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長野アファンの森を舞台にした、ソーシャルプロデューサー養成事業

文:谷崎テトラ(アースデイ ジャパン ネットワーク共同代表、京都芸術大学客員教授)

日本のアースデイ を支えてきたC.W.ニコルさん※

2001年にアースデイ東京が立ち上がる時より、実行委員長として、
2020年に亡くなるまで、日本のアースデイ を支えてきた作家のC.W.ニコルさん。
世界各地の自然保護に関わり、日本に移住されてからは、約40年にわたり日本の森林保全活動をリードしてきました。ニコルさんが生涯をかけて再生してきた、長野県黒姫「アファンの森」は、現在では多様な生物が息づく、日本で最も美しい森の一つとなっています。

C.W.ニコル(1940-2020)
ウェールズ生まれの日本の作家、環境保護活動家。約40年にわたって日本の森林保全活動をリードしてきた。

「様々な課題を抱える環境問題」

いまアースデイジャパン ではニコルさんの長野アファンの森を舞台にした、ソーシャルプロデューサー養成事業を企画しています。
 これまで、ニコルさんが40年かけて再生してきた長野県黒姫の森をこの森を、持続可能なビジネス創生の学びの場として活用していきたい、ということで、長野県の休眠預金を使った助成授業に応募しました。その第一段階の審査が通り、現在、第二段階、来年度の事業化に向けての調査・準備に入りました。
 このプロジェクトはアファンの森を舞台に「森を学ぶ」と同時に、「社会起業のスキル」「地域貢献のマインド」も育てる「学びの事業化」のプロジェクトを考えています。
 ニコルさんの残した森で、自然や生物多様性、里山の文化などを学びつつ、そこから地域で活躍できるソーシャルプロデューサーを養成していくことを考えています。
 市民や地域、そして関心のある企業が応援する形で、中長期的には、事業化で自走できる「森」と「人」を作っていけたらと考えています。そんな「未来づくりの森」です。

STEP1 日本の生物多様性を守る 自然教育の聖地として発信

 日本の森は今、危機的な状態にあります。自然環境の劣化、地域資源の未活用、そして地域の担い手不足、若者流出、伝統技術の消失、後継者不足など、地域の課題も山積しています。森を取り巻く環境がこの40年で大きく変わりました。本来の生態系が失われ、人工林となった森が、経済的な理由で放置され、荒れ果てています 。野生動物たちは、里に下りて農作物を荒らし、害獣となっています。森を甦らせ、森の再生へとつなげる里山文化の再生が必要です。
 これはすでにアファンの森財団が様々なプログラムや活動を通じて展開していますが、全国のアースデイと連携しながら、森を知り、自然を育むことができる、ソーシャルプロデュース人材を育成する事業が必要と考えました。

STEP2 地域社会の変革を生み出す、ソーシャルプロデューサー育成の拠点として事業化

 ソーシャルプロデューサー養成 のために、提供していこうと考えているのは、森と生物多様性を学ぶ「環境学習」と、地域のアセット開発する「地元学」をベースにした講座と、社会課題の解決を事業化していく「社会起業家」育成のワークショップなどです。
 この事業の目的は、地域の課題解決に取り組むソーシャルプロデューサーを育成し、その活動を支援することです。具体的には、地域の資源を活用したプロジェクトを企画・実行する能力を持つ人材を育成し、その人材が地域社会の活性化に貢献できるようにすることを目指しています。また、地域と連携し、地域の課題を共有し、解決策を共創するプラットフォームも提供することを考えています。
 森を学び、課題をしっかり認識し、解決の事業化を志す。アースデイのネットワークを生かし、持続可能社会の担い手、ソーシャルプロデューサーを養成すると同時に「社会起業」の道筋を作る。
 7月からアファンの森でのワークショップを開催を準備しています。ご興味のある方はアースデイジャパン ネットワークのオープンミーティング(毎月第一水曜日開催)にご参加ください。

<参考HP>
一般財団法人C.W.ニコル・アファンの森財団
https://afan.or.jp/


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