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【試合評】散発3単打に守乱続出。今季2度め零敗に~2016年4月30日●楽天イーグルス0-5オリックス

見事な配球で危機脱出した安楽x川本の鷲バッテリー

先発は楽天・安楽智大、オリックス・金子千尋。プロ2年目・新進の有望株が、同12年目・通算98勝投手に「胸を借りるつもり(by安楽)」で立ち向かった5回戦、ゲームの前半戦は両者1点も許さない投手戦になった。

5回終了時までスコアボードは全く動かなかった。

立ち上がり、安楽は1死2,1塁のピンチを迎えたが、4番・T-岡田を最高のかたちで併殺打に仕留めている。

左の強打者の脳裏には強い真っすぐの意識で占められていた。そこへ安楽x川本の楽天バッテリーが選択したのは、彼の脳裏には完全想定外になる114kmカーブ。

タイミングをズラされ、バットを当てにいくだけの打撃にさせ、そうして飛んだゴロは遊撃・茂木の守備範囲内へ。6-4-3と転送し3アウト。川本の絶妙リードが光るシーンになった。(安楽の前回登板もマスクは川本だったことから本戦も川本なのだろう。昨日の嶋右手負傷がどの程度の症状なのか?は明日のスタメンを見ないと何とも言えない)

このピンチを脱した安楽は、2回以降、6回にピンチを招くまで得点圏に走者を許さなかった。

金子の前に得点圏進出は1イニングのみ

一方、ここ10試合で二桁安打が7試合と打撃好調の味方打線。好敵手・金子千尋を相手に先頭打者エラーで始まった2回にチャンスを作った。

2死1塁で7番・島内が10球勝負を制して中前快打でつなぎ、同2,1塁。終わってみれば本戦唯一のスコアリングポジションで、8番・後藤が古巣対決に敗れて凡退した。

昨年までの金子は多種多彩な変化球をストライクゾーンの内外高低に自在に投げ分けることでマウンドを支配していた。しかし、出遅れた今季は看板球チェンジアップの割合が急増している。例えば2週間前の4月16日西武戦では全体の46.1%がチェンジアップで占められていた。本戦もその割合は高く、24.8%。速球と同じ腕の振りで繰り出されるチェンジアップが映えたことで、逆に速球も機能した部分は大きいと思う。

まるで全盛期に多角化経営を推し進めた企業が不況で傾き、事業を整理し、元からの本業に原点回帰することで立て直しを目指すような姿を、今の金子に見る思いがする。楽天打線は前回4月23日ロッテ戦から立ち直り、ストライク先行を見せた金子の前に成す術がなかった。

両軍のスタメン

楽天=1番・岡島(右)、2番・聖澤(中)、3番・銀次(一)、4番・ウィーラー(三)、5番・松井稼(指)、6番・茂木(遊)、7番・島内(左)、8番・後藤(二)、9番・川本(捕)、先発・安楽(右投)

オリックス=1番・西野(二)、2番・安達(遊)、3番・糸井(右)、4番・T-岡田(一)、5番・小谷野(三)、6番・中島(指)、7番・ボグセビック(左)、8番・伊藤(捕)、9番・駿太(中)、先発・金子千尋(右投)

相次いだ「記録されない」拙い守備

両先発投手の投げ合いが続き、膠着状態に見えた試合展開。しかし、6回以降に動き出した。

きっかけはイーグルス野手陣の「記録されない拙守」だった。6回には2失点。翌7回には3失点。終始、ピッチングに安定感があった金子を相手に合計5失点は、その時点で本戦の負けが確定する致命傷と言えた。

6回はセンター聖澤、セカンド後藤の連携ミスを起点にピンチが広がり、2失点につながった。

1死後、2番・安達。内角で完全に詰まらせたなんてことはないポップフライだ。しかし、飛んだコースに恵まれない。背走するセカンド後藤と前進するセンター聖澤の中間地点。両者がお見合いしたそのエアポケットにポテンと落ちるテキサスヒットになってしまう。直後、3番・糸井には測ったかのように三遊間を射抜かれ、安楽は1死2,1塁のピンチを迎えていた。

この後、アウトを1つ取って2死2,1塁、打席に5番・小谷野のシーン。今度はバッテリーにミスが発生する。

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