【2018総括】 最速151キロ、ポテンシャルは則本級。楽天ドラ1、近藤弘樹のルーキーイヤーを振り返る


プロ1年目の成績は、9試合29回で防御率6.83、0勝2敗。
開幕前の『野球太郎No.026』 で「開幕ローテーションの有力候補」と評されたわりには、ガッカリ感拭えない結果に終わった。

楽天には永井、塩見、則本など「大卒新人投手による好活躍の歴史」がある。そのことと他球団のドラフト2位以上の大卒・社会人卒投手がプロ初勝利を続々と手にしたことを考えれば(※1)、余計に寂しく感じるファンもいるはずだ。

※1・・・2017年ドラフトで各球団2位以上の大卒・社会人投手は12人。そのうち、プロ初勝利を記録したのは8人。逃した4人中、複数の先発機会を得ながらも白星にたどり着けなかったのは、高橋(ソフトバンク)と近藤の2人になる。

◎2017年ドラフト各球団2位以上の大卒・社会人投手の成績

岡山商大という出身も、僕らの失望を大きくさせた原因になった。
今年1月に星野副会長がよもやの逝去。
亡き闘将の故郷・岡山から久々に出たドラフト1位で、生前の闘将が「監督を押しのけてでも、俺が指導したい」と発言したこともあり、メディアや僕らはそこに「ある種の物語」を仮託した。

現実は厳しく被打率.307、被OPS.872と打ち込まれる事態に。
ただし、楽天の先輩選手の多くも闘将の弔い合戦の下、過剰な緊張感や義務感から身体がこわばり、自身のプレーができなかったのだから、新人の近藤だけを責めるのは全くのお門違いである。

防御率こそ6点台だが、高いポテンシャルを垣間見せてくれた。とくに評価できるのは先発した3試合、QS1個ながらもそれなりにゲームを作った点だ。

6月6日の巨人戦(東京ドーム)。
前年の同日は全日本野球選手権、近大を相手に9回2失点の完投勝利で日米14球団のスカウトを唸らせた。
あれからちょうど1年、先発予定の塩見が体調不良を起こし、2軍調整中の近藤に急遽「プロ初登板・初先発」の白羽の矢が立った。

楽天新人投手が伝統と歴史ある巨人戦でプロの第一歩を刻んだのは、武藤に続いて球団史上2人目。
本人いわく「アウェー感がすごかった」という大観衆の場内で、「緊張で無駄な力入った」と振り返ったとおり、毎回のように先頭打者を出す苦しい内容。
それでも粘投で5回途中に右足をつって負傷降板するまで2失点にまとめてみせた。最速151キロを叩き出したのも、この日のできごとだった(※2)。

※2・・・540球を投げた近藤だが、150キロ超えは3球計測されている。いずれも6月6日巨人戦。150キロが2球、151キロが1球の内訳だ。その最速151キロは初回1死2塁、3番・ゲレーロへの2-2からの6球目だった。

翌週の6月13中日戦では6回4失点。
変化球がストライク入らず、真っすぐを狙い撃たれるかたちになったとはいえ、ゲームを決定的に壊すことはなく、1点ビハインドで後続にマウンドを譲った。

ようやく本領発揮をみせたのが8月18日ロッテ戦である。
岸が右膝を痛めたことで先発の機会が巡ってきた。

ロッテ打線のストレート対応力が楽天と並んで12球団ワーストレベルで、8月月間打率が当該時点で.227と著しく落ち込んでいた等という「相手事情」があったにせよ、、、、

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