「余計なお金を使わない」が「無駄遣いをしない」よりも難しい理由
世の中には簡単なのにもかかわらず資産形成の方法としてわりと軽視されているものがある。
それは「無駄遣いをしない」と「余計なお金を使わない」ことだ。
「そんな事わかってるよ」というのが大半だろう。
しかしながら実際のところかなりの人が実践できていない。
何故か?
原因は「余計なお金を使わない」と「無駄遣いをしない」を混同している事にあるのではないか?と私は考えている。
「無駄遣いをしない」はそれそのものを止めるという意味だが「余計なお金を使わない」はお金を使ってもいいが相応しい金額でという意味だ。
そうなるとゼロイチの「無駄遣いをしない」は上手く行きそうだが、1~99という考え方に近い「余計なお金を使わない」は調節が難しそうだ。
だからこそ考えてみよう。
「余計なお金を使わない」を上手くやるにはどうすればいいのか?を。
ここから先に書いてあることは“私が知っている範囲のお金に余裕のある人の話”で、一般的な話ではない。
どこにでもありふれている一般論が知りたいなら時間の無駄になるので、この先を読まない事を強くお勧めします。
何か見つかるかもしれないと考えている方は是非読んでみてください。
おそらく共感する部分が一つか二つ見つかるでしょう。
■営業マンからお勧めされたものは買わない
これはわりと知られているので実践している人がいるかもしれないが「営業マンからものを買わない」というのがある。
営業が必死に販売する商品価格の殆どは彼らのインセンティブである。
現代において良品は初期広告は必要となるが、営業を必要としない。
営業しなければ売れないものは良品ではない。
本来物を買うのに営業マンにいちいち説明を受ける必要はない。
しかしながら事前に知識を入れてから購買行動に移すという考え方が珍しいのか、いちいち罠にかかりに行く人が存在する。
なので未だに営業職というのが存在し続けられている。
一定数、営業マンの話を聞いてしまうような“人のいい”金持ちも存在するが、その多くは自分の力で金持ちになったわけではないか、自分が財を成した方法以外は全く無頓着な人のどちらかだろう。
彼らの保有する金融資産はショボいもので溢れており、それが良いものなのか悪いものなのか判断する力もない。
環境に恵まれていたり、他の能力に長けていたので助かったが、そうではない人が同じ金融商品を持っていたなら致命傷だ。
営業マンの中には上記の様な“抜けている”金持ちにものを売って成績を上げている者もいる(そういった人は大体優績と呼ばれている)。
かく言う私も若い頃、営業で手っ取り早く稼ぐためにこの手の金持ちを狙って契約をとりまくり、優績だと言われて浮かれていた。
今思えば誇れる過去ではない。
■広告で購入を決定することは無い
当たり前のことを書くが、広告主が広告で商品にとって不利な事をアナウンスすることはめったにない。
つまり広告からは十分な情報を得ることが出来ないのだ。
自分が知り尽くしている商品であれば価格だけ見れば良いのだが、そうでない場合は“広告に掲載されている都合の良い事”で判断することになる。
“要するにそういう事”なので言葉は悪いが「広告見て買いました」と言う人は大体チョロい。
「何も考えていません」と言っているようなものだからだ。
限界効用を迎えにくいような消費財であれば何度も購入してくれる可能性が高く、飽きが来そうになっても、中身がほぼ変わっていない新商品を提供すればホイホイ買ってくれる。
そしてそういう人に限って自分の目利きに自信があると言う。
救いがない。
あなたも一度くらいは過去に何らかの広告を見て「怪しいな」と感じたことがあるだろう。
正解か不正解かは横において、怪しいと思うのには何かきっかけがあったはずだ(多くの場合ネットコラムで読んだとか先入観とかそんなもんだが)。
では「怪しくない」という基準はどこにあるのか考えてみよう。
もしかして「信頼できる会社」とか「インフルエンサーが宣伝している」とか「知り合いが良いと言っていた」とかそんなもんじゃないだろうか?
それは「怪しくない」をとてもクリアできるような条件ではない。
広告でモノを買うならその商品を熟知して価格が高いか安いかだけの判断でいいくらいの知識を持ってからにした方がいい。
私は若い頃、尊敬する先輩に言われたことがある。
「解らないものを買うなら損する覚悟を持って買え、そうすれば損した時、悪いのは全て自分になる」
「自分の購買行動の失敗を他人の責任にしない」という生き方になるのに十分な言葉だった。
■親や友人からお勧めされた商品は買わない
これもお金に余裕があり道楽が許される人がやる事だ。
お金が無いなら大事な購買行動の一つを「他の人が満足できたかどうか」で判断するのは浅はかだ。
私がまだFPをやっていた頃「親にお勧めされてこの保険に入っている」といった類の愚かな発言を何度も聞いたことがある。
何故愚かなのか?
親と子は違うからだ。
人にお勧めされたものの中には良いものもあるかもしれないが、多くの場合その人にとって良かっただけの話しである。
自分にとって良いかどうかは、お勧めされたかどうかに関係なくジャッジする必要がある。
所詮お勧めしてきた人は素人なのだから(勿論お勧めしてきた人がプロならば話は違うのだが)あなたにとって良いかどうかなんて解るはずもない。
しかしながら親や友人がお勧めしてくる場合、殆どが厚意である。
それが解っていてもメリットよりもデメリットが勝るようなら、厚意には感謝しつつ購入は遠慮する方がいい。
継続するものなら止め辛いし、存在感があるモノなら取り替え辛いからだ。
営業手法として「親や友人からのオススメ(紹介)」を利用してくる人もいる。
もしかしたら、貴方の親や友人の裏には営業マンがいるのかもしれない。
さて、今回書いたことを全てやらないとなると、どうやって購買行動を起こせばいいか解らないという人も出てくるだろう。
簡単な事です。
知識を得て、自ら欲しいものを見つけに行くのです。
たったそれだけです。
たったそれだけで「余計なお金を使わない」で済むでしょう。
この様に「余計なお金を使わない」は頭を使う必要がありますが「無駄遣いをしない」は止めればいいだけなので頭を使う必要が無い。
手っ取り早くお金を貯めたいならお金を使う事を止める事から始めるといい。
人生が退屈になって嫌だという人は、頭を使って余計なお金を使わないようにすればいいだろう。
因みに私は無駄遣いを止められないので、余計なお金を使わないことに力を入れています。
毎日楽しいです。
ではでは・・・・