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少年Aと少女B

あぁ また目が覚めちまった。

淀み切ったくそ重い空気を瞼に感じる。リアルだ。

眠りにつくたびに このまま目覚めなければいいのにと願う。

残念ながら今日もそうはならなかった。

諦めを決めて 重い瞼を開けると 
そこにはさまざまなものが行き場を無くしたままに
放置されている見慣れた部屋。

いつ食べたかもわからないカップラーメンのカップには
割りばしと乾涸びたつゆ。

ほぼエタノールの焼酎のペットボトル。

脱ぎっぱなしの服。


せめて ここではないどこかで目覚めたかったなと思う。

あー腹減った。

こんなにも生きることに飽きたのに 腹が減る不思議。

このまま何も食べずに餓死もいいかな。


隣の部屋から寝息といびきが聞こえる。

「またか。」

オレはのろのろと起き上がって その辺に堕ちてた服の匂いを嗅いだ。

死にたい人間がそんなことを気にするのも変だよな。

自分で突っ込み鼻で笑って 堕ちてたその服に着替えて 外に出た。


ドアの外は目が眩むほどの眩しい光。

雲一つない空。

オレはここに居ていいんだろうか。晴れた空に妙に後ろめたくなる。

絶望

オレの相棒。

アイツはオレに興味なんかないんだと分かってからずっと一緒だった。


絶望でしかないオレの人生。

この世界とオレをかろうじて繋いでいるのは

空気と水。

呼吸をする。

渇きをいやす。

それだけの世界。

空気と水がなくなっても構わないし

むしろなくなってくれねーかなと思う。

こうやって歩いてるのに
オレは誰の視界の中にもいない。

オレはこの世界に存在してるのか。

してると言えるのか。

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