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【DAY9】みんなが持てるチカラを出して、それが合わさってはじめて、自分ひとりでは持ちえなかったチカラとしてそこに現れる

MOUNTAIN BIKE JOURNEY 2020夏
【DAY9】
宿毛→西予市 87.2km


自分の持てるチカラを出すということ。
それが今日の彼らの1日だったのだと思う。

ぼくはレポートを書きはじめ(すっかり朝書くということになってしまったところが情けないです、すみません)”さあ今日もはじまるなぁ“なんて思っていたら、ピンクカラーのサイクリストが駐車場に入ってきた。おぉ!宿毛市長!約束どおり来てくれた!今日は公務の時間を調整して午前中ぼくらのライドに加わってくださることになった。

みんなでコンビニ朝ごはん。今度は、昨日お世話になったマキさんの息子のかずまが自転車にリュック姿でやってきた。朝の部活がはじまるまで、僕らの旅に加わってくれる。なんてこった、こうして誰かが時間を作ってぼくたちの旅に加わってくださること。それはなんてことないことではない。感謝の気持ちとともに、子どもたちのがんばりが、こうして人の心を動かしていることが何より嬉しい。

朝のミーティング。自分たちでつくりあげた最高記録を出した昨日について話をした。
嬉しかった。
もっとがんばれると思った。
最高記録も出せたけど、たくさんの人とも会えて嬉しかった。
それぞれの言葉で昨日のことを振り返っていた。そのことについて僕はこう話した。


「君たちが昨日とくらべて、とくべつ何かが成長したからこうなったんじゃない。君たちはもうすでにそのチカラを持っていて、それは君たちの気持ちひとつでこんなにも変わる。僕たちはもっとよくなれる。」


このとき。それは駐車場のコンビニだったけれど、何かぼくらの円になって座っているうえでひとつのビジョンが現れて、それをみんなで見つめているようなそんな感覚が芽生えた。それこそが彼らの可能性であり、僕にとっては希望と言えるものなんだと思う。


いつもより2人増えて10人になったメンバーで朝の数時間を走る。子どもたちはいつも以上に張り切りみんなで掛け声をしながらグイグイと先に進んでいく。そして空にはくっきりとした青空と竜のような雲がそこを横切っていた。


昼からは頭がボーッとしてきそうな暑さ。疲れもあるだろう、とたんに子どもたちの集中力が落ちて、スピードもさがってきた。体調不良とまではいかないけれど、少ししんどいというメンバーが出たので思いきって時間をつくって休ませる。日陰で横になるように指示をする。心配そうなほのか。


ほのかに伝える。こういうときにはカラダはもちろんんだけれど、心のほうがしんどくなってカラダを引っ張ってることもある。だからこそ、君が彼らを心配しているという表情を出しながら接することで、彼らの心をひっぱってしまうこともあるからね。子どもたちの状況を見極めること。自分がおおきくあること。それがオトナがともにいることの意味でもあると僕は思ってる。


今日、宇和町で待ってくれているみきさんのところへ最後のスパートをかける。
よーしいくぞ!とみんなが思い、走りはじめたところで◯◯がいつもの「まさやん、トイレに行きたいんだけれど」のひと言。

目の前のことがいつでも大きい彼はなかなか他のメンバーより段取りをすることが難しい。それはきっと彼のもっているもともとの性格で、それは直すようなものではなく、そういう個性をみんなが把握して必要なときにはサポートすることができるのがいいと思ってる。けれどひとつ「みんなの時間を使っているよ」ということは伝えてトイレに行かせた。


戻ってきたときに「みんな待っててくれてありがとう」と彼が神妙な顔で言った。これは僕にとって嬉しびっくりだった。いつもあれ?あれ?と自分が置かれている状況を見つけ出してから次の動きをしていた彼が、いまはそこにスーッと伸びやかに立っているような気がした。あれがみんなを起こすひとつのスイッチとして機能したんだと思う。


先頭を走る◯◯のペースが一気にあがった。いままでだったら置き去りにされていた他のメンバーがそれに食いついていく。先頭を交代した次の◯◯は逆に自分がしんどいことが頭いっぱいにあふれていそうなフニャフニャした走り。

いつも最後尾でここ2日ぐらい最後の3時間くらいだけ真ん中を走る僕は(ほのかに真ん中にいるオトナに必要なナビゲーションや前後との関わりかたを見せるため)けしかける。


「おーい!うしろはもっと走りたがってるよ!もう疲れてしまったんか!?」

ドッカーンといままでのペースを無視して◯◯が走りはじめた。引き留めるやりかたもあると思うけど、めちゃんこおもろいので後ろのみんなをけしかける。おーい!置いてかれるなよ!そうしてみんなが一目散に駆けはじめた。


そこが引き金となって先頭がバチーンと走る!そこが一気に離れそうになるので僕が後ろについて守りながら最後のながーい山道を登っていく。後ろのメンバーはそれぞれ必死にそれを追いかける。おもろいなぁ、ほんとにおもろい。自分が持っているものを、本当の意味で彼らは出している姿がそこにあった。


チームワークという言葉がいつも飛び交う彼らの言葉。けれどそれは「まわりに合わせる」ということと同じかというと僕が全然そんなことはない。みんなが持てるチカラを出して、それが合わさってはじめて、自分ひとりでは持ちえなかったチカラとしてそこに現れるんだと思う。

それがこの旅が終盤に入った9日目にしてはじめて目の前に現れて僕はほんとうに、それはほんとうに楽しかった。


真っ暗になってしまったけれど、最後ゆっくり歩道を走りながら今日受け入れてくださるミキさんのお家を目指す。最後の角をまがったときに、向こうから「おーい!」と聞こえた。

お友だち家族も集まってくださり、僕たちをむかえてくださった。ほんとうにありがとうございます。夜ごはんはBBQ。あったかいお風呂。洗濯までしていただいて、子どもたちは買っていた花火を小さな女の子たちと楽しんでいた。


メンバーと思いを分け合うこと。それだけではほんとにいいチームにはならないと思う。それぞれがチカラを出して、自分の持てるチカラを知ること。限界を知ること。そこから先が「自分の持てる世界を広げること」なんだと僕は信じている。大丈夫、きっとこのチームはもっとよくなる。

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