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【試合評】「野生」を解き放った渾身の新記録~6月1日○楽天3-2巨人

則本昂大、プロ野球新記録

印象に残ったのは、あまりにも対照的な両者の表情だった。

8回「そのとき」がやってきても、なんら表情1つ変えることなかったのはマウンド上の鷲軍エース。
一方、対戦相手は、うすら笑いを浮かべていた。

打者は28歳にして通算1461安打を放つ当世を代表する右打者、巨人軍の3番・坂本勇人だった。

初球は外角137kmスライダー。
ボールになったが、捕球した嶋が思わずミットから球をこぼしてしまうほど。それほどまで手元で鋭くキュキュッと曲がる誘い球だったのだろう。

2球目は低めに沈むスプリット。
ファウルを打たせて1-1、カウントを並行に戻していく。

圧巻は、そこから3球連続で投げ込んだ151km超えのファストボールだった。
151km、153kmと2球連続で力んだのか、ストライクゾーンを大きく外れていずれもボール。
カウントは3-1になり、真っすぐ3連投の3球目だった。

当然、ストライクが欲しい場面。
坂本も真っすぐ狙いで待ち構えている。
そのなか、ストライクゾーンめがけて投じた152kmで坂本を差し込ませ、一塁側フライファウルを打たせてフルカウントへ。

このときだった、坂本が半笑いの表情を浮かべたのは。
打者有利状況で、当然来ると確信したストレート。
それを仕留めることができない。
ファウルを打たされる恰好になったことで決まりが悪かったのだろう。
終盤に入り、球数110球を超えてきても、威力十分の球威を維持する則本の力に気圧され、同時に則本の力量を改めて認めた半笑いだったのかもしれない。

そして、フルカウント勝負のラスト6球目。
「未来」の扉を押し開けたこの試合の120球目だった。

嶋のサインに3度首を振った後、低めに140kmスプリットが決まる。
坂本のバットに空を切らせ、この日10個目の奪三振。
NPB新記録となる『7試合連続の二桁奪三振』を達成した。

koboパークの場内がワッ!と大歓声で湧く。
周囲360度が騒然と見守る中、マウンド上でなんら表情1つ変えることなく、代名詞ともいえる闘魂溢れるガッツポーズを見せることもなく、息を整えて、次なる打者との対戦に集中しているエースの姿が、そこにはあった。

両軍のスタメン

巨人=1番・脇谷(二)、2番・立岡(中)、3番・坂本(遊)、4番・マギー(三)、5番・阿部(指)、6番・村田(一)、7番・石川(左)、8番・長野(右)、9番・小林(捕)、先発・池田(左投)

楽天=1番・茂木(遊)、2番・ペゲーロ(右)、3番・ウィーラー(三)、4番・アマダー(指)、5番・銀次(一)、6番・島内(中)、7番・岡島(左)、8番・藤田(二)、9番・嶋(捕)、先発・則本(右投)

マギーをだまらせた155km渾身のストレート

そして4番・マギーを迎えた。
この日の真のハイライト、実は「坂本三振以降の9球」だったかもしれない。

2013年ともに日本一を勝ち取った戦友との対決は、1打席目は中飛、2打席目は外角いっぱいの見三振、3打席目は5回2死2,1塁で失投を引っ張られ一瞬ヒヤリとした左飛、3の0と則本に軍配が上がっていた。

4打席目の対決になったこのシーン。
外角に154km、153kmと真っすぐ連投で入ったのだ。
1-1からの3球目は低め142kmスプリット。
ゴロファウルを打たせて1-2と追い込むことに成功。
決めにいく152kmが外角いっぱいに決まるが、球審の手が上がらずボール。
そして、2-2から仕切り直しの155kmファストボールを高めに投げ込み、マギーから空三振を奪った。

実は今シーズンのマギー、

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