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広大な建設現場で活躍するドローンとその実用性に迫る

こんにちは。
スマコンタイムズ編集部です!

◎この記事を読むとわかること
ドローン測量=DX化というイメージがあるがそれは正しいのか?
普及が進むが一部の現場で実用化が難しい。
建設現場におけるドローン利用の在り方とは?

近年の建設現場では、測量や点検といった目的で、高性能な計測機器を搭載したドローンの導入を検討する事業者も珍しくなくなってきています。

ドローン導入のメリットを広く考えると、

・比較的低コストで、操作が容易。
・危険な高所でも、安全に撮影できる。
・作業効率がよくなる。

という点に注目が集まっているからでしょうか。

ここで土木現場に対するドローン導入のメリットを考えてみます。
国土交通省が進めるi-Constructionが追い風となっていると言えます。現場データを3D化し生産性向上のために活用することが求められています。

建設現場にイノベーションを起こすと期待されるドローンですが、普及が進むにつれて今まで見えてこなかった弱点も明らかになってきました。そこで今回は「測量」という建設生産プロセスの観点からドローン測量の実用性を紐解いていきたいと思います。

従来型測量とドローン測量の違い

地図作成や、土地の位置決め・現場状態の調査などの行為を「測量」と言います。測量は、現場での地表面上の点の関係位置を決定づける作業であり、工事におけるあらゆる作業の基幹となる工程です。

建設や開発は、人の生命や財産それに産業に関わる事業。その根幹をなす測量には、常に高い精度が求められます。このパートでは、従来型測量とドローン測量の違いについて見ていきたいと思います。

従来型の測量とは?

従来の測量は、トータルステーション(TS)や人工衛星:測位衛星Global Navigation Satellite System(GNSS)測量機器を、技師が地形を測って地図化。工事に際しては、この地図をCADデータに変換して利用します。

デジタル化が進む現代においても、事業規模や予算によっては昔ながらの2次元の平面図や設計図を起こして、工事を進めることもあります。工事の種類によっては、施工後に設計通りに仕上がっているかの確認検査が行われるのですが、ひと昔前までは膨大な書類をもとにして行われていたため、多くの時間と費用が掛かっていました。

ドローンによる測量の特徴

ドローン測量は従来型の測量と比べ一度に広範囲をカバーでき、高価な測量機器も使わないため、低コスト化と大幅な作業時間の短縮が見込めます。国が進めるi-Constructionにも準拠しており、DXの基幹となるConstruction Information Modeling(CIM)に必要な、詳細な3次元地形データを取得することも可能です。

従来型測量とドローン測量の作業時間の違い

では、従来型の測量とドローン測量は作業時間にどの程度の違いがあるのでしょうか。 例として、2.6ヘクタールの現場で、各作業時間を比較してみたいと思います。

このように理論的には、従来型の測量に比べドローンをつかった測量では、測量作業で1/6、成果作成で半分の作業時間で済むことが分かります。

ドローン測量は良いところばかりなのか?

メリットが際立つドローン測量ですが、もちろんデメリットもあります。ドローンやドローンパイロットに高い性能や技量が求められる場合は、当然その費用も相応に上がっていきます。

また森林など複雑な地形では、正確な測量データが得られないといった弱点もあります。人口密集地など場所によっては、航空法などで飛行空域や条件が制限されることもあり、飛行許可の申請が必要になることもあります。

ドローン測量は普及する一方で、
活かしきれている現場は少ない?

工事関係者の間でも、ドローン測量や空撮能力が知られるにつれ、それらを専門的に行う事業者も増えてきました。そのため、現場でのドローン活用といえば、「測量」というイメージが依然として色濃くあります。

ただ前述のようにドローン測量は、森林地など上空から地表の形状が分かりづらい場合、大幅に精度が落ちてしまいます。

そもそもドローンは測量作業に最適なツールなのか?

荒野・平原・砂漠など、広大な陸地を持つ大陸国家であれば、ドローンは測量においてその実力を如何なく発揮することでしょう。日本においても、樹木の少ない海岸線・砂丘地・河川付近では、ドローン測量による効率化は大いに期待できます。

しかし残念なことに、日本の森林占有面積は領土全体の2/3。国土の大部分が樹木に覆われています。国土の特徴を踏まえると、すべての測量がドローンに置き換わることが最適解とは言えません。

国が進めるi-Constructionを見据えてドローン導入が増える中、日本の現場特性もあって、その性能や特性がもたらすメリットを活かせていない事業者も多いのです。地形によっては従来の測量方法が有効なケースも多々あり、中にはドローンを測量機器として導入したものの利用をやめてしまう事業者の方もいらっしゃるようです。

工事現場でのドローンの役割は
測量だけにとどまらない

そもそもドローンは、測量だけに特化したツールではありません。建設現場では他にも様々な役割をおって活躍してくれます。
以下に、測量以外でのドローンの活用例をご紹介しましょう。

ドローン活用例・・施工管理
橋梁やダムなどの大規模工事の現場では、現場をドローンで撮影して進捗管理に役立てているケースが増えています。またドローンに現場をパトロールさせて安全管理を行ったりと、従来は人員を使って行っていた確認作業や記録撮影に活用することに注目が集まっています。

ドローンの活用例・・点検・メンテナンス
現在は作業員の目視や打診で行われている、建造物の外壁の老朽化や設備の点検などにもドローンの活用が期待されています。ドローンを使うことによって足場を組む手間がなくなり、事故の多い高所での点検も安全に行えるようになります。またドローンで赤外線撮影した画像を解析して、外壁の修復箇所を自動的に判定するシステムなども登場しています。

ドローンは単なるツールであり
本当に重要なのはデータ収集

ICT建機とDX化された作業環境は、事業者に「低コスト化」「高効率化」「技術の平準化」とそれに伴う収益拡大をもたらします。現場のDX化のフロントツールとしドローン導入を考えることは誤りではないものの、それがすべての解決策ではありません。

要約すると、“ドローン = DX化”ではありません。
DXにおいて肝心なのは、異なる端末間で共有できるデータの取得/生成です。つまり、礎となる点群データやオルソ画像・標高差データなどの各種データを得ることが出来れば、収集する機器はドローンにこだわる必要はないわけです。

言い換えれば、「現場の地形データを、時間と費用を抑えて取得できれば」どのような手段を使っても良いといえるでしょう。

日本の建設現場の90%を占めるのは小規模土工という現実

日本の建設現場の比率では、ドローンの活躍が期待される大規模土工は10%程度。残りの90%は小規模土工現場で、中には市街地も含まれます。測量に用いるドローンは、GPS制御で優れた安全性を持ちますが、絶対に墜落しないとは言い切れません。

ドローンの使用料は事業規模に関わりなく一律であることが多いため、小規模な工事ほどドローン関連の機材費・人件費が工事費全体に占める割合が大きくなります。そのため費用面において、従来型の測量よりも必ず有利であると言い難いケースもあります。

日本の現場ニーズにあったSmart Construction Quick3D

令和二年、国土交通省が進めるi-Constructionは、小規模土工のICT施工推進を目的とした簡易型ICT活用工事がスタートさせました。これは、小規模土工において経費の嵩むレーザースキャナやICT建機を用いなくても、断面管理又は面管理で実施可能なICT活用工事です。
これにより、i-Constructionに適合する測量ツールは、大規模現場で活躍するドローン以外にも広がっています。

2022年4月、EARTHBRAINは、市街地を含む小規模土工に特化した3次元計測アプリ「Smart Construction Quick3D」を開発しました。
このSmart Construction Quick3Dは、iPhoneやiPadといったiOS搭載の端末にインストールが可能。もっとも普及しているモバイル端末を利用しているため、特別な設備投資を行わなくてもすぐに利用できます。

操作面においても、特別なITスキルを必要としません。直感的な操作で作動するインターフェイスを備えているため、誰でも簡単に高精度な計測点群データを生成できるのが特徴です。

詳しくは以下の動画でも手順を説明しています。

EARTHBRAINが考えるドローンの活用方法

ここまでこのコンテンツでは、ドローン測量が必ずしも日本の測量シーンにマッチする訳ではないことをまとめてきました。

EARTHBRAINが、現場のドローン導入に異論を唱えているのか?というと、そんなことはありません。我々は現場において、ドローンを日々の地形の変化の可視化に有効的に活用するべきだと考えています。

建機のICT化が進んだこともあり、ICT建機の刃先の動きを計測すれば土量のデータ化は可能です。しかしICT建機以外で作業した箇所の土量データを取得することはできません。つまり、ICT建機と従来型建機が混在する土木現場全体で動いた土量や地形変化はわかりませんでした。

そこで、EARTHBRAINは、「ドローンを使って現場全体の地形データ(3次元データ)を取得し、現場の進捗管理に活かせないか?」と考え、ドローンの特性を上手く活かしたシステム開発を行ってきました。

Smart Construction Droneという考え方。現場で3D点群化処理まで実現できるSmart Construction Edge。

建設現場において、日々の進捗管理は重要な作業です。しかし、多様な建機や複数の事業者が共同作業を行う現場で、現場全体のデータを正確に把握していくことは容易ではありません。

ドローンで高所から3Dデータを日々収集すれば、時間の経過と共にどの程度地形が変化したのか簡単に把握できるようなります。これを可能にするのが「Smart Construction Drone(旧名称:EverydayDrone)」です。

そして、Smart Constructionの特長は、Smart Construction Droneのみの提供ではないという点です。Smart Construction Droneで取得した画像データは、現場にある「Smart Construction Edge」と連携し、わずか20分程度※で3D点群化処理することができます。(※2万㎡の地形をドローンで撮影した場合)

「Smart Construction Drone」と「Smart Construction Edge」を利用すれば、誰でも簡単に現場の変化をデジタル化できるようになり、建設現場の土量管理や進捗管理に大きな進化をもたらします。

まとめ

国土交通省が進めるi-Constructionを見据え、ドローン測量を導入検討されている(もしくはされた)事業者の方々は多いかと思います。しかし、日本の国土の特性や、現場の実情を考えるとドローンを測量に絞って活用するのは得策ではない可能性もあるのです。

現場のDX推進やICT機器導入で重要なのは、「地形データをいかに効率よく取得するのか?」ということです。ドローンは、あくまでもその中の1つのツールでしかありません。特に小規模現場では、予算・スキルという面に主眼を置いて、先入観にとらわれず機器の導入を検討されるのが良いと思います。Smart Construction Quick3Dなどアプリケーションも、その1つの選択肢となるでしょう。

i-Constructionの推進や制度による加点にご興味がございましたら、ぜひ私たちEARTHBRAINにご相談ください。我々は、単にシステムや建機導入のご案内を行う企業ではありません。お客さまの業態や規模に合わせ、最適なご提案をさせていただきます。