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  • アースハックおすすめ記事その1

    おすすめの記事を集めて一冊にしてみました。ひとつひとつの記事を購入するよりお得です。

最近の記事

お金の権力を弱めるとはどういう意味か?

ベーシックインカムの目的はお金の権力を弱めることにあると私は常々主張してきた。しかし、お金の権力を弱めるとはどういう意味なのかよくわからない人もいると思うのでここで改めて説明してみたい。 お金の権力が弱くなるというのは為替相場で日本円の価格が下がることではない。モノやサービスを提供する側が売るか売らないかを自分の裁量で決められることだ。 たとえばバブル時代、私は仕事をしばしば断った。単価が安い、または仕事が気に入らないという理由からだ。今思えば赤面ものではあるが、そんなは

    • 人間の労働動機にコペルニクス的転換をもたらすベーシックインカム

      現代の経済システムに対する革新的なアプローチとして注目を集めているベーシックインカム(BI)。生活に必要なお金を万人に一律に支給するというそのコンセプトは一見すると従来の資本主義経済の原則にも反する社会主義的な政策のようにも見える。だが、視点を変えればそれはより洗練された市場経済システムへの進化と捉えることも可能である。 なぜそう捉えることができるのか? それを理解するためには人間の行動を動機付ける要因について考察する必要がある。 従来の経済システムは、主に外発的動機付け

      • 企業による信用創造の矛盾を解消するベーシックインカム

        お金を世の中に供給する経路が企業による信用創造に限定されているのは、今の経済のバグである(ここでは国や個人の住宅ローンなどによる信用創造は考えない)。なぜなら消費者に購買力がなければ企業は投資するためのお金を借りない(信用創造しない)し、企業がお金を借りて労働者を雇わなければ労働者でもある消費者は購買力を得ることができないからだ。 ここにあるのは、はじめに消費者に購買力がなければ企業活動ができないし、企業活動ができなければ購買力も生まれないという致命的な仕様ミスであり、設計

        • 日本に供給不足の問題はない

          よく供給不足(人手不足)を懸念する声を聞くが、私に言わせれば何の寝言かと思う。国民のほとんどが第一次・第二次産業に従事していた明治時代ならいざしらず、国民の6割以上が第三次産業に従事している21世紀の日本で人手不足が問題視されていること自体、おかしいとは思わないだろうか? そもそも資本主義のもとでは、職業もまた競争原理にさらされている以上、不人気な職業から人気の高い職業へ流れるのは自然なこと。そのため一部の業界で供給力不足が生じるのは資本主義社会の常であり、それは何も今に始

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        • アースハックおすすめ記事その1
          13本
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          世界初の暗号通貨はビットコインではなく日本発のi-WATである、という話

          ビットコインは世界初の暗号通貨と言われています。しかしそうではない、と言ったらみなさんはどう思われますか? 多くの人はまさか、とまゆにツバをつけることでしょう。それでも私はあえて言います。世界初の暗号通貨はビットコインではないとーー。 ならば、ビットコインに代わるそれは一体何なのでしょうか? i-WATです。 i-WATは2003年に日本で開発された電子地域通貨です。ベースとなったのはP2P方式を特徴とする世界でも珍しい自律分散型のしくみをもつ、これまた日本発祥の地域通

          世界初の暗号通貨はビットコインではなく日本発のi-WATである、という話

          人を値付けしてはならない

          人を値付けしてはならない。昔「飯は黙って食え」とされたのも、美味いだの不味いだの言うのは食事を作ってくれた人を値付けすることになるからだ。人を値付けすることは、人をモノと同等に貶める行為である。 ほめられたらうれしいから〜、などと舶来の思想に乗せられ、言葉にするのが大事などと言い出した結果が、かぎりなく軽佻浮薄で人を人とも思わない今の世の中だ。「男は黙って〜」というのは相手を最大限尊重するための日本ならではの奥ゆかしい知恵なのだ 人事評価や商品の口コミなども同じだ。評価と

          人を値付けしてはならない

          歴史的な転換期にある資本主義

          資本主義的生産に不可欠なものとされるのが資本、土地、労働の三つの資源である。 そのうち、労働がAIロボットによって、土地がメタバースによって不要になった場合、資本主義はどのような影響を受けるのか?  またはどのように変質するのか? あるいは崩壊するのか?  いずれにせよ歴史的な転換期が間近に迫っていることは間違いない。

          歴史的な転換期にある資本主義

          生産力が低下することはもはやありえない

          生産力の源泉が科学技術である以上、そして科学的知識が失われない限り、原則として生産力が低下することはありえない。 その上ほとんどの労働がAIに置き換わる将来、人間の勤怠はもはや生産力を左右する要因ではなくなる。 つまりBI導入の結果、多くの人が怠け者になっても問題はないのである。

          生産力が低下することはもはやありえない

          共同体からの脱出先としての貨幣経済

          しがらみの多い田舎を嫌い都会に出てきた人がそうであるように貨幣経済は伝統的な共同体から排除された人たちに格好の脱出先を提供した。 ユダヤ人もそうだ。故郷をもたないユダヤ人にとって金だけが物を言う貨幣経済は共同体から常に排除されてきた彼らが生きていく上でどうしても必要なものであった。 貨幣経済が悪なのではない。贈与経済が善なのでもない。 貨幣経済が適正規模を超えて肥大化してしまったことが問題なのだ。 必要なのは、贈与経済を基盤とする社会の上に貨幣経済を適切な割合で埋め戻

          共同体からの脱出先としての貨幣経済

          お金とベーシックインカムのテトラッド分析

          メディア学者のマーシャル・マクルーハンは、世の中にある道具や技術をすべてメディアとみなした上で、それを分析するための手法として「テトラッド」というフレームワークを提唱しました。 それによると、メディア(=テクノロジー)には次の四つの側面があります。 「強化」=それは何を拡張し、強化するのか? 「衰退」=それは何を追いやり、廃れさせるのか? 「回復」=それは廃れてしまった何を回復するのか? 「反転」=それは極限まで進行したとき何に転じるのか? このテトラッドをもとにお金と

          お金とベーシックインカムのテトラッド分析

          ベーシックインカムは共産主義なのか?

          ベーシックインカムを共産主義だといって反対する人が少なくない。しかし、それは誤解というものだ。 そもそも日本を含む西側諸国が自由主義社会であるという認識からして間違っている。 それを知るためには、会社というものの本質を理解する必要がある。 そもそも会社というのは生産分配共同体である。それは国家内にあるミニ共産主義国家のようなものだ。 国民の大多数が会社に所属している以上、日本も他の西側諸国も実質的には共産主義社会だといえる。 その共産主義のくびきから個人を解放するの

          ベーシックインカムは共産主義なのか?

          搾取が可能になるのは?

          搾取が可能になるのは搾取されざるをえない状況があるからだ。 生存を人質にされているから搾取に応じざるをえないのだ。 搾取をなくすもっとも効果的な手段はベーシックインカムによる万人の生存権の保証である。

          搾取が可能になるのは?

          市場経済の限界と贈与経済の復活

          失業率とインフレ率はトレードオフの関係にあります。 すなわち経済の安定を目指すなら完全雇用は永遠に無理だということです。 なのになぜいつまで完全雇用にこだわるのでしょうか?  雇用による分配にしがみつくのでしょうか?  市場経済以外の経済領域が存在しない社会であれば他に選択肢がない以上諦めるしかありませんが、現実はそうではありません。 世界には市場経済以外の経済領域(たとえば贈与経済)がまだまだ多く残っています(実際、市場経済の失敗を尻拭いし、悪影響を吸収しくれてい

          市場経済の限界と贈与経済の復活

          儀礼的消費(労働)としてのベーシックインカム

          働かない人にも金を配るBIにそれほど抵抗があるならそれを儀礼的消費の一種とみなしたらどうか?  儀礼的消費とは会食に出席するなどの「非生産的な消費(同時に労働でもある)」のことである。 なんならBIの対価として受給者には九字を切ることを義務づけてもよいだろう。毎月一度在宅のまま役所に 向かって臨兵闘者皆陣列在前と唱えるのだ。 それがどのくらいの社会的価値を生み出すかは計測不能だが、少なくとも一回なん十万円もふんだくる生臭坊主のお経と同じ程度の「社会的価値」はあるとみな

          儀礼的消費(労働)としてのベーシックインカム

          貧困者には金の稼ぎ方を教える前に金を与えよ

          ひと昔前、貧しい人へは金を直接与えるのではなく金の稼ぎ方を教えるのがよいとされた。金を与えるとすぐ使ってしまい、「おかわり」を要求されるだけで生活改善につながらないというのが理由だ。 たしかにそれは経済学的には正しい方法かもしれない。だが、心理学的には必ずしもそうではない。その日暮らしで精一杯の人には明日のために何かをやろうという気持ちすら芽生えないからだ。NGOなど先進国による発展途上国への援助の多くが失敗したのもそのせいだ。喉が渇いている人にはまず水を飲ませる必要がある

          貧困者には金の稼ぎ方を教える前に金を与えよ

          儀礼的消費としてのベーシックインカムという考え方

          経済的な需要は儀礼的消費によっても生まれる。たとえば冠婚葬祭などに関連した消費だ。これは、それを支える労働も含めて近代合理主義の観点からするときわめて「非生産的かつ無駄」なものである。 しかし実のところ、この社会の経済はそうした一見無駄な儀礼的消費があってはじめて安定的に回っているのだ。そのことはクリスマスや正月がなくなったらどうなるかを想像すればわかるだろう。あるいは青森県がねぶた祭りを廃止したらその経済がどうなるかを想像してみるのもよいかもしれない。 こうした「たんに

          儀礼的消費としてのベーシックインカムという考え方