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地球環境に負荷をかけない住居を目指す 〜アースバッグ工法×○○○でエコフレンドリーな未来へ〜

アースバッグ工法に興味を持たれた理由の一つに、"土"という環境に優しいという点を選ぶ方も多いのではないかと思います。
現状で私たちが実践できている内容と今後の取り組みも含め、アースバッグ工法をベースにしたエコフレンドリーなアイディアを紹介していきます。

まずエコ建築への可能性を紹介する前に「なぜアースバッグにドーム形状が多いのか」と「ドームの課題」をお話しします。

世界各地に見られるアースバッグハウスは半数以上が「カテナリー曲線(懸垂線)のドーム型」です。
カテナリー曲線とは、ひもの両端をそれぞれ右手と左手に持って、少したるませたときに出来る形です。
力学的に安定した形を示しており、アースバッグだけでなく錦帯橋の橋やサクラダファミリアの設計にも応用されています。

カテナリー曲線をひっくり返した設計

このカテナリードームは重力に逆らわない安定した強さですが、屋根がないドーム形状では"防水"が課題となります。

普及当初は石灰クリーム等での防水処置も試みましたが
1年足らずで外壁がボロボロになってしまい、カビも発生のリスクも高まり、
雨季もあり雨のある日本では、自然素材のみでの防水は難しいことがわかりました。

屋根のないドーム形状では雨で削れない硬い層を作り、防水をかけることが重要です。
現在は「ラス網+モルタル+軽モル」でしっかりとした下地を作り、防水をかけることで快適な室内環境を保つことができるようになっています。

しかし、自然素材だけで作れるアースバッグの可能性もまだ諦めません!!!


まず現在ではアースバッグの躯体部分において、和製コンクリート技術(=三和土)を取り入れることで、セメントを使わずに十分な強度を保ったドーム空間の制作が可能となっております。

和製コンクリート技術を採用して作ったアースミックス


そしてもう一つ、実践して成功した例は...「no プラスチック」👍
ネットチューブと呼ばれるプラスチックのバッグを”ジュート袋に変換”し、躯体の積み上げに成功しています。

ジュート袋で制作したアースバッグ

これにより100%とはいきませんが、躯体部分に関してはプラスチックを削減し、自然素材の比率を高められることがわかりました。

そして、この後にご紹介するのが、「100%自然素材ハウス」や「オフグリットハウス」に向けたアイディアです✨


アースバッグ工法×○○○○○でエコフレンドリーな未来へ


[ アースバッグ工法×ヘンプクリートでエアコンの要らない家 ]
ヘンプクリートとは、麻の茎であるオガラを粉砕し、消石灰と水を加えることで硬化したブロックのことです。上質な素材で環境にも良く、現在ある断熱材の代わりとなり得ます。
他国では、壁や屋根、床下の断熱材にヘンプクリートを使用した建築物が、従来の建築物に比べて50%のエネルギー消費削減を達成したと報告されています。
アースバッグの壁が蓄熱層となるので、アースバッグの外側にヘンプクリート層を置くことで、洞窟のように年中安定した気温を保つ可能性があり、エアコンの要らない家の実現も可能なのではないかと考えています。

参照; 国際ヘンプビジネス情報サイト


[ アースバッグドーム×瓦屋根 ]

現在「ラス網+モルタル+軽モル+防水層」で防水を行っていますが、この4つの工程を「瓦」一つにできるのではないかと考えています。
瓦は日本家屋の屋根にある瓦ではなく、ドーム形状に対応した瓦をデザイン開発する必要があります。
ドーム形状は縦横両方向に湾曲しており、場所場所によりその湾曲具合も異なります。

もしこの瓦が開発できれば、製作工程がシンプルになり、さらに瓦は半永久的!
自然素材でもありますので、一石二鳥どころか一石三鳥のアイディアです🥺

瓦の形状のアイディアは自然界にヒントがあるのではないかと思い、現在も模索中です。


[ アースバッグ工法×アースシップシステム ]
アースシップとは地球船を意味する造語で、アースバッグ工法と同じく米国発祥のオフグリットハウスです。
廃タイヤに土を詰めて壁を作り、室内に自家菜園も可能な植物層、ソーラーで電気を自給、雨水を濾過して飲み水に、蓄熱断熱層を設け室内は年中安定した気温を保つなどのエコシステムが組み込まれています。
世界各国、砂漠地帯や豪雪地帯でも実績があり、ライフラインが供給されていない場所でも人間の生活を可能にする"地球のエネルギーをいただき、自給する家"です。

廃タイヤや空き缶などで制作する壁部分をアースバッグ工法を用いて制作し、外壁部に上記で紹介したヘンプクリートを導入、その他アースシップの素晴らしいシステム部分を導入したオフグリットハウスの構想があり、このビックプロジェクトもいつの日にか実現したいとイメージしています♪

ニューメキシコにあるアースシップハウス内観


さて、今回の記事では「アースバッグ工法×エコフレンドリーの可能性」を紹介させていただきました。

どこまで自然素材を使いたいのか、どこまでを現代の建材を取り入れるのか
その基準は人によって様々です。良し悪しの話でもありません。

私たちも現段階では扱いやすいセメントを頼りにさせてもらっていますし、
汚れや色落ちのしづらい新建材もとても便利で重宝させてもらっています。

しかし、人間の活動によって地球環境が汚れていっているのは事実です。
なので、私たちはアースバッグ工法から、環境問題へのアプローチも試みていきたいと考えています。

アースバッグ工法だけがその解決方法ではありませんが、
アースバッグ工法を一つの手段に、他の技術やアイディアを組み合わせることで
地球環境に負荷をかけない家を作れる可能性がみえています。

そんなエコフレンドリーな家が「未来の住居」の選択肢の一つになることを願っています。


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