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妄想力が源泉、ビジョンの具現化サイクル。

ベストセラー『直感と論理をつなぐ思考法 VISION DRIVEN』著者であり、先日、『ひとりの妄想で未来は変わる VISION DRIVEN INNOVATIONVISION DRIVEN』を上梓された 佐宗邦威氏に、"ビジョン" を具現化していく方法を伺った。

佐宗氏は、P&Gでブランドマネージャー、ソニーで全社横断の新規事業創出プログラムの立ち上げなどで活躍後、企業や組織をひとつの生命体ととらえ一人ひとりの妄想や想いに熱を吹き込む、共創型戦略デザインファームBIOTOPEのトップとして、デザイン思考などを用いた商品開発、リブランディング、インナー支援などに取り組んでいる。

目次
1)社会に意義をもたらす "創造力 = クリエイティブ"
2)創造力の源泉は、"妄想"にアリ
3)" 独創力 = 妄想 " を解剖する
4)ビジョンを具現化するサイクル


1)社会に意義をもたらす "創造力 = クリエイティブ"

佐宗氏は、作業的な仕事は誰かの役に立っていると思いやすいが、今後なくなっていきそうだと言う。
現代社会は、合理的に最適化されていくことばかりだ。そんな社会で必要になるのが、"創造力" 。佐宗氏は、"創造力=クリエイティブ" は、社会に意義をもたらす活動であり、「非デザイナーが様々な人と共働し、ユニークな視点で課題を解決し、創造的に解決策を創る方法 = 創造的問題解決」と定義する。

たしかに、"ストーリーテリング" と言われるように、ストーリーや世界観があるからこそ、人々の共感を生み、唯一無二の存在となるのではと思う。

2)創造力の源泉は、"妄想"にアリ

佐宗氏は、イノベーションが生まれるプロセスには「0→1」「1→10」「10→100」「100→無限大」と、各段階があると説明する。

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イノベーションが起きるときは必ず、一人の狂信的ともいえる妄想家による " 独創力 = 妄想 " が働くようだ。熱狂的に「やりたい」という思いが、実際の行動へと繋がり、共感を生み、具現化に至るのではないだろうか。

そうして、個人の妄想を起点にした、今までになかったことをやっていくことで、その妄想家は、意義を自分ごと化し、「自分でやった」という経験となり、自己肯定感が高まると言う。個人的に、こどもの教育に関心があるので、こういった経験を積み、共感・支援してくれる大人が増えたら、どんなに生きやすい社会になるだろうかと、早速妄想する。

3)" 独創力 = 妄想 " を解剖する

具体的に、"独創力"とはなんだろうか。
佐宗氏は、「今は世の中にないけれど、自分はこういうものが必要だと思う」という、根拠のない思い込みだと言う。

それでは、どうやって独創力を育むのだろう?

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世界が上下に分かれているが、下は一見役に立たず自分にしか見えない価値を育てる潜在意識の世界(「ビジョンのアトリエ」)。上は、目に見える価値を見、人の役に立って生きる現実世界。私たちは常に、この中のどこかを往復しながら生きていると言う。詳しくは『直感と論理をつなぐ思考法』を。じっくり自己と照らして深めたい内容だ。

4)ビジョンを具現化するサイクル

上述にある潜在意識の世界(ビジョンのアトリエ)で独創することが、創造力の源泉だと学んだ。

では、ビジョンを具現化するには、どうしていくのだろう?

佐宗氏は、4つの要素から構成するサイクルがあると言う。
自分自身のモチベーションに向き合い ①妄想する、具体的に何だと ②知覚する、自分なりに切り口を ③組替する、自分なりの言葉で他者に伝える ④表現する。(引用元:『直感と論理をつなぐ思考法』

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佐宗氏は、日本人はあまり妄想しないし、自分が思っていることをギリギリまで話さず守る傾向にあると言う。海外では、皆根拠ないけれど堂々と話し、何やらすごそうに聞こえるそうだ。

また、日本人が "妄想" と言うことは、実は "ビジョン" ではないか?と思うようになったと言う。

今回のお話を伺い、まさに妄想こそがビジョンを生み出す源泉ではないかと、個人的な経験からも思った。

もっと自由に想像し、表現し、実際に形づくれる社会になると、個々人がゆるやかにクリエイティブに生きられ、社会も創発していくのではないだろうかと感じる。

情報元:
武蔵野美術大学 大学院造形構想研究科 クリエイティブリーダシップコース クリエイティブリーダシップ特論 第2回 佐宗邦威氏 2019/04/17