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〇〇、な、小説たち

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2022年10月の記事一覧

針の穴を通すようなこと、早織の朝

針の穴を通すようなこと、早織の朝

小さいころ、秒針が進んでいくのを見るのはなんだか怖くて嫌いだった。でも、1秒1秒刻む針の音を、ぼーっとしながら聞いてるのは好きだった。心臓の音はその位置に触れないと気づけないけど、目を閉じて耳を傾ければ、秒針の音は聞こえる。進んでいく音。時間とともに自分もこの世界に揺られ流れているような、不思議な心地よさがあった。

耳がいいと、よく褒められた。

地元のふれあいプールに行っては、スイミングスクー

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