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【戦評】 是非に及ばず。諦めつく青山の決勝被弾~4/19●楽天4-5オリックス

両軍6発の空中戦

球団通算900勝を目指したオリックス4回戦は、まれにみる展開に。
両軍3発ずつ合計6本のホームランが飛び交う今季最大の空中戦になった。

スコアボードがめくるめく動いたシーソーゲームにもなった。

2回に楽天が4番・ウィーラーの5号ソロで先制。
直後の3回、先発・安楽が9番・大城に1号ソロ浴び、4回は両軍1点ずつ加点した。

2-2の同点で迎えた5回、イーグルスは1番・茂木の左中間スリーベースで勝ち越しに成功。
しかし、6回、安楽が長短3安打1四球の集中打に遭い2失点、再びオリックスに先行を許してしまう。

1点を追う楽天は下位打線の攻撃で始まる7回、奇跡が起きた。
8番・足立が相手先発・山岡の144キロ速球を振り抜き、今季初ヒットが1号ソロ、女房役の一振りでゲームを振り出しに戻した。

決着は、延長戦が見えてきた9回。
青山が敵軍ドラ2・頓宮に初球ストレートを狙い撃ちされ、決勝弾を献上。

4-5で今季3度目の1点差負けを喫している。(1点差成績は3勝3敗)

両軍のスタメン

オリックス=1番・福田(二)、2番・西浦(中)、3番・吉田正(左)、4番・ロメロ(指)、5番・メネセス(一)、6番・頓宮(三)、7番・後藤(右)、8番・若月(捕)、9番・大城(遊)、先発・山岡(右投)

楽天=1番・茂木(三)、2番・藤田(遊)、3番・浅村(二)、4番・ウィーラー(指)、5番・銀次(一)、6番・ブラッシュ(右)、7番・オコエ(左)、8番・足立(捕)、9番・田中(中)、先発・安楽(右投)


悪くはない延長戦回避

しかし、9回で決着ついた本戦の敗戦は、長期的スパンで考えたとき、悪くないかもしれない。

というのは、楽天の救援投手起用数は本戦終えた時点でもパリーグ最多なのだ。
1試合平均数でも、パ最多4.06人。
リーグ最多5試合の延長戦を戦っているオリックスの3.28人を大きく上まわっている。

これがまた延長戦に入った場合、開幕16戦で11試合に登板し、できれば休ませたい松井も使わざるをえなくなる。
延長12回までいけば、宋や高梨、福山らも投入することになり、、パ最多に膨らむ起用数はさらに増えることに。

リリーフ陣の疲弊を考えた場合、9回で決着ついた本戦は、あながち悪くないと思うのだ。

◎パリーグ各球団の救援投手起用数 (4/19終了時。カッコ内は1試合平均数)
楽天 69人 (4.06人)
日本ハム 65人 (3.61人)
オリックス 59人 (3.28人)
ソフトバンク 58人 (3.05人)
ロッテ 54人 (3.18人)
西武 48人 (2.82人)

チーム成績は1位、17試合10勝6敗1分の勝率.625。
ゲーム差は2位・ソフトバンクと0.5、3位・日本ハムと2.0、4位・オリックスと2.5、5位・西武、6位・ロッテと3.5になった。

是非に及ばずの青山被弾

個人的な感慨を言えば、頓宮の放物線が左中間まで踊った9回、あの青山が打たれるのなら仕方ないと割り切ることができた。

というのは、今季ここまでの青山に対し、制球がすこぶる良く、また打者の狙いを上手くいなしている印象を持っていたからなのだ。

それを象徴する光景が、頓宮の直前・9回先頭メネセスとの4球勝負だった。

全4球、外角いっぱいを絶妙に出し入れした。
スライダー3連投で0-2と追い込んだ後、ラスト4球目は外角低めいっぱいに決まる146キロ速球。
この日の第3打席で安楽の変化球を左前へ弾き返す同点打を放った助っ人は、バットをかついだまま棒立ちで見三振を喫した。

このように、今季の青山は見三振が本当に多い。
下記のとおり、現在チーム最多を記録中なのだ。

◎楽天投手の見逃し三振数
7個・・・青山浩二
5個・・・辛島航、松井裕樹
3個・・・岸孝之、ハーマン
2個・・・福井優也
1個・・・小野郁、近藤弘樹、宋家豪、美馬学、弓削隼人

見逃しストライクも多い。

全投球の19.6%が見逃しストライクが占めている。
チーム全体の数字が17.1%で、救援陣の数字が15.3%であることを考えると、青山の19.6%がいかに多いか想像できる。

4/4日本ハム戦(○E3-2F)では谷内を1度もバットを振らせずの3球三振に打ち取る場面もあった。

4/12ソフトバンク戦(○E4-2H)、2-2の同点で迎えた6回1死満塁ピンチでは、甲斐に初球スライダーでファウルを打たせた後、2球、3球と連続してストレートで見逃しストライクを奪い、これまた3球三振に退けるシーンもあった。

こういうことができているのは、コントロールが大変良く、打者の狙いをしたたかにはずす投球が実践できているからだと思うのだ。

また、あの場面は頓宮を評価すべきだ。

確かに頓宮への初球はゾーン甘く入る失投の部類だった。
とはいえ、新人の一振りで仕留めた打撃のほうに、ぼくは驚かされたのだ。

その前3打席10球勝負で楽天バッテリーは内角狙い7球を使用(そのうち5球が内角到達)。
前夜の日本ハム戦でプロ1号を放ったスラッガー候補を警戒し、徹底してインコースを攻め立てていた。

ふつう、これだけ懐を突けば、、、

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