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小説「真夜中の訪問者」

静寂に包まれた深夜3時。突然、玄関のドアをノックする音が響いた。驚いて目を覚ました私は、恐る恐る玄関に向かう。のぞき穴から外を覗くと、そこには見知らぬ老婆が立っていた。

老婆は黒いマントを纏い、顔を隠すように俯いている。ドアを開けると、老婆はゆっくりと顔を上げた。その瞬間、私の血の気が引いた。

老婆の顔には目がなかった。

「お嬢さん、私の目を見つけてくれないかい?」老婆の声が夜の闇に溶けていく。

私は悲鳴を上げる間もなく、意識を失った。

目覚めると、すべては夢だったかのように朝の光が差し込んでいた。ただ、玄関の床に一枚の黒いマントが残されていた。

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