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【参考論文】2000年沖縄サミットが沖縄イメージに与えた影響 📖☁️

私は、プロジェクトの参考になりそうな論文として『沖縄の観光イメージを全国に発信するための沖縄サミットの広報・広告活動に関する研究』(宮森正樹)を読んでみました!📖

【論文の概要】

1) 2000年7月に行われた沖縄サミットに関連して発信された沖縄情報により、沖縄の認知度やイメージがどう変化していくのか
2)それは沖縄への観光訪問にどう影響を与えるのかを分析
3)首都圏、沖縄の持つ沖縄のイメージの違いを印紙分析で分類していく。

☁️本研究では、特に次の5つに焦点絞って考察。

1.サミットに関する情報発信は沖縄の認知度向上に貢献したか
2.沖縄観光ブランドはサミットをきっかけとしてそのイメージを向上させたか
3.何が沖縄のイメージ構築に影響を及ぼしたか
4.サミット開催によって、沖縄を訪問する観光客の増加は期待できるか
5.首都圏、沖縄の持つ沖縄イメージの違いは何か

【問題へのアプローチ方法】

📚アンケート調査とインタビュー調査

<沖縄県での調査>
・沖縄県でのインタビューとアンケート調査をサミット前後に実施
・行政を中心に、機関が発信した情報の分析と整理
・沖縄県民のサミット関連情報の認知レベルの確認

<首都圏での調査>
・サミット前後に質問票によるアンケート調査を実施
・東京23区内から抽出。標本数は、各調査で200ずつ。
・沖縄からの情報がどの程度認知されたか
・サミット関連情報が沖縄のイメージにどのように影響したか

サンプリング方法→多段抽出法(ランダムサンプリング) 🧪

【調査結果】

先ほど紹介した5つの焦点と照らし合わせて
確認していこうと思います😌


✨ 1.サミットに関する情報発信は沖縄の認知度向上に貢献したか

沖縄県側の情報発信は首都圏における沖縄の認知向上にあまり貢献していないようであった。

首都圏と沖縄側では、沖縄に対する認知度の想定にギャップが見られる🧐

沖縄県民はサミットの沖縄開催によって沖縄の認知が首都圏においてかなり上昇したものと思っていたが、実際には、首都圏でのサミット前後の沖縄に対する認知度には、それほどの差はなかった!!


 ✨ 2.沖縄の観光イメージはサミットをきっかけとして向上したか

沖縄サミットは全体的な沖縄のイメージの変化に与える影響は大きくなかった。

しかし、いくつかの強い影響を与えたイメージ要素も!!

沖縄の芸能・文化
歓迎レセプションなどで披露された「エイサー」「沖縄音楽」などの芸能面のイメージが向上🎶

「戦争の傷跡」
サミット開催によって増加したメディアでの沖縄特集で米軍基地の問題などが取り上げられたことによって改めて戦争の傷跡を感じさせた。

親近感、身近なイメージ
沖縄のいろいろな情報に接触する機会が増えたことで沖縄に「身近な」イメージを持つ人が増えた👏🏻


✨ 3.何が沖縄のイメージ構築に影響を及ぼしたか

サミットに関する沖縄情報を知覚した媒体は、沖縄、首都圏共に「テレビのニュース」が最も多く、続いて「新聞記事」となった。

他にも、「周りの人」という口コミ「雑誌の特集」なども沖縄情報発信に貢献していた🗣

行政などによる沖縄発信の情報は県内だけにとどまっており、メディアの発信が中心であった。


✨ 4.サミット開催によって、沖縄を訪問する観光客の増加は期待できるか

サミット開催前、首都圏における訪沖意向は、79.6%と、沖縄側の予想である62.9%より若干高くなっている。

サミット後に首都圏における訪沖意向は86.6%と上昇してきているが、サミット前後の統計的有意性は出ていない。

つまり、サミットをきっかけに訪沖意向が特に高まったとは言えない結果🫤


✨ 5.首都圏、沖縄の持つ沖縄イメージの違いは何か

≪沖縄の自己イメージ≫

沖縄の自己イメージを因子分析すると4つの成分が抽出された。

1)文化的なもの米軍基地、沖縄の人の親切さやのんびりした雰囲気など複合的な沖縄イメージ
2)サブトロピカルで海や空が綺麗でマリンスポーツが楽しめるイメージ
3)美味しいものを食べてショッピングを楽しむ周遊型の観光イメージ
4)イメージはある。具体的には言えない。

「青い海と空」に代表される典型的なマリンレジャーや料理・ショッピング・観光地巡りなどの一般的な観光地イメージを明確に持っている!!

しかし、それらの他に、音楽や文化、米軍基地、のんびりとした雰囲気、気軽にいけるところ、と言った雑然とした個々のイメージを持っていることが分かった。

→沖縄県民自体、自分たちのアイデンティティとしての自己イメージがまだ確立されていない🧐🧪

≪首都圏の沖縄イメージ≫

首都圏では次の6つの成分が抽出された。

1)文化や音楽、そしてのんびりしたイメージ
2)安全で親切で、私の好きな沖縄というイメージ
3)暖かい沖縄で料理やショッピングを楽しむ観光地イメージ
4)旅費も安くなり気軽にいける観光地イメージ
5)戦争の傷跡が残っており、米軍基地のイメージ
6)青い海や空の下で楽しむマリンスポーツのイメージ

因子分析の結果、首都圏の人々は、沖縄に対してそれぞれが明確なイメージを持っているように思われる。

旅行業界が沖縄のイメージの多様化を図り、顧客を細分化してそれぞれのニーズに対応するために沖縄イメージの細分化が為されたことが理由だと考えられる😌


以上が論文のまとめです!🥹💦

🐏 2000年のサミットから2022年現在

この20年間で沖縄県は、観光地として知名度を急激に上昇させてきたと思います。

現在の首都圏での沖縄の認知度や沖縄イメージを改めて調べて比較すると面白そうだなと思いました!

また、沖縄県民が観光の要素では沖縄に対して明確なイメージを持っているけど、自分のアイデンティティを表すような自己イメージが確立されていないという研究結果について、現代の沖縄県民がどのような自己イメージを持っているのか調べてみたいと思いました🧐💐

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