地方で起業家が育たない原因とは?

地域経済の衰退に歯止めがかからない。それに歯止めをかけ、活性化をはかるべく自治体側も様々な手を打ってはいるものの、具体的な成果を挙げているところはほとんどないのが現状だ。

一昔前、地方経済を活性化する魔法の杖とされたのは大量の雇用を生み出す工場誘致策だった。しかし、それもグローバル化による国内産業の空洞化という流れの中、もはやかつてのような神通力を失ってしまっている。

代わりに近年叫ばれているのが、起業家の育成だ。起業家を育てることでその事業の拡大を後押しし、それによって雇用を確保し、あわせて地域経済の活性化をはかろうという戦略だ。こうした流れを受けて、起業家の育成に乗り出す自治体も増えている。しかしながら、これもみたところうまく行っているところはほとんどないようだ。

なぜうまくいかないのか? そこにはさまざまな要因が挙げられるだろう。だが、そのなかでも私が真っ先に挙げたいのは、風土の問題である。風土の問題とは何か? 地方にはそもそも起業家を育てる風土が欠けているということである。

起業家を育てる風土とはいったいなにか? 風土などというとどうしても抽象的な議論に陥ってしまいがちなので、ここではマーケティング用語を使ってこう定義してみたい。

それは、イノベーターが多く、そしてラガードが少ない社会集団が醸し出す創造的な雰囲気である、とーー。

集団の活性化に影響を与える五つのタイプ

新商品が市場に普及する際のプロセスを分析したマーケティング理論にイノベーター理論というものがある。それによると、新しい商品に対しどのような態度を採るかによって消費者は5つのタイプに分類できるという。

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