この精度上がれば沢村賞。楽天・則本昂大がNPB先発投手の頂点を掴むため「磨くべき技術」とは?

楽天の則本昂大が快投を続けている。

「今年は全てにおいてキャリアハイを目指します!」。久米島キャンプでの宣誓は、ここまで忠実に守られている。5月12日現在の成績は、8試合4勝1敗、防御率2.53、WHIP1.07、QS率100.0%、被打率.211だ。

この成績のリーグ順位を確認しておこう。勝利数はリーグ3位タイ。防御率、WHIPはいずれも同4位。被打率は同3位。QS率は日本ハム・有原航平、ソフトバンクのバンデンハークと並び同1位タイの数字だ。奪三振数68は2位の日本ハム・大谷翔平に10個差をつけて同1位。野茂英雄氏(1990~1994年)以来になる3年連続最多奪三振へ向け、着々と積み重ねている。

一番凄いのはWARだ。控えレベルと比べて何勝分の貢献度をチームにもたらしたかを測る選手総合指標。シンクタンクDELTAが算出する同数字で則本が叩き出す2.4は、巨人・菅野智之の2.5に次ぐ両リーグ投手部門2位の数字になっている。

このままのペースを維持できれば、初の沢村賞の可能性がグッと近づいてくる。そんなナイスピッチングと言えそうだ。

しかしだ。待って欲しい。沢村賞はそう簡単には取ることのできないタイトルである。ライバルも好調だ。ロッテ・涌井秀章、オリックス・金子千尋など歴代受賞組の復権。足踏みが続く大谷も依然として脅威な存在になる。NPB新記録を更新しデビュー以来連勝街道を突き進むバンデンハークは強敵だ。2年目のジンクスなんのその急成長を遂げる有原の躍進など、パリーグだけ見渡してもライバルは多い。ましてやセリーグには、お互い意識する菅野(7試合4勝0敗、防御率0.79、WHIP0.68、QS率100.0%)が控えている。

則本がライバルとの争いを制し、確実に沢村賞を掴みにいくには、あと1つ2つピースが欠けている。そう感じているファンは多いはずだ。

本稿では、その「あと1つ2つ足らないピース」を指摘してみたい。

それは、あるファンは球数を少なく長いイニングを消化する球数管理能力を挙げるかもしれない。読者の中には先制点を与えないゲームメイク能力を指摘する方もおられるかもしれない。

そのどちらもその通りだと思う。しかし、本稿では、そういった全体論や抽象論の指摘ではなく、もっと具体的で技術的なことを指摘したい。

それは、某対戦時における、あの投球だ。あの精度が向上すれば、則本の成績は、より一段上の高みに到達し、もっと安定したピッチングになるという話をしたい。

その磨くべき投球とは・・・???

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