はやぶさ2のプロジェクトマネージャーはなぜ「無駄」を大切にしたのか?

連日40度を越える暑い日が続いていますが、最近それに乗っかって始めたことがあります。

休日の前夜に、テレビのニュースから「明日は40度を超える恐れもあります。極力外出を控えましょう」と流れてきたら、特に外出したい事がない場合は、科学者達が書いた本を一気に読みきる日とすることにしたのです。

前回の日記では「科学に恋をしました」と書きましたが、段々と宇宙の世界を知るにつれ、私の前に立ちはだかったのが科学の世界の「専門用語」と「専門知識」でした。

ある程度覚悟はしていましたが、やはり科学の専門用語は難しい。
知らない言葉も、ある程度体験や経験があれば、うまく読み飛ばしながら想像力で補えるのでしょうが、宇宙の世界に興味を持ってからまだ日が浅い私には、その方法を使えるほどの経験もなく。

その為、実際にお話して興味を持った科学者や天文学者の方の本を読み始めても、仕事の合間に、ちょこちょこ読む進め方だと、なかなか最後まで辿り着けないということが起きてました。

でも、本の内容が魅了的なことは間違いないというのは感じるので、どうしても読み切りたい、できたら理解もしたいという気持ちもあり。

そこで、科学者達が書いた本は、2日以内に読み切るというルールを自分に課せてみることにしました。
多少分からない内容や言葉が出てきても、とにかく勢いを止めることなく読み進んでいくのです。

最初の1冊目として、昨日・今日は津田雄一さんの『はやぶさ2のプロジェクトマネージャーはなぜ「むだ」を大切にしたのか?』という本を読みました。
まず知っている方の本からスタートしてみようと思ったのです。


読み切った感想は、感動したの一言です。

人間の脳はここまで専門的な知識を吸収し、それに留まらずそこから新しいものを生み出すことができるのか、またそこに至るまでの過程における熱さと冷静さの絶妙なバランス・・・そんな津田さんの知的さに感動しました。

特に印象に残っているのは、津田さんが小学校5年生の時に、旅客機の墜落事故のニュースで、飛行機の後部には「圧力隔壁」というものがあること知り、機体の構造や与圧の仕組みが重要であることに関心を抱き、その後スペースシャトル「チャレンジャー号」の爆発事故を見た時に、人工物は「カッコよさ」よりも先に「安全」を考えなければならないといけないと強く意識した・・・というエピソードです。

小学生でそんなことを考えるのかという驚きと共に、このエピソードを読んだ時に、そう言えば自分の場合は小学校6年生の時に、お誕生日プレゼントに両親に遊園地に連れてってもらい、「今日はなんの乗り物にも乗って良いんだよ!」と言われた時に、嬉しい気持ちになった反面、「私は楽しませてもらう人間ではなくて、楽しませる方の人間なのに・・・!」と、なぜか悔しい気持ちと共に、遊園地のスタッフさんを羨ましく思う気持ちを強く感じたことを思い出しました。

のちに私は「The Orchestra Japan」というオケに入り、「ディズニー・オン・クラシック」というコンサートで全国ツアーをまわることになるのですが、「なるほど。あの感覚はこういうことだったのか」と辻褄が合ったような気持ちになったことを思い出したのです。

津田さんやJAXAの方に出会い、お話しする機会ができるようになってから、自分の脳がそれまでの自分では考えられないような速さで回転するようになって、それが楽しくてしょうがなく、慣れるまでは日常に戻るのが大変という時があったのですが、知的さというのは、本人の知的さが相手に伝わるだけではなく、話している相手や本を読んでいる読者に、何か振動を与え、普段無意識に感じているその人の知的さや個性という魅力を気づかせ、引き出す力を持つということなのかもしれないなと思いました。

「主観と俯瞰」の項を読んだ直後に、たまたま建築家の安藤忠雄さんが、良い建築を創る為には「野生と教養」の両方を持っていることが大切とお話しされているのをテレビで拝見し、点と点がつながったような気がしました。

良い本や良い言葉は、自分が1番必要としてる時に出会う気がします。

最初の1冊目がとても良い時間となったので、また新たな科学者の方の本を開くことが楽しみになったことが嬉しいです。

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