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なりたい理想はそれぞれ、だけど

 ゆりやん・レトリィバァという人をはじめて知ったのだけれど(つい最近まで、山田花子と混同していた)、この人が出ていた番組「99Q」をたまたま見て、グッと胸を掴まれた小ネタを一つ。

 彼女の一番好きな曲はこれらしい。

This is a story about a girl named Lucky

Early morning, she wakes up
Knock, knock, knock on the door
It's time for makeup, perfect smile
It's you they're all waiting for
They go
"Isn't she lovely, this Hollywood girl?"
And they say

She's so lucky, she's a star
But she cry, cry, cries in her lonely heart, thinking
If there's nothing missing in my life
Then why do these tears come at night
これはラッキーという女の子についてのお話

朝早く、彼女は目を覚ます
ドアをコンコンノックする音がする
お化粧の時間よ、完璧な笑顔を作って
皆が待っているのはあなただから
皆言うわ「なんて彼女は可愛いの、ハリウッドガールそのものね!」って
それでこうも言うの

「彼女はとっても運がいい、スターだもん」って
でも彼女は孤独な心で泣いて、泣いて、泣いているの
もし私の人生に何も欠けたところがないなら
どうして夜に涙がこんなにこぼれてくるのって考えながら

(歌詞はYouTubeより引用、対訳は私がしました)


 ゆりやんは、めっちゃ素敵やん、私もこうなりたいって思ったんだって。

 これ……素敵なのか。どちらかというと、「スターになったのに(スターだからこそ)淋しさは消えない」という話で、皮肉で悲しい話じゃないんだろうか。そしてその感性に悶えた。

 白鳥のように、自分の淋しさや個人的な悩みを全て隠して、綺麗で明るい自分を演じるのがカッコよくて素敵と言いたいんだろうか。それとも、スターであっても、個人的な悩みを捨てきれない人間の生きづらさそのものを素敵だと思っているのだろうか。

 番組ではそこまで深く掘り下げてはいなかったので、真意はわからない。でも、質問に対して間髪入れずボケで返していたゆりやんが、番組後半でポロっと「恋愛がうまく行かない時……」とこぼしていた横顔には、この歌の主人公の影が兆しているように感じた。ゆりやんは、お笑いの技を磨くのとは別に、自分が注目を浴びた後のこともこの曲を聴いてイメージできていたから、ブレイクしたのかななんてことを思った。

 人が意外なものを、何か毅然としたものをいいと思っているのを知ると、私もそういう風に、ちょっと人とは違うものをいいと思って、それを大事に持っていたかったなと、羨ましいような、嫉妬するような、無いものねだりのような気持ちに襲われてしまう。私だってきっと沢山人とは違うもの、キラリと光る感性や個性を持っているのだろうけれど、自分ではそれが分からないから。

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