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【試合評】初回好発進の柳を打ち崩した価値ある一打と四面楚歌の奮戦劇~6月3日○楽天5-1中日

四面楚歌での奮戦劇

最大の要所は4回だった。

先手は楽天、3回2死1塁で岡島が左中間深くを破るツーベース。
1塁からペゲーロが長駆生還し1点先制していたが、4回、先発・美馬が四面楚歌の窮地に立たされていた。

4回は1番・京田から始まる中日の攻撃。
その京田をカーブ三連投であっさり三振に退けたものの、2番・荒木にNPB2000本安打のメモリアルヒットを右前へ弾き返されてしまう。

これで場内の雰囲気はガラリ一変。
歓喜の渦に包まれたなか、ゲームはしばし中断。
楽天からは荒木のプロ1年目に中日で指揮を執った星野副会長から、中日からは森野からそれぞれ巨大花束贈呈のセレモニーがあり、ナゴヤドームが生え抜き選手の快記録に湧いていた。

美馬にとってみれば、正直、複雑な間だったはずだ。
周囲360度が荒木一色に染まった押せ押せの上げ潮ムード。
ともすれば、その奔流に飲み込まれかねない場面。
好打者の3番・大島を左飛に退けたものの、4番・ビシエドには完全に打ち取った当たりの三塁線ボテボテで内野安打を許し、慌てて処理しにいった自らの1塁送球が悪送球になるエラーも重なり2死3,1塁、本戦初のピンチを迎えていた。

そんな危機的状況でバッターボックスに迎えたのは、5番・ゲレーロ。
9回にハーマンから左中間席に運ぶ一発を放ち、6試合連続ホームランとした好調の強打者だったが、しかし、美馬は冷静、空気に負けず落ち着いた投球で退けた。

初球141kmのシュートで内角いっぱいを突いて見逃しストライク。
2球目には外角ワンバウンドのボールになったものの125kmのカーブを見せて緩急を演出。
勝負は1-1からの3球目、外角投球で無理やりひっぱりにいかせる平凡な三ゴを打たせて危機脱出に成功。

すると、6回に味方が3点を追加(今季初3番起用の期待に応え、岡島の二塁打で開幕した3点劇になった)、7回にはウィーラーの6試合連続複数安打を決めるタイムリーでさらに1点とリードを広げ、後半戦に突き放した楽天が5-1で快勝した。

これでチーム成績は1位、47試合34勝13敗の勝率.723。
貯金を再び今季最多タイの21に戻すと、各種戦績は交流戦4勝1敗の2位、6月2勝1敗、ビジター16勝8敗、先制した試合25勝6敗としている。

ゲーム差は2位・ソフトバンクと3.5、3位・西武と7.0、4位・オリックスと12.0、5位・日本ハムと14.0、6位・ロッテと20.5とした。

両軍のスタメン

楽天=1番・茂木(遊)、2番・ペゲーロ(右)、3番・岡島(左)、4番・ウィーラー(三)、5番・銀次(一)、6番・島内(中)、7番・藤田(二)、8番・嶋(捕)、9番・美馬(右投)

中日=1番・京田(遊)、2番・荒木(二)、3番・大島(中)、4番・ビシエド(一)、5番・ゲレーロ(左)、6番・平田(右)、7番・亀澤(左)、8番・松井雅(捕)、9番・柳(右投)

今季2度目になった初回茂木&ペゲーロの連続三振

相手先発はプロ初先発になったドラ1ルーキーの柳。
昨年のドラフト会議直前までイーグルスの1位候補リストにもピックアップされていた逸材だった。

立ち上がりの初回、僕らは信じられない光景を目撃することになる。
1番・茂木、2番・ペゲーロ。
今季の楽天を今の位置にみちびいた「打」の最大功労者と言ってよい『強打の1、2番コンビ』が、まさかの連続三振に倒れたのだった。

いずれも結果球は柳の看板球と言えるカーブ。
茂木は派手に泳がされ、ペゲーロはバットがすっぽ抜けて飛んでいき、某速報の特記事項には「珍プレイ」の表記がされるほどのシーンになった。

初回に1番・茂木、2番・ペゲーロの連続三振は、4月4日ソフトバンク戦(○E7-1H)で千賀に喫して以来、今シーズン2度目の屈辱だった。

あんな無様な光景を見せられたら、一昨日の池田、前日の小笠原に続き、本戦も柳には苦戦させられそうだな...と感じた方も多いはずだ。

しかし、そうはさせなかったのが、今の楽天だ。
立役者はこの人だ!

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