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エビデンスのある療育ーMD実践編

こちら模倣訓練のみピックアップした形でリライトしました。よろしければこちらも合わせてご参照ください!


はじめに

この記事は前回の続きです。まだ読まれていない方は先にそちらを読まれることをお勧めします。

前回の準備編では、2つのモデリングがあるということや、前提条件などについて簡単に紹介させていただきました。

今回の実践編では2種類それぞれの実践ステップに関して紹介します。

MD実践ー見本として使用する

馴染み深く一番利用されるのは、この見本として提示してそのまま真似して学習するスタイルの方でしょう。このパターンの際には、見本の提示、真似する、強化という流れになりますが、それぞれのステップで必要なタスクがあります。

注意を引きつける

準備編でも注意の持続に関して前提条件になることをお伝えしましたが、実践においてもまず、セラピストの実施するお手本へ児童の注意を向ける事が必要です。

MDを実践する場面において、児童の注意が他に向かないように、例えば目につくところにおもちゃを置かない、人が出たり入ったりするのは見えないようにしておくなどの工夫をしておくと、より注意の獲得がしやすくなります。

整った環境下で実際にお手本を見せる直前に、名前を呼んだり声かけをする事でセラピストへ視線や注意をむけてもらいます。

大袈裟にやって見せる

児童の注意がセラピストに向けられたら、すぐにお手本を見せます。この時に重要なのは、自分でも大袈裟に思えるくらい誇張して対象となる行動やスキルを実演して見せる事です。動作が小さかったり、曖昧は部分があると児童にとっては学習しづらく、大袈裟に思えても一つ一つの動作や発音等をわかりやすく見せる事でより理解しやすい見せ方が可能です。

最初は大袈裟に見本を提示しますが、モデリングを継続し児童が対象スキルを学習していくその段階に合わせ、徐々に大袈裟なものから自然な振る舞いへと変えていきます。

児童の反応を待つ

見本を見せてから何秒以内に反応すれば良いか事前に決めた秒数だけ待ちます。あらかじめ定めた行動の達成条件を満たした場合には、その行動をすぐに強化します。

MD実践ープロンプトとして使用する

プロンプトとしてモデリングを使用することは先の使用法と比較すればやや少ないかと思われますが、プロンプトとして使用することもできます。プロンプトとして使用する場合には詳しいことはプロンプトについて紹介した記事に詳しく書いてありますので、簡単に紹介します。

合図の提示

学習対象となる行動をするきっかけや合図をセラピストから提示する

誤反応、無反応の検知

児童の行動が正反応かそうではないか事前に定めた行動定義に基づいて判断する

プロンプトとしてモデリング

誤反応、無反応などの場合に、プロンプトとしてモデリングを行い、児童の標的行動の使用を促す。

強化

モデリングをした後に、児童が正反応を(見本通りの行動)をした際にすぐに強化する

MD実践ーフィードバック

モデリングの後の児童の行動に応じて、どのようなフィードバックを提供するのか決めます。最終的に児童が、必ず標的行動を実行できるようにすることと、正反応の場合に必ず即時強化します。

モデリング後、定めた秒数以内に正反応をしたか?
┃┗Yes:直ちに強化する(習熟度の向上に合わせて強化子を弱める)
┃
┗No:コントロールプロンプトを提供し、定めた秒数以内に正反応をしたか?
  ┃┗Yes:直ちに強化する
  ┃
  ┗No:別のコントロールプロンプトを使用し、確実に実行できるようにする。

習熟度の向上に合わせて強化子の強さを下げていくのは、強化計画に則って決めます。詳細は強化の記事にありますが、おもちゃで遊ぶ時間や、おやつなどが元の強化子出会ったのであればそれを、「やったね」といった賞賛などの社会的強化子に変えていくことや、児童の好きなもののトップから、3位4位などに変更していく事が当たります。

MD実践ーモニタリング

モデリングを通じて児童の学習を支援し、その進捗を図るデータ収集の方法としては、タイムサンプリングとイベントレコーディングが使用されます。いずれの場合においても行動の開始と終了の定義を、データ収集する人がしっかりと認識している事が必要になります。

タイムサンプリング
タイムサンプリングは頻度を測るのに適した方法です。ある時間の区間をさらに5分間ごとなどに区切り、定めた区間で行動を実行していたかどうかでチェックします。

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タイムサンプリングの場合には、ある特定の時刻(例15:00)ちょうどに対象行動を実行していたかでチェックする方法、ある特定の区間の一部(15:00-15:05のいずれかのタイミング)で一度でも実行していたかでチェックする方法、ある特定の区間全体(15:00-15:05の間ずっと)で実行していたかでチェックする方法の3種類があります。

イベントサンプリング

イベントサンプリングは、観察していた期間全体で何回対象行動が起きたのか記録する方法です。

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それぞれの標的行動に合わせて、必要なデータを収集する方法を選択し、学習進捗を把握します。

MD実践ートラブルシューティング

モデリングを通じて、想定していた変化や進捗が生まれない時にチェックする項目は他の、EBPと大きく変わりません。モデリングがうまくいかない場合には下記をチェックし、修正または他のEBPの使用を検討します。

・行動の定義は明確にされているか?
・対象行動は、計測可能でまた観察可能か?
・モデリングの前提になるスキルが備わっているか?
・この戦略の妥当性を判断するのに十分な時間実践したか?
・モデリングの実践方法に誤りはなかったか?
・強化は適切に行われていたか?
・コントロールプロンプトが確実に対象行動を実行させるものとして機能していたか?

まとめ

以上モデリングに関して、準備と実践に関して紹介させていただきました。モデリングそのものは理解しやすいかと思いますが、組み込まれるプロンプトと強化の部分が事前にどのように設計されているかが重要かと思いますので、ぜひ文中リンクの方ご活用ください。

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