【戦評】若鷲投壊。開幕ローテに不安を残す連日大敗劇─ 2月21日●楽天4-12日本ハム

※本稿は全文お楽しみいただけます。

 期待の若手に不安を残す「2日連続の大敗劇」

楽天は引き続き日本ハムを迎えての実戦。
2次キャンプ本拠地・金武での練習試合は、本戦が最後だ。

結果は2日連続の大敗。

前日が13安打1本塁打5四球を許して8失点なら、今日はトホホなことに13安打2本塁打8四死球で12失点である。

誤算は大卒3年目・今年25歳になる池田隆英の失態だ。

昨年は1軍で15試合49.1回を投げて念願のプロ初勝利をつかんだ。
オフには台湾で経験を積み、アジアウインターリーグの大会MVPを獲得。

年明けは濱矢廣大(楽天)、平井克典(西武)、山足達也(オリックス)、飯田優也(オリックス)、山崎勝己(ソフトバンク)と4球団の混成軍で自主トレに励んだ佐賀産の若鷲で、今季の飛躍が期待されるプロスペクトなのだ。

平石洋介監督もその思いは同様。
2/14阪神戦(●E2-5T)では『対外戦の開幕投手』に任じた。

ところが・・・なのだ。

両軍のスタメン

日本ハム=1番・浅間(右)、2番・西川(中)、3番・王柏融(左)、4番・近藤(三)、5番・大田(指)、6番・清宮(一)、7番・石井(二)、8番・石川亮(捕)、9番・中島卓(遊)、先発・加藤(左投)

楽天=1番・オコエ(左)、2番・田中(右)、3番・浅村(二)、4番・ウィーラー(指)、5番・内田(一)、6番・渡辺直(三)、7番・辰己(中)、8番・太田(捕)、9番・村林(遊)、先発・池田(右投)

シングルヒッターに許した2本の大飛球

その阪神戦ではフォアボールから崩れて3回2失点。
そして今回も四球絡みで失点をふくらませて3回8失点と炎上。

背番号30が炎上する姿をみて、5年前の宜野座を思い出していた。
30番の前任者・永井怜さんがタイガース相手に3回13安打12失点と派手に燃えたのだ。

各打者にヤられた感はあるが、なかでも清宮幸太郎に無双を許した。

初回は満塁ピンチを背負った。
そのフルベースから5番・大田泰示に2点適時打を許した直後のこと。
6番・清宮幸太郎にバックスクリーン右へ運ばれる3ランを被弾したのだ。

翌2回も立ち直りの気配が見えない。
先頭打者を村林のエラーで出すと、3安打1四球を集められ、清宮のセンター返し2点タイムリーなどで3失点。
池田の股間をゴロで射抜かれる屈辱の適時打を浴びた。

これで対外戦の成績合計は、6回、打者34人、球数140、被安打11、被本塁打1、奪三振2、与四球6、失点10になっている。

優れた投手は年をまたいでも安定した成績を継続することができる。
しかし、力量不足の投手、発展途上の投手は前年の活躍を翌年飛躍の橋頭堡にできず、元の木阿弥になるケースが多い。
池田もその悪しきパターンにハマッてしまったのか・・・

どうも見るに、球に勢いがない気がする。

昨年はストレート最速151キロ、平均144.3キロを計測した池田。
しかし、たとえば本戦の清宮3ランだ。
報道によると、その速球は138キロしか出ていなかったと言う。

まあでも、仕方ない部分はある。
相手が天性の長打力を持つ清宮なんだから。

問題は、およそ一発長打のない石井一成と中島卓也にも大飛球を打ち返された点だ。
石井には初回清宮3ランの直後「あわや再現か?!」と肝を冷やす塀際中飛を打たれ、3回には中島卓に右翼フェンス直撃打をくらったのだ。

この試合、試合開始時からスコアボード上のフラッグがレフトからライトへひっきりなしにたなびく強風が吹いていた。
センターから右方向の打球は風にも乗ったと思われるが、それを考慮しても「飛ばされすぎ感」はぬぐえない。

「球威のなさ」は、84球で空振りわずか2球でも裏付けられている。
その空振り2球はいずれも石川亮から記録したもので、複数打者から奪ったものではなかった。
このことを見ても本来のピッチングではなかったと言えそうだ。

近藤弘樹の「機能しない変化球」

精彩を欠いたといえば、池田らと開幕ローテを争う近藤弘樹も同様だ。

2/14阪神戦では3回無安打無失点だったが、二番手で登板した本戦は4回5安打4失点。
三振ゼロに対し、四球4個を出すなど、コントロールに苦しんだ。

ボール先行2-0にしてしまう場面が5人と多かった。

55.6%のストライク率55.6%は合格点未満。
もっといえば、変化球のストライク率は37.9%と、ほぼほぼ機能せず。

変化球が有効にならないから、空振りや三振も増えてこない。

本戦では81球を投げて空振り5球を奪ったが、そのうち4球は真っすぐ。
変化球での空振りは6回2死1塁、代打・平沼への1-0からの2球目、その1球のみだった。

これで対外戦の成績合計は、7回、打者30人、球数119、被安打5、被本塁打1、奪三振1、与四球6、失点4。

「三振<四球」ではなく「三振>四球」になるような球のキレや制球力を獲得していってほしい。

大学No.1捕手の四苦八苦

若手投手が苦しむ実戦になったが、その球を受けていたドラ2・太田光も同様だったと思う。

「勝てる捕手」と評され、ドラフト2位・全体13番目の好待遇で楽天入り。
しかし今、プロの高き壁をひしひし実感し、圧倒されていると思う。

(もちろん新人だからそうなって当然なのだが)
本戦でも余裕がない心理状況で池田や近藤の球を受けていたのでは?と思う。

象徴すべきシーンがあった。

先頭をエラーで出した2回のことだった。
1死は取ったものの連打を浴びて1死満塁。

4番・近藤健介に右犠飛を打ち返され、さらに失点。
なおも2死3,1塁で5番・大田にストレートの四球を与えてしまう。

このとき、マスクをかぶる太田は「動かなかった」のだ。
その後、投げにくそうにしていたマウンド上の池田におそらく呼ばれたのだろう、かなり遅れて慌てて歩み寄る光景があった。

正直、新人が先輩投手に何を話していいかわからないとは思う。
それでも、ここはすぐさまマウンドに行って、間を取るべきだった。

というのは、後続の打者は、1打席目に3ランを打った5番・清宮である。
清宮のプロ1年目、昨年の2軍では池田と2打席対戦があり、一ゴとタイムリーの右線二だった。

そのイヤな思い出も蘇ったのかもしれない。
池田は明らかに動揺隠せずという仕草をみせていたからだ。

打撃でも空三振、遊飛、空三振の3タコ。
対外戦合計では5打席ノーヒット3三振。

大学時代はバットでも快音響かせた大学No.1捕手。
しかし、プロの風に慣れるには、やはり相応の場数が必要になってきそうな雰囲気だ。【終】

◎対外戦の捕手防御率 (失点ベースで計算してるので、正しくは捕手失点率)
足立祐一 1.20 (15回2失点)
太田光 10.50 (12回14失点)
堀内謙伍 8.47 (17回16失点)

・・・というような試合評を今シーズンもnoteマガジン『楽天ファンShibakawaの犬鷲観戦記【2019前半戦】』(3/1~7/14まで)に50本以上綴っていく予定です。単売1本150円ですが、定期購読がオススメ! ご登録は下記からどうぞ!



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