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子どもが自分の人生をつかみとる瞬間。

Ride a Life Journey 2021 DAY9
岡山県倉敷→広島県尾道市(招き猫工房にて宿泊)
走った距離:60km


いやぁながい1日だった。すげー長かった。けどなんか嫌な感じの長いではなく、いろんなことあったなぁけどしっかり終わってよかったなぁという感じ。まだまだ僕には旅で知らないことがたくさんある。それを日々子どもたちに見せてもらっているなあと改めて感じる。


橋の下キャンプの朝。いつものごとく子どもたちは起き出せず。ましてや自分たちの目覚まし時計が鳴らず。このことについて夜のミーティングで、アラームのセットができてなかったという声と、そもそもこの時計がくるっているという声をバチバチ夜のミーティングで言っていたので、もう有無を言わさないように子どもチームiPhoneでアラームを設定するようにした。悩むことがしょうもなさすぎる。笑

テントを片付け、自転車のバッグに荷物をまとめて、まわりのゴミ拾いをして、土地にお礼を伝えて1日のスタート。いつも最初のコンビニにたどりついて朝ごはんにする。走るのは4日目だけれど、走るのにはかなり慣れた感じがある。けれど走ることに慣れるとだいたいは緊張が抜けるもので、あの道路に立っている赤いポールにぶつかってみたり、歩道の入り口のかまぼこみたいなカタチのところに乗り上げたりして、僕は肝をつぶす。

ほんとにこうして子どもたちを連れて旅をしていると「今回は無事だった」みたいなことがやってくる。それのなかには自分がカバーできるものもあれば、間に合わないとか、そもそも離れていてカバーに走れないというパターンもあるので、旅の事故や怪我のリスクはある程度覚悟しながら走るしかない。命を守る、そこだけは自分の命を先に投げる覚悟でいく。それは毎回参加してくれるスタッフにも口頭だけれど、確認してから参加してもらっている。


尾道に住んでいるこはるファミリー、そして友だちのひろさんから連絡をいただいた。こはるは去年の夏のメンバー。旅を終えたあとも、見るたびにしっかりして、大人っぽくなっていく。ほかのメンバーはどうしてるかな。こうしてときどき会える子もいれば、遠くにいてなかなか会えない子もいる。こはるは旅のはじめはどこか人をなめているようなところがあって、メンバーからも距離を置かれているような時期もあったけれど、旅を経るごとに大人に甘えることも減り、仲間を助けることも増え、もともとカラダが強いこともあってすっかり成長した。いまでは会うごとに「ええ子になったなぁ」としみじみ思っている自慢の教え子だ。

こはるのご両親がお仕事をしているまねきねこの絵付け工房でよければ宿泊に使っていいよというお言葉に甘えて、今日は尾道をゴールにして、そこでお世話になることになった。


そしてゲストハウスヤドカーリを運営しながら、いつだって何かしらのチャレンジを続けているひろさんは宿の提供を申し出てくださったのだけれど、先にこはるのご家族と約束をしていたので、ラーメンをご馳走してくださることになった。

子どもたちにラーメンのことを伝えるとテンションがすんげーあがり、早くたどり着きたいからと朝から、疲れてしまうことを考えずグイグイと先頭の子がペースをあげて引っ張ってくれる。それでいい。自分が思っているほど自分は弱くない。そして、あとのペースを考えていては出ないチカラがあることを知ってほしい。

最後のほうはヘトヘトになっていたけれど、60kmの道のりをがんばって走って3時前には尾道にたどり着いた。あのまま走っていたらあと2時間は走れたので80kmぐらい走れていたんじゃないかと思う。今回のメンバー根性さえあればなかなかいい走りをしてくれそうだ。


尾道の風情ある商店街を歩きながらヤドカーリにたどり着くと、ひろさんが迎えてくれた。いつもの落ち着いた姿で子どもたちに優しく話しかけてくださる。そしてひと段落したところで、僕らをラーメンに連れて行ってくださった。僕の大好きなみやち。子どもたちも「うめー!うめー!」と食べていて嬉しかった。

そして、話していたらなんと共通の友達であり僕の静岡のブラザーであるよっちゃんからの荷物が宅急便で届いた。僕の大好きな「あまびえどら焼き」。めちゃんこうまいやつ。ありがとう。ほんとにこうして見守って、行動してくださる人がいてくださるから旅にも出られるし、そこに色が加わっていく。


こはるが歩いて迎えに来てくれてみんなで招き猫工房へ。お父さんお母さんがむかえてくださった。自己紹介をしたところでお母さんのしのぶさんから「みんなで招き猫の絵付け体験をやってみる?」のひとこと。こういう走ることだけじゃない旅の思いがけない体験が僕は大好きだ。お言葉に甘えて、体験したことのある僕は見学側にまわってみんな自分の猫をかいている。

先輩こはるも、一緒にやりながらすっかりこのメンバーとも打ち解けて、みんなでお風呂に行くことになった。こういうのはほんとに楽しい。唯一の悩みは僕は長風呂が好きだけれど、たいてい子どもたちは10分もすれば我慢して入っているか、先出てるねーと風呂場から出ていってしまうこと。けどそうやってひとり一日を振り返ることもええことだわな。

一緒にお風呂に入ったこはるは、すっかり旅モードに戻ったらしく、夜のミーティングも参加してそれから家に帰ると言い出した。そしてミーティングに横で入っていながら、子どもたちがこの先のことを決めていくときには「あんなんこうしたらいいのに!」と僕に訴えかけてくる。そうやよなぁ去年もそういうことたくさんあったもんな。ありがとう。

ここからのこはるがすごかった。僕の想像の斜め上を羽ばたいていくのだ。ミーティングの終わりまで待ってくださり、遅くに車でお迎えに来てくださったお母さんに「明日私も走りたい!」と直談判したのだ。家に帰ってからじゃなくて、僕とほのか、そしてメンバーのいる前でそれを言った彼女は間違いなく確信犯。けれども卒業式を控えた学校を休んでも走りたいという彼女は、自分で自分のこれからを勝ち取ったのだ。

お母さんは「ひとりで家まで帰ってこられるならいいよ」とみんなの前で宣言をしてくれて、明日は僕らの旅に頼もしいメンバーがひとり増えることになった。ありがとうこはる。ほんとに僕は感動したよ。


夜のミーティング。まあまあいうといつもどおり。課題と自覚を持って行動するという話はいつもどおり。そこに自分で感じられる成長も加わる。課題については、それを見つけて話すことだけでなく、自分で意識を持って1日を過ごすことについて伝えた。そしてそこからが僕にとっての本題だった。

僕たちには向き合わないといけないあるメンバーの明日がある。そして切り出した。

「◯◯は明日どうしたい?きみの住んでいる島を訪れることになる。」

単刀直入にした。
◯◯はとてもいいやつだ。けれど意見を出したり、行動するときにはいつも人の動きを見てから動くようなところがある。何かを決めるときにはまず一歩引く。もちろんそういう性質を持っていること、善悪でもなんでもない。けれども僕たちメンバーは家族もどきとして、できればみんなが素直に思いを伝えられるようなチームでありたいと子どもたちにも言い続けてきた。だからあえてチームではなく彼に直接伝えた。

「故郷を見てみたい気持ちはある。ちかくに魚介の美味しいところがあって、そこに行ったことがないからみんなで行ってみたい。」
○○のその発言を聞いたときに、僕の心がひっかかった。


「◯◯。なんかわからんけど、ほんとのほんとの気持ちではないような気がした。ほんとはどうなん?」そうぶつけかえしたt。


少しの間目をつぶった彼は、こう切り出した。
「家に寄れるなら猫とちょっと遊びたい。家族の顔も見たい。そして学校に立ち寄ってみたい。」
すーっと入ってきた。

どうだ?と他のメンバーに尋ねたら、「今の言葉はなんかほんとの気持ちだって気がした。嬉しかった。」と返事がふたりともから返ってきた。僕もそこに言葉を重ねた。


「そう。心のままを伝えてくれるということは、誰かを嬉しい気持ちにもできるんだ。だからこそ自分が思っていることを素直に伝えて欲しい。」


そのあとは、今度は彼の希望を聞いたうえで、チームとしてどうしたいかという相談をしてくるように伝えるとめちゃんこ白熱していた。

・仲間の希望は叶えてあげたい。けれど全部を叶えてあげて、結局ゴールできなかったら意味がない。僕らにはまずやるべきことがある。

・いや旅はやっぱり楽しいことが大切で、思い出を作りたい。希望を叶えてあげたいし、ゴールまでもこうやってみんなの思いを叶えてあげたい。

・ルート的に言って、どちらも行くには時間もかかるしすごい坂道だから大変。だからどちらかを選ぶなら僕は学校に立ち寄りたい。

それぞれの意見が出た。僕は彼のお母さんがSNSで本人に兄妹が会いたがっていることを書いていたことを伝えた。

「学校に立ち寄る。家には立ち寄らない。家族には会いにきてもらえないか連絡をとってみる」
そのことで意見がまとまった。

そしてそこからもうひと段踏み込んだ話をした。ほのかが切り出した。
それはキャンプの夜に大泣きした○○が他のメンバーが家族に会えることについてどんな思いを抱いているかということだ。

「◯◯は本心ではどう思ってる?すごく家族に会いたくてしんどくなってしまっているから。彼が家族に会うことで悲しくなってしまったりしない?」

「僕はたしかに家族に会えないことは寂しいけれど。これまでも乗り越えてこれたし。きっと◯◯が家族に会っても大丈夫だと思う」

ようやく話がひとつに閉じた。よし寝よう!10時半。寝させたい時間はとっくに過ぎている。けれども僕は時間のために気持ちを区切ってしまうことは、やりたくないし、子どもたちも時間だからやめようとか、こないだのミーティングみたいに白目になることなく最後までしっかりとお互いの気持ちをぶつけあっていた。サイコーだわほんと。みんなのおかげでこの空間が生まれました。

いまこうしてブログにまとめていても、いい旅を僕らはしたんだなと思う。

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