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ホームシック大泣き事件

Ride a Life Journey 2021 DAY7
兵庫県相生市→岡山県備前市(備前大橋下でキャンプ)
走った距離:50,4km

5時半に合わしたアラームが子どもたちのテントの前で鳴り続けている。10分を過ぎても止まる気配は無し。今日はそれに甘えて自分も寝坊させてもらった。どうもすみません。って誰に謝ってんねん。良心の神さまか。

テントの片付けも、パッキングも、実際の旅でははじめてだから時間がかかる。
えっちらこっちらと動いている子どもたちを横目で見ながら、テントを片付け、僕らはもういつでも出発できるよという姿を見せておくためにテキパキとパッキングを済ませる。


これはもう慣れのこともあるからどうしてもキャンプの片付けというのは時間がかかるのだけれど、意識さえ持てばひとつひとつの時間を減らして結果的には早く出発できる。言葉では「遅れないようにする」「早く出発して長く走れるようにする」とミーティングでもなんでも声が出るんだけれど、その意識を「ミーティング」だから持つのではなく、普段の旅の意識に持てるようにしないと意味はない。

みんな揃ったところで、ゴミ拾い、そしてキレイになったあと、横に並んで
「テントを張らせてくださりありがとうございました」と一礼をして1日のスタートを切る。
出会う人、使う場所、どこだった旅では「一期一会」


そこにその場所があるからこそ、その人がいるからこそ、僕らはテントが張れたり、素敵な応援の言葉をかけたり、美味しいものが食べられたり、美しい景色が見られたりする。それは僕らのテントで「手に入れた」ものではない。ぼくが旅のあいだに、その場所に、その人に、お邪魔をさせてもらっているのだ。


ごはんは食べずにスタートする。学校の先生に怒られそうだ。
体が起ききっていない状態で習慣として食べるよりも、まずはカラダを動かしてアクティブな状態になってから、意識もハッキリとしてからごはんを食べる。これは僕の感覚的なもの、あとは寝起きでごはんを食べていたらいつまでだって時間を使ってしまって結局時間を有効活用できない。起きてるけど、意識ははっきり起きてないから。

「もうエネルギーがないよー」「腹減ったー」と山道を登りながら子どもたちのブーイングを受けながら走り、スタートして小1時間経ったところに出てきたコンビニで朝ごはんを食べる。みんなあったかい飲み物を買って、食べたのは名古屋からの天然酵母の美味しいパン。うめーうめーとみんなで食べる。お腹がすいて食べるごはんは最高だ。


岡山へと抜ける道は海に近いところを通るけれども結構アップダウンがある。
まだ重さにも慣れていない子どもたちにとっては、この登りがなかなかのハードワークだ。
今年のメンバーはわりと走っているときにはペースをあげる。1日体力を温存するというよりかは一生懸命に走る感じでそこは見ている僕もすごく楽しい。


子どもが先頭、2番目にほのか、3、4と子どもで僕が最後尾。これが僕らの定位置。

僕が旅を企画しているけれど、主役は子どもたち。僕が連れていく旅では引率者になってしまう。だから子どもが先頭。曲がるところを間違えたり、急ブレーキをしたり、ペースがあがったりさがったり、それでも自分の目の前にまっさらな景色が広がっているから旅だと思う。だから僕らが背中を見せるのは走るときではなく、生活面だけ。これが僕が子どもたちとともに旅をするときのひとつのスタンス。


岡山との県境のところ。ヘトヘトに見える子どもたち。ちょうどMAPに評判のよいラーメン屋さんが出てきたので、ジャンケン勝負をして子どもたちが勝って昼はラーメンになった。うめーうめーとニコニコおしゃべりして食べながら、スタート時間は3分遅れた。前やったら怒ってたなぁと自分の思い出に苦笑いしながら「美味しい思い出を、気持ちのよいままスタートしような」と声をかける。きちんとさせたいのは自分なのか、はたまた子どもたちの意識をともなう行動につなげたいのか、ただ怒るのは自分の気持ちを果たしたいからだけ。


午後からは雨。強くなったタイミングでスーパーマーケットに避難して、とりあえず雨で濡れてしまうものを保護するために100均でゴミ袋を買う。雨は夜も降り続く予報をみんなで確認して夜を過ごす場所を地図を見ながら相談する。

10km先の橋の下、もうひとつ先の橋は27km先。彼らは迷うことなく10kmを選んだ。その選択をしたときに、とりあえず近いほう、雨のなかはしんどいから、ではなく自分たちが片方を選んだらあとにどういう影響が出るかも意識しながら選択をする。その視点が自分の身になるまでは、僕やほのかがアシストするところ。

夜ごはんの相談では、なにつくる?と聞くと。
ポツ。。。。。。サラダ
ポツ。。。。。。。。お味噌汁
ポツ。。。。。。。。ごはん
とくらーい顔で言いながら、もうそれでいい?と聞き合ってる。なんとなくスポーツで言うと消化試合。自分たちの意思というよりかは、やらないかんから、しょうがないからという感じ。ここでほのかはナイスアシスト。

ほのか
「旅もごはんも。楽しまないともったいないよ。何が食べたいかを考えてみたら?」(ほのかよく言った)

肉を焼いて食べたい!
コンソメスープ!
あ、牛丼とかいいかも!

顔も声も別人のようだ。ごはんも自分たちだけじゃなく僕とほのかも一緒に作って欲しいということになったので、買い物からアシストする。そのあとの10kmはすんなりといって雨が強くなってきたころに橋にたどりついた。ちょうどよいスペースを見つけてそこにテントを張る。

ちょうど夜ごはんの支度をはじめるころに、テントから泣き声が聞こえてきた。
大丈夫かなぁ。そっとしてあげようか。子どもたちがささやきあっている。
しばらくするとその声がやんで、出てきたけれど、またそこで泣きはじめてしまった。

ほのかがそばで背中をさすりながら声をかける。
そこから大泣き。

家族に会いたい!話したい!電話かけて!
もう無理!いますぐ帰る!絶対帰る!
と繰り返してる。

その横で僕たちはごはんを作りはじめる。
20分ぐらいしたころやったろうか。ほのかがずっとずっと背中をさすりながら声をかけ続けるのを、さすがに見ていられなくなって子どもたちの前だし、聞かせたくないので英語で叱った。

「そこの役目は君じゃないんや!ある程度声かけたら離れないといつまで経っても彼は感情を落ち着かせることができない!あっち行ってろ!」

それはもう感覚としか言えない。こうやって文章を書いても状況はカバーできない。だからほんとのその場で起こったことはどうか想像でとどめておいてね。僕は信頼を打ち砕くようなことだけは絶対しないと決めているから。


涙目で歩き去ったほのか。
そこにすかさず他のメンバーが入って声をかけはじめた。

「一緒にゴールしようって決めたやろ!僕は知ってるで。ぜったいみんなでゴールできるって!」

僕も普通に料理の担当を泣いている彼にも振り分けて夜ごはんづくりを続ける。ずっと待ってたんやろうな、自分がなぐさめにはいるタイミングを。

そしたら落ち着いた。割とケロっと。

彼はいつでも自分と向き合うことができている。不安をコントロールするのが難しくて、悪い方に想像をはじめるとどんどんエスカレートしていくから、そのブレーキは必要だけれどある程度までたったら自分で糸口を見つけてくる。

夜のミーティングでそのことは自分からは話さなかったけれど、ほのかが帰ってくる前には他のメンバーに、今日はちょっと泣きすぎたけど、もう大丈夫って伝えていた。

オトナにはできないことがある。
子どもだからできることがある。

それは家族のようなものにしたいと思っている僕やほのかにも変えられないもの。

夜の雨は止むことなく降り続き、そして排水パイプからは滝のような音が聞こえていた。朝ここが水たまりになることなく迎えられますように。

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