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このままでは最後まで“連れて行ってもらった旅”だ。このままだったら君たちは絶対に後悔するよ。

Ride a Life Journey 2021 DAY16
熊本県芦北町→鹿児島県出水市(海沿いの公園でテント泊)
走った距離:40.3km

今日はチームの行先にだいぶ悩みながら、自分なりの「賭け」ともいえる新たな旅のスタイルを打ち出したお話です。これを書きながらもハラハラしています。
(いつでも初めてのことっていうのはドキドキするものですね。とあとから思う。)

「いまのところ、”この旅は0からの旅だよ”だと言ってはじめたけれど、君たちの旅じゃない。君たちはいつも目の前のことばかり。いくらでも時間を使って、ほんとだったら走れた距離も、遊べた時間も無駄なことに使ってしまう。そして遅れたときには僕たちに謝る。」

「違うんよ。これはみんなの旅なんよ。いつも僕たちの顔色を見ながら動く。レストランひとつ歩いて向かうにも、自分たちで行き先を確認しようともせずに先を歩いているのに、分からなくなったら、僕や帆花がどちらに向かうかを見てついてくる。」

「このままでは最後まで“連れて行ってもらった旅”だ。このままだったら君たちは絶対に後悔するよ。」

いつもミーティングではきれいな言葉を並べる子どもたち。しかしそれが行動に現れていなければ、意識に入っていなければ、そんなのはママゴトと変わらない。だから朝ダラダラといつまでも話しながら準備している彼らを見てそう伝えた。

一度走りはじめてしまえば、これまでのチームよりも速いペースで走る彼ら。きっと日が長い時期なら100kmは走ってしまうだろう。けれど鹿児島まで走りきったことだけを持ち帰って欲しくない。この旅を終えたとき、この旅を“誰かに自慢するための道具”ではなく、“自信を持ち生きる種”として持ち帰って欲しい。これはもはやオトナの、いや僕の夢見ごと、キレイゴトなのかもしれないけれど。

僕も何度も失敗してきた。ほんとの経験や人間性というものは「伝える」のではなく伝わっていくものなのだ。だからこそ、いつまでたっても自分たちの足で立とうとしない子どもたちに厳しい言葉をぶつけた。


ついに鹿児島県に入った。フェリーさえ乗ればゴールの桜島にたどり着ける鹿児島市までは残り110kmほど。このまま行けば明日には到着するだろう。けれどもいまのチームの状態のままたどり着いてしまえば、恐らく走りきったという思いはあるけれど、チームとしての心の重なりは生まれないと思う。

どうする。どうする。彼らの背中を見つめながら、僕が先頭に入って彼らを一生懸命にさせるペースで引っ張りながら考えつづける。このままでは僕も後悔する。

ちょうどお昼前になって、出水市に入ったところで思いつきをした。お昼のリクエストとして○○が言ったうどん屋さん。彼らに自分で見つけさせよう。僕らが引っ張ったり、そばにいながら彼らにひとり立ちさせようとしてきた僕。それから離れるにはこれしかない。

iPhoneのGoogleマップのルートをザッと見せて、「行って待ってて!」と伝えると、子どもたちはニコニコしながら、えいやー!とこぎだしていった。もうこれしかない。この旅の最終兵器。帆花に伝えると「いいとおもう」といい笑顔が返ってきた。これでいこう。

お昼のうどん屋さん。そこで切り出した。

「この旅でずっと僕は”自分たちの旅“にしなよと行ってきた。けれどもここまでは今朝話したように自分たちの旅になっていない自覚はあるよね?これはあくまで僕の意見。さっきの君たちを見ていたらめっちゃ楽しそうやった。」

「これからの残りはみんなにとって自分たちの旅にして欲しい。これから君たちがルートを自分たちで調べて、ごはんのタイミングも決めて、これまで僕がやってきたことを自分たちでやってみたらいいと思ってるんだけどどう思う?」

「もう少しくらい遅れたところで桜島にも25日のフェリーにも到着できると思う。きっとだいじょうぶ。」

一瞬とまどいの表情を浮かべたあとに、ひとりが「おもしろそうかも」と呟いた。それを聞いて他のふたりもやってみたいと声を合わせた。よし決まりだ。僕にとっては旅のカケ。彼らにとってはどんな風に響いただろうか。

とにもかくにも。メンバーのいざこざもだいぶ増えてきて、僕やほのかの余裕もなくなってきて。けれど明日からはまったく新しいスタイルで旅をする。

もう今日はここでやめてゆっくりしようとみんなで決めて。そのまま温泉→コインランドリー→公園で遊んでキャンプの流れにした。

昨日今日とひとりずつとミーティングもしたけれどみんながモヤモヤしているのと、まだメンバーを信じるところまではいっていないなぁと思った。

誰かを助けたい、信じてほしい、みんなを元気づけたいと話しながら、日々の言動でその信用を失っているメンバーもいる。この自己矛盾はほんとにいつか自分で気づくまでは僕がタッチするところではないと思ってる。できることといえば少しの気持ちの交通整理ぐらいだ。

子どもたちとの旅の回数が増えるほど、確かなものが掴めるとは思っていなかったけれど、これほど自分のことを自信が持てない旅もはじめてだ。毎日、毎回、自分はこれでよかったのだろうかと思い続けている。


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