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 今朝見た夢がとても鮮明でかなしくて、しばらく立ち直れなさそうだ。

 私は高校生で、何かのパーティーに参加している。パーティーには私服で来て、レンタル室から好きに服を選んでよいことになっていて、私はジャンポール・ゴルチエのセットアップに決めた。トップスは背中にボタンのついたカーキの変形ブラウスで、若冲の鶏が刺繍されている上に、同色または黒のチュールレースがギャザーを寄せて何枚か重ねて縫い付けられていて、鶏がヴェールの奥に居るように見える仕掛けになっている。セットのスカートは部分的にプリーツになっているフレアーロングスカートで、これにも布帛の地にチュールやシフォンなど異素材が多用されていて、ボリュームのあるシルエットになっている。腰の部分にベルト、正面には四つボタンがついているので、カーキ色ということもあって、軍服風スカート、あるいはトレンチコートの下半分のように見える。

 私は好きな人を探していた。人でごった返しているパーティー会場は小さい部屋の沢山集まった洋館を一棟借りきっているので、通路は狭く、部屋は入りくんでいる。そう、その人は自分のことを迷路だと言っていた。

 その人を見つけた経緯は省略されている。気付くと目の前にその人がいた。はっきりその人だとわかっているのに、顔はぼんやりしている。だって私は二年以上その人に会ってないから。そしてその人に会ったら、衣装はそのままに、私は大人になっていた。

 好きな人は遠くに行ってしまうのだと言った。そして、今もなお私の作品を待っていると言うのだった。

 朝起きて、私はその人がもとからとても遠くにいることを思い出してすごく悲しくなってしまった。夢の紹介ではそっちの方がいいかもと「好きな人」と書いたし、夢の中ではその人に恋していたけれど。パーティーは、おそらく卒業パーティー(あるいは時節柄クリスマスパーティーか新年パーティー?)で、私もそのうちその地から去る予感があったのに、置いていかれると悲しがっていた。


 私はクリスマス前あたりから、夢の中に出てきた作品に手をつけられていない。


 こんなに鮮明に実在するひとや今の懸案事項が夢に出てくることなんてこれまでなかった。

 これから続きを書いたら、読んでくれる人はいるのかな。

 私はやっぱり言葉が欲しいみたいだ。直接、私宛だとしっかり目で見てわかる形で。私はその人の承認欲求を満たしたことがあるかもしれないけど、私の心の穴は空いたままで、それは私の性格のせいばかりではないはずだ。何かの嵐が終わってからで構わないから、ずっとお預けだった言葉のキスをくれないかな。それまでに私も、何かしら芽を出しているから。……などと、祈りのような言葉が浮かんできてしまう。


 詰んでから長く汚くするのは生まれてこのかた趣味じゃないのに、私はずっと調子が狂ってるみたいだ。


note30日チャレンジ29日目 累計 50,943文字(オフライン含め53,356文字)

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