要がある。発酵土はなんとも言えない臭いを発するが、これは藁が発酵する過程で生み出すものでこれがないと良い壁にはならない。その配合は以下の通りである。
発酵土の配合
・中塗り用土 バケツ1.5杯(土は中塗り土として販売されているものが良い)
・藁スサ バケツ4杯(中塗り用の藁スサでよい)
・砂 初めにバケツ3杯(調整で1杯追加。関東の砂は黒く、名古屋の砂は白い)
この発酵土を使って中塗り用の土を作る。
中塗土の配合
・中塗り用土 バケツ1
・砂 バケツ2.5杯
・藁すさ バケツ1杯
・発酵土 バケツ1杯

発酵土

まず初めに下塗りである。下塗りには漆喰かハンダ土を7mm塗り付ける。今回はハンダ土を採用した。(ハンダ土というのは、同じ名前で販売されている淡路島の中塗土のハンダ土のことではない。中塗り用の土に土佐漆喰か漆喰を混ぜた土のことを言う。)
ハンダ土の配合
中塗り土バケツ1杯
土佐漆喰バケツ20%
(土佐漆喰の代わりに消石灰でも良い。ただし消石灰は練ってから入れること)
すさ一つかみ

ハンダ土の混煉

次は仕上げとなる中塗りだ。下塗りが完全に乾いたら中塗り土を8mm塗り重ねる。この時、あらかじめ噴霧器で十分下塗りを湿らせる。これは中塗土の急激な乾燥を防ぐためである。8mmを塗りつける時には2回に分けて塗ることが大切だ。その方が厚みを均一にしたり、仕上げを綺麗にしやすい。午前中から塗りつけたら、夕方もう一度噴霧器で表面を湿らせて鏝で抑えると表面がしまって良い。土の配合は砂の量に要注意である。砂が少ないと割れるのだ。この量の調整を塩梅という。これは素人には難しいけれど、ノープロブレムな精神の持ち主ならセルフビルドでも施工可能である。ぜひ挑戦してみてほしい。

本社トイレの中塗土仕上げ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?