詩: 『アリの葬列』

土と砂利

苔と草と花

間を縫って乗り越えてかき分けて

ゆっくりゆっくり

たまに
せかせか
いそいそ

連ねて進む

行列だ行列だ
アリたちの行列だ

周りの虫たちが注目しだす

歩みを止めた
赤い小さな娘(こ)
少し大きな石の上から眺めてる
灰色の甲羅の紳士
葉っぱの上で食事中の青年

行列だ行列だ
アリたちの行列だ

刃の手入れを止めたカマキリ
草の間から顔を覗かせたコオロギ
花の香りに包まれた蝶
丸い眠りから目覚めたダンゴムシ

みんなが見守る

行列だ行列だ
アリたちの葬列だ

列の先には生を終えたニイニイゼミ

アリたちせっせと
命のかけらを送り出す

列の先には埋葬地

小さな入り口に吸い込まれ
土の中へと運ばれる

行列だ行列だ
アリたちの葬列だ

かけらは次の命を紡ぐ

行列だ行列だ
アリたちの葬列だ

行列だ行列だ
アリたちの葬列だ