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【試合評】 後半戦の首位攻防。鷹の出鼻をくじいた「投打理想の逆転劇」~7月26日○楽天4-1ソフトバンク

今後の明暗を左右する1勝に

初戦を雨で流して迎えたソフトバンク3連戦の2戦目。
是が非でも取りたかったパリーグ首位攻防の要所を、楽天がみごとな逆転勝利で飾った。

ホークスとの直接対決を11試合残すことを考えると、局地戦での1勝かもしれない。
しかし、ぼくは『今後の明暗を左右する1勝』だと信じている。
本当に大きな1勝になったと思うのだ。

というのは、2位・ソフトバンクとのゲーム差が2.5に広がったから。
ゲーム差2.5は6月14日以来のことで、それも単なる2.5ではない。
ご存じのとおり、楽天とソフトバンクの試合数が8試合の差異が生じていることを考慮すると、3.5ゲーム差。
いやいや、皮膚感覚では事実上の4.0ゲーム差ぐらいの差がついたと思う。

いくら若鷹軍団とはいえども、負けない楽天を相手に、この差を再び詰めることは容易ではないこと。
その意味で価値のある勝利をまた1つ丁寧に積み重ねて、貯金を球団史上最多の31に伸ばすことができたのは、本当に大きな戦果だ。

故障者をチームの弱みにしない真の強さ

それにしても、舌を巻くとはこのことである。
今シーズンの楽天は、窮地に立たされたり、試練が訪れたりした時ほど、その強さの本領を発揮するのだ。

これで茂木戦線離脱後の戦績は16勝5敗1分に、茂木不在時で作った貯金は11個を数えることになった。
この数は、開幕ダッシュの3月4月に作った貯金と遂に並ぶかたちになった。

茂木の離脱をチームの弱みにしない。

この事実は本当に大きいと思う。

両軍のスタメン

ソフトバンク=1番・明石(一)、2番・今宮(遊)、3番・柳田(中)、4番・デスパイネ(指)、5番・中村晃(左)、6番・松田(三)、7番・上林(右)、8番・甲斐(捕)、9番・高田(二)、先発・バンデンハーク(右投)

楽天=1番・島内(中)、2番・聖澤(右)、3番・アマダー(指)、4番・ウィーラー(三)、5番・銀次(二)、6番・クルーズ(遊)、7番・松井稼(左)、8番・今江(一)、9番・嶋(捕)、先発・則本(右投)

序盤は則本冴えず、バンデン上々

両軍とも負けられない気持ちは同じだったはずだ。

茂木、藤田を欠く楽天は、前のカードの日本ハム戦でペゲーロ、岡島も揃って負傷、長期離脱が決定していた。
一方、ホークスはこの日、4番・内川を抹消している。
7月23日ロッテ戦で負傷した左手親指が全治6週間の骨折と判明したからだ。

互いに優勝戦線を戦うなか、貴重な主戦級を欠く緊急事態。
怪我を負ってチームを離れた選手のためにも、ライバルを叩いて勝つ。
両軍その思いは一緒のなか、最後に熱量が上回ったのは楽天だった。

序盤3回までは、ソフトバンク優勢だった。

楽天先発・則本がピリッとしない。
制球に苦しみ、ボールが連続して続く場面が多かった。
逆球も目立ち、変化球をホームベースの手前でワンバウンドしてしまうケースもあり、3回まで毎回走者を出す苦しい内容が続いた。

しかし、土俵際で3イニング連続のゲッツーでしのぎ、辛うじてスコアボードのゼロを維持していた。

1回は1死後、2番・今宮に151km速球をいきなり弾き返され、右越え二塁打。
3番・柳田にはフルカウントから四球を与えて1死2,1塁を背負ったが、4番・デスパイネを初球を打たせて、この日、巨人から金銭トレードで楽天入りしたクルーズの正面へ。
6-4-3の併殺網にかけて危機を脱出した。

2回は先頭の5番・中村晃による巧打の内野安打で出塁を許したが、6番・松田見三振後、7番・上林の空振り三振時に二盗を仕掛けた中村晃を、嶋が絶妙送球で刺す三振ゲッツー。

3回は先頭打者を含む2個のフォアボールで1死2,1塁のピンチを、2番・今宮に1打席目のリベンジとばかり、内角を突く149kmで6-4-3の併殺。

相手の拙攻にも助けられ要所をしのいでいたが、不安を残す立ち上がりだった。

一方、ホークス先発バンデンハークは上々。

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