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「読みたい」の地層-2020.04-2

「この本が、自分に未知の何かを教えてくれる」「特別な感情を湧き上がらせてくれる」「ここではないどこかへ連れて行ってくれる」「もしかしたら自分を変えてくれる」「あるいは成長させてくれる」そういったポジティブな予感の集積によって、本は積み上がっていくのだ。自分は元々ネガティブな人間ではあるのだけど、世界に対して肯定的でなければその衝動は起こり得ない。だからこそ大事にしたいと思うのだ。」(施川ユウキ『バーナード嬢曰く。②』、p.44)

「読みたい」という感情は、積み重なって層になる。その層は、いつか振り返ったとき、その時の自分を知る手がかりになるかもしれない。

これは、ある本を読みたいと思ったときの感情を記録しようとする極私的ジャーナルです。


ひきつづき、疲れている

前回にひきつづき、疲れている。自分が感染したわけでも、周りの人が感染したわけでもない(・・・とは言えないかもしれないが、わからない)。仕事はイレギュラー対応で忙しくなったけど、忙しくなるほど仕事があるのはありがたいというか、特に仕事が減って明日の暮らしがやばい、みたいなことにはならずに済んでいる。それもで、明らかに疲れている。本が読めない。テキストが全く頭に入ってこないのだ。文字を書くのもいつもより力がいるが、それでも、まだテキストを吐き出す方が、楽に感じる。

疲れるから、情報に触れる機会をやや減らしている。そうしていると、読みたいと思う本当の出会いも、やや減ってしまっているような気がする。それは残念だけど、まずは自分の体調を整えることが、最優先だろう。

野中モモの「ZINE」 小さなわたしのメディアを作る(野中モモ著、晶文社)

4月×日

朝起きて、いつものようにTBSラジオのアト6とセッションの前日放送分をラジオクラウドでダウンロードする。情報に触れる機会をやや意図的に減らしていると言っても、この作業はもはやルーティンになっていて、意識せずとも、する。何かを意志や意図を持って行うのが辛いときでも、考えずに行うルーティンとかした作業は、できる。こういう時にルーティンの偉大さを感じる。

アト6、4月8日「カルチャートーク」のゲストは翻訳者・ライターの野中モモさん、新刊「野中モモの「ZINE」 小さなわたしのメディアを作る」を紹介していた。

誰かを代弁するんじゃなくて、まず自分はどうなんだろうということを、落ち着いて考えて、出していくことが受け入れられるフィールドとして、ZINEが栄えていくといいなと思います。

自分の「好き」を自分の手で表現できること、あまりに誰かの意見が多く耳に入ってくる今だから、「まず自分はどうなんだろうということを、落ち着いて考えて、出していくこと」に惹かれる。

きっとあの人は眠っているんだよ: 穂村弘の読書日記(穂村弘著、河出書房新社)

4月×日

下北沢のBONUS TRUCKにオープンした「日記屋 月日」の月額会員「日記屋月日会」に入会した。第1期は気づいたらすでに定員になっていて、それがまた悔しくて2期募集あったら必ず即申し込みと決めていた。

日記の重要性というか、尊さみたいなものが、自分の中で高まっている。「まず自分はどうなんだろうということを、落ち着いて考えて、出していくこと」ができる場として。日々、目まぐるしく状況が変わる今において、そのときどき、自分が何を考えていたのかを記録しておく手段として。

そういえば、自宅の本棚にもいくつか「日記本」があったはずだ、と思って見つけたのは愛すべき穂村さんの本。穂村さんの文章なら、いまでも読める気がする。そして、読書日記なら、読みたいと思う本が見つかるかもしれない、というちょっとせこい(?)狙いもある。


読書の日記 本づくり/スープとパン/重力の虹(阿久津隆著、NUMABOOKS)

読書日記、というジャンルであれば、先日手に入れた『読書の日記 本づくり/スープとパン/重力の虹』は、読み時なんじゃないかという気分になってきた。

別に本なんて読みどきも何も、読みたいと思った時に読めばいいじゃん、と思うのだが、阿久津さんとfuzkueのファンとしては本書は特別なので、読むときと読み場所は選びたい、どうせならfuzkueに行って読みたい、とかいろいろ考えた。

3月にちょっと大きなプロジェクトを終え、4月になったらfuzkueに行くんだ、と思っていたらこの状況。このままじゃ読みどきを逃し続けるとなぜか焦りが出てきた。

日記は今こそ読み、書くものだという思いが日に日に増してくる。

fuzkueはHPもリニューアルしていた。下北沢店にも、はやくいきたい。

向田邦子ベスト・エッセイ(ちくま文庫)

4月ば日

土曜日はうれしい。土日休みの仕事をしているので、土曜日は休みの始まりであり、明日も休みだという事実を、安心して味わえる唯一無二の日だ。

朝日新聞の読書面を読む。「文庫 この新刊!」の紹介者は堀部さん。三冊あげたうちの一冊が、『向田邦子ベスト・エッセイ』だった。

まるでカットが切り替わるようにシーンがつなぎ合わされ、タイトルと無関係だと思われた伏線が主題へとリンクし、見事に回収されていく。(朝日新聞、4月11日)

3月にも読みたいと思ったが、今積んである本を少し消化してから・・・と思って手を出さなかった。でも、堀部さんがいいと言ってるなら、やっぱり買っちゃおうかな、外出自粛でも本屋さんにいくのは生活上必要だからいいかな、そういえば近所のショッピングセンターに入っている大型書店は休業中だった、となりAmazonへ。

品切れだった。しかも、中古品に5000円近くの値段がついている(4月12日現在)。3月に出た新刊なのに、どうした・・・?じゃあ久しぶりに楽天で、と思ったら楽天もメーカー取り寄せ、とのこと。

とりあえず、『眠る盃』を読み返そうか。






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