見出し画像

物流会社の運賃値上げ交渉が難航する理由

ここ数年で運賃の値上げに踏み切る物流会社が増えてきましたね。最近ではヤマトが4月3日から10%程度の宅配料金の値上げを発表しています。

それでは企業間物流の値上げはうまくいくのでしょうか?

運賃は過去から見合っていなかった

1990年代に大規模な規制緩和が実施され、運送業への新規参入が推進されました。細かな説明は省きますが、規制緩和の結果として差別化しづらい運送業では価格競争や付帯作業へと傾いていきます。
規制緩和の受益者となる荷主にとってはコスト削減も進みましたが、運送業自体としては低収益・過重労働という業界となりました。

そういった環境が当たり前となった事で物流は完全にコストセンター化しました。そしてコストセンター化してしまったため、構造改革で値下げの原資を生み出すのではなく単純に利益を削って生み出さざるを得なくなったのではないかと推察されます。

今やろうとしているのは、単純な値上げではなく悪しき風習の清算

最近のエネルギー価格高騰が値上げのキッカケになっているのは事実です。しかし、今物流業界がやらないといけないのはエネルギー価格が上がった事を理由にした値上げではなく、そもそもの業界構造を変える視点での値上げをしなければならないのだと思います。

そうした場合、エネルギー価格上昇分以上の値上げが必要になります。過去からの低運賃を前提としている荷主の事業構造からすると大幅なコストアップになる事が想定されます。

まさにここが踏ん張りどころであると同時に値上げ交渉を困難にする理由でもあると考えています。

「エネルギー価格の高騰分の反映は分かるけど、それ以上に値上げしてない?」

と言うのがほとんどの荷主の考えでしょう。ある日突然の値上げ交渉をしてしまうとこういった反応になってしまいます。

荷主担当者が社内で決裁を進めるための外堀を埋めてあげる

Image by mohamed_hassan from Pixabay

荷主担当者は一定の理解をしてくれると希望的観測を持っていますが、社内で決裁を進めるためには一苦労です。
ここは担当者と共にどうやって値上げを実現していくかを仲間として進めていく事がポイントになります。

次回の記事では実際に自分が2年間かけて値上げの決裁を得るために実施した取り組み・プロセスを紹介したいと思います。


Image by StartupStockPhotos from Pixabay


この記事が参加している募集

#この経験に学べ

54,112件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?