【試合評】投打にツメの甘さを欠いた3時間2分の沖縄戦 ~2016年6月28日●楽天イーグルス2-3オリックス

奇跡のAクラスへ、勝ち続けるしかない楽天だったが・・・

奇跡の逆襲Aクラスへ、楽天はとにかく勝ち続けるしかない状況にある。パリーグでは54年ぶり沖縄開催となったオリックス10回戦は終盤まで1点を争う接戦になったが、スコア2-3で敗れている。

勝てるチャンスが其処此処にあり、防げる失点も幾つかあったイーグルスが、投打でツメの甘さを欠いた。

6月に入り、本来の調子を取り戻してきた相手先発・西の好投に遭い、なかなか打ち崩すことは難しかったのは事実だ。無四球で今季最多の9奪三振。ストライク率も高く、特に見逃しストライク率はきわめて高いと言える20%を超える22.1%。楽天打線が狙い球を絞りきることができず、西の投球がコーナーぎりぎりに良く決まったことの証拠でもある。

例えば、3番・後藤から始まった4回の攻撃、楽天のクリーンアップが3者連続三振に倒れたあのシーンを振り返ってみよう。西が繰り出した12球のうち、打てる球は僅かに1球だけだったと思う。その1球も初球から振っていくのは難しい4番・ウィーラーへのカーブ。その他11球は低めに制球され、あるいはコースにしっかり投げ分けられており、突け入る隙がなかった。

しかし、終盤6回以降には、毎回の「貰ったチャンス」のオンパレード。二塁・西野、遊撃・安達という敵軍二遊間コンビが相次ぐ5失策で、イーグルスに再三好機が巡ってきた。ここで追いつき、追い越さなければならなかったが、据え膳食わねば負けるのは当然である。

1点ビハインドの6回は2死1塁で岡島の二ゴを西野がファンブル、2死2,1塁としたが、銀次の捉えたと思われた当たりはセンター後方で失速した。

2点を追いかける7回は1死後に安達トンネル、西野お手玉で1死2,1塁。打順はトップに戻ったが、1番・島内が低めを打たされ浅い中飛、2番・藤田は西が繰り出したバックドアスライダーの絶妙投球の前に身じろぎ取れずの見三振に倒れた。

2点差を追った8回は先頭・後藤が西野のファンブルでエラー出塁、1死後に岡島のゲッツーコースゴロを安達がトンネルして一気に1死3,1塁のチャンスを作ったが、6番・銀次の中犠飛による1得点止まりになり、追いつくことができない。

両軍のスタメン

楽天=1番・島内(左)、2番・藤田(二)、3番・後藤(三)、4番・ウィーラー(指)、5番・岡島(右)、6番・銀次(一)、7番・哲朗(遊)、8番・足立(捕)、9番・オコエ(中)、先発・塩見(左投)

オリックス=1番・大城(中)、2番・西野(二)、3番・糸井(右)、4番・モレル(三)、5番・T-岡田(指)、6番・奥浪(一)、7番・足立(遊)、8番・若月(捕)、9番・小島(左)、先発・西(右投)

3位とのゲーム差は今季最大10.5に広がる

9回には先頭の代打・聖澤が平野撃ちの二塁打で同点チャンスを演出したが、代打・伊志嶺がバント送れずの強攻で中飛(伊志嶺にバントさせる意味があったのかどうか?)、島内、藤田の上位打線も球威に押され気味になった連続遊ゴでゲームセット。背番号23をホームに呼び込むことができず、気温30度を超えた3時間2分の戦いにピリオドが打たれている。

これで今季の1点差試合は9勝12敗になった。勝てば昨年6月以来ちょうど1年ぶりの月間勝ち越しが決まる試合だったが、敗れたことで翌日勝利しても勝率五分、勝ち越しのチャンスを逸する形にもなっている。

もったいないと思うのは、せっかく交流戦で上位とのゲーム差を詰めたのに、リーグ戦明けでその戦果を手放してしまったことだ。

DeNAを3タテし交流戦を終えた6月19日の日曜日時点では3位・日本ハムとのゲーム差は7.0だった。一時期は最大9.5ゲーム差に引き離される厳しい中、交流戦の躍進でゲーム差2.5を詰めることができた楽天だった。しかし、交流戦明け、ファイターズが負けなし4連勝を飾ったこと等もあり、これで3位とのゲーム差は今季最大の10.5、これ以上引き離されるのは完全NGというところギリギリまで広がっている。この差をオールスターまでにどこまで縮めることができるか、球宴前の残り12試合の意味がより一層重みを増す形になっている。

チーム成績は5位、70試合28勝40敗2分の勝率.412、借金は12へ。ゲーム差は1位・ソフトバンクと19.5、2位・ロッテと13.0、3位・日本ハムと10.5、4位・西武と2.5、6位・オリックスと3.0になった。

哲朗に巡ってきたリベンジの機会

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