見出し画像

61年間無期懲役で服役した男性を追った NHK取材班発のノンフィクション『日本一長く服役した男』刊行。

男は何故、61年も服役しなければならなかったのか。更生と刑罰をめぐる、NHK取材班発の密着ドキュメンタリーが、6月19日に発売。

令和元年秋、1人の無期懲役囚が熊本刑務所から仮釈放された。
「日本最長」61年間の服役期間を経て出所したのは、80代のやせ細った男。
出所後も刑務所での振る舞いが体に染みつき、離れないでいた。

一地域放送局の記者2人とディレクター1人の若き取材班は、男に密着取材を始めた。更生の物語を期待し、取材を進めるものの、一向に態度が変わらない男。それでも彼らは、この謎めいた男がなぜ服役し、どう罪と向き合ったのか。
しかし、取材は度々予想外の展開に見舞われる、困難な対話。当初は見送られてきた全国放送の提案。いよいよ放送直前となるも、その日、取材班に衝撃的な連絡が入る。その時、彼らがとった行動とは──。


【目次】
はじめに
第1章 その男との出会い
第2章 偶然か、必然か 取材班結成秘話
第3章 プリゾニゼーションの現実
第4章 裁判記録、その入手までの長い道のり
第5章 日本一長く服役した男“誕生”の秘密
第6章 彼は「ありがとう」と唱え続けた
第7章 刑務官たちの告白 無期懲役囚と社会復帰の理想
第8章 遺族はいま 母との思い出を辿って
第9章 もう一度、問いかけることができたなら
終章 〈鏡〉としての日本一長く服役した男
おわりに
注・参考文献

【著者紹介】
杉本宙矢(すぎもと・ちゅうや)
NHK報道局ネットワーク報道部記者
1989年生まれ、埼玉県出身。早稲田大学文学部で西洋史を専攻し、同政治学研究科では政治哲学を学ぶ(修士)。2015年に入局し、熊本局に赴任。自身の「生きづらさ」を元に幅広いテーマで取材する中、2017年以降、受刑者・非行少年の立ち直り支援を継続取材。勤続2年目に熊本地震に遭遇し、遺族取材にもあたった。2020年から現職で、WEB記事の特性を活かしたデジタル発信の取材・編集手法を探究するとともに、部署の垣根を越えた様々なプロジェクトに携わっている。

木村隆太(きむら・りゅうた)
NHK福岡放送局記者
1992年生まれ、埼玉県出身。早稲田大学文化構想学部卒業。大学時代の2013年から2015年にかけて、中国・北京大学に留学。1年間、対外漢語学院で中国語を学んだ後、国際関係学院の学士取得。2017年4月にNHKに入局、初任地は熊本放送局。熊本で事件・事故をはじめ、再審無罪となった「松橋事件」のほか、新阿蘇大橋の再建など熊本地震からの復旧・復興や令和2年7月豪雨などを取材した。2022年8月から現職で、2023年6月現在、福岡県警担当。

『日本一長く服役した男』
著者=NHK取材班 杉本宙矢・木村隆太
定価=本体1,800円+税


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?