見出し画像

リージョンの皇帝、シーザーでEDHデッキ構築(邂逅編)

人は、人は過ちを繰り返す。

家に眠っている「巨大なるカーリア」でEDHを始めてみよう、と思い立ったその週末、街のカードショップでは「シーザー万歳」という構築済みのデッキが売っていた。

Fallout、というゲーム事は全く知らないのだけど、
なんかタリスマンとか秘儀の印鑑だったり、個人用セキュリトロン、イエスマンとか必要なパーツがまとめて手に入るもの、くらいの感覚で雑に手に入れたものだった。

買ってきた構築済みデッキの統率者に目もくれず、パーツを抜いてEDHデビューをした、というのはまた別の話なのだが、
つまり看板クリーチャーの能力をろくすっぽみていない状態ではあった。

少し、2000年頃の話をしたい。
ジョンフィンケルがアメリカ選手権を後にフローレスブラックという名前の付いた黒単で勝った時、私はそのリストを秋葉原のビックブルーという店で知った。

その時、「いま送られてきたんだけど、なんでこのリストで勝てるのか全く分からんw」と笑う店員さんから、FAXで出力された紙を見せて貰った記憶がある。
店舗がWebサイトを持っておらず、あっても商品検索が出来ないというのは結構当たり前の話だった。

令和の現代、最新の情報はインターネットは勿論なのだが、4G(多分、加えて5G)回線は、外出先での動画視聴を可能にした。
こと、ファンコンテンツにおいては、
文章よりも動画の方が情報量が多い事がある。

話が長くなったが、FAXでびっくりオジが何を言いたいかと言うと、アシムさんのFallout&デッキ解説動画で「え?シーザーの能力って1回で2つ選べるの?」と言う事を知ったのであった。

アシムさんは、もっと世の中に知られて欲しいという気持ちと、そんな事気にせず、好きなものをトコトン楽しんで欲しいという複雑な思いを抱くんだけど、いつも応援してます。

出典:筆者のお気持ち

では、改めてカードを確認してみよう。

お分かり頂けただろうか・・・。

確かに「以下から2つを選ぶ」と書いてある。

「そりゃ、だったら結構楽しそうだし、強いんじないか?」という思いと、
「やばい、全然カードをちゃんと見ていない」という反省の念を持った。

高校生でリシャポが買えなかった時分、
そんな大人になりたかっただろうか?と自問すると、割と高校時代もバイトで貯めたお金で後先考えずに買い物をしてから考える癖を持っていたような気もするが、
断じて否、カードとちゃんと向き合う人になりたい。
発売セットが多すぎて向き合う時間がない、という気がしなくもない昨今ではあるけども。

という訳で、改めてカードと向き合っていく訳なのだが、、
そうすると、ある事に気がつく。

お分かり頂けだだろうか・・・?(2度目)

信じられない事に、こいつの職業は兵士らしい。
皇帝なのに?シーザーなのに?
兵士なんだって。

兵士、という部族については以前、晴れる屋の記事サイトで若月女史が司令官イーシャを熱っぽく語っていた記事があり、
そこで紹介されたレガシーの白単兵士を組んで、あれこれと調べた事がある。

以前、とか言いつつ10年前の記事だったので割とどうにかなってしまいそうだが、
いずれにせよ、リージョンの皇帝、シーザーは兵士である。
と言う事は、

兵士と言えばでお馴染みの皆さん。

警備隊長が来たら他の兵士と混ざってテンションがアガるし、
カタパルトの達人の能力を使う時は、空気を呼んで他の兵士と一緒にサッとしゃがむ訳である。
陸軍元帥とかが出てきた日には、当然背筋が伸びるので、ちょっと強くなったりする訳だ。

・・・もしかして可愛くない?

言うなれば、ベンチャー企業の社長っぽいとも言えるし、距離感近い系のプレイングマネージャー、とも言える。

うーん、いやわかんねぇんだけどね?
この人も、きっと色々大変な訳ですよ。

だってまず、部下の攻撃をマネジメントする立場な訳でしょ。
そんで、誘発するのが任意のリストラですよ。
ある意味強制じゃないってのも大変だと思うのよね。
誰かにやらされてる訳じゃなくて、信念の下にやることだからね。一丁目一番地ですから。

その後も状況を見ながら、3つの選択肢から選択と集中、という名のエイヤピタピタで迫られる訳だし、そこでワークする人財アセットも多様性に満ちていてる訳ですよ。

左が心理的安全性に一家言ありそうな方で、
右が永遠のSDG’sな生き方を貫きたい方

折しも、前回組んだケネッソスがあまりにも楽しかった事に比べると、巨大なるカーリアは正直なところ、上手く扱えていなかった。

カジュアルに組むとあまりにも大味だし、
ガチで組むと親分から深淵覗き込んでわちゃーって感じの、もう殺意そのものに化けてしまう。

それが楽しいかと言うと、ソリティアとしては楽しいのだけど、今、それを対人で遊びたいとはあまり思えなくて、デッキの強さを上手く制御する事が出来ない。

だけど、兵士なら多少は覚えがあるし、天使やドラゴン、デーモンよりかはマナ域的な意味でプレイアブルなカードが多そう。
以前に比べて、ここ10年くらいで兵士も増えているだろうし、
何より、久々に秀でた隊長を使いたい。

ボードメンバーと近い古参で、偉い人に顔が効くベテラン枠

・・・よし、カーリアを一回崩して、デッキ組むか。
と思って、組んでみたんだが。
・・・どうも、上手く組めた感触を感じる事ができなかった。

基本的には部族としての兵士を重視して、
生贄に捧げるのは変えが効く人材でしかないトークンに勤めて貰う、とすると、
トークン戦略と掛け合わせてパーフォロスとかの戦場にクリーチャーが出た時にダメージを配る置き物で戦っていく、という絵が描ける。

なので、トークンを増やす系をマシマシにして、
あとはなんかやたら強いボドゲ出身の謎の兵士もいるし、デカいのが、なんとかしてくれるだろ。的な感じで構築をした。

強い事しか書いてないオジ。たぶん会長枠。

ただ、どうも遊んでいてしっくり来ない。
やりたい事をやっているはずなのに、
なーんか面白くない、ちょっと違うのかも知れない、という印象を拭えなかった。

そもそも、この試作デッキにおいて黒マナを要求するカードはシーザーを除いて、僅かに10枚。
その殆どは汎用的なカードと言っても差し支えがなく、兵士やトークン戦略を活かすのなら、そもそも黒を抜いて上述の会長をジェネラルにすえる、という選択肢もあるのではないか?と思い始めた。

そう思ったのにはいくつか理由があるのだけど、
まず、宝石の水蓮を強く使えそうだし、
パックから出てきた魔力の墓所も、
会長の方が強く使えそう。という理由。

https://x.com/tw_yukia/status/1775511378985697787?s=46&t=RyNCxnmFOoq9xekJPplihA

手に入れたら使ってみたくなる。
そらそうである。

そして、子供の保育園の保護者会の為に早退し、中野でさっと立ち食い寿司を食べて「あ、そういえば最近、遊Vic全然行ってなかったな。」という感じでふらっと立ち寄った際にショーケースに並んでいた、以下の2枚を見かけたこと。

書いてある事が凄すぎる。
白も相当だが赤も相当で、万が一、この2枚と戦導者の号令が並んでいる状態で警備隊長が着陸すると、トークン3体が9体になり、各対戦相手に50点のダメージになるらしい。

なんだこれ。ってのが第一印象だし、
黒の死体騎士とかコウモリを抜いてなお余りある強化、だと思えた。

試しに赤白にして、1人回しをしてみる。
ジェネラルは会長、アニム・パカルあたりで回してみると、デッキは回る。
回るのだが・・。
しかし、肝心の統率者との一体感が全然ない。

結局のところ、戦場にパーフォロスとか戦導者の号令とかのダメージ配る系と、軍勢の集結がいるかどうかが焦点、という気がしてならない。

ピップボーイ版の告別を引いたから、という理由でデッキに入れてみたり、ドクターフーのパックから出たから、という理由ですべては塵と化すを入れてみたが、どうも、エンチャントは残ってた方が都合が良さそうに見える。

というより、
エンチャントだけが残っていればいい、という気がする。
そして、色は赤と白である。

当然、そんな都合のいいカードは、やはりこの辺りになるだろう。

この時になって、Falloutのサプリセットや、「シーザー万歳」の100枚を選んだ人の意図に気がついた。

そう。「シーザー万歳」は、Falloutというゲームとのコラボ商品であり、Falloutは核による最終戦争が起きた後の世界で遊ぶゲームである。

であるならば、当然このカードは避けて語れないはず、というカードがマジックには存在する。

これ以上にFalloutっぽいカードなんてあるだろうか?

もし、シーザー万歳のデザイナーが、「マジでFalloutのコンセプト通りにカードを選んでいいよ」ってマローに言われてたら、
まずこのカードはかなり初めの方に思いつくと思う。

実際、ハルマゲドンが7版に再録されなかった理由として、宗教的な要素も含まれるので云々、という話があったと記憶しているが、Falloutではピップボーイ版の戦の惨害が看板として再録されている。

だけど、構築済みには、入っていない。

それは、統率者構築デッキは初心者が買って楽しむ為の大切な商品であり、
そんな顧客像を思い描く中で「すべての土地を破壊する」なんてカードのチョイスが肯定される訳もない。

だから、過ちを繰り返さなかった。
という事かも知れない。

でもそれは、長年MtGというコンテンツを愛しているユーザーや、Falloutが大好きなユーザーにとって、ベストな選択と言えるのだろうか?

そんなデッキデザイナーの悩みと本音の葛藤は、
構築済みの100枚の中の、ある1枚のカードに託されていた。

そんな電波を、受信した訳である。(後半に続く)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?