【試合評】 最後まで目が離せない3時間35分。交流戦2カード連続勝ち越し! ~2016年6月9日○楽天イーグルス3-2ヤクルト

内田靖人1軍昇格即スタメンで2安打1打点

梅雨空に覆われた仙台地方。断続的に振り続く雨中のコボスタで、若い力が躍動した。

中でも光ったのは、当日1軍昇格した内田靖人の打棒だ。

即、8番サードで今季初出場し、2安打1打点。5回にその後の同点・逆転につながるチャンス拡大の二塁打は右翼線着弾のポテンヒットで、ライト雄平の後逸を誘うラッキーな長打になったが、翌6回にはしっかり捉えてみせた。2死3,1塁、相手三番手・松岡が投げ込んできた初球インコースのツーシーム。まるで狙っていたかのような引っ張りスイングで打球を左前へ弾き返した快打は、スコア3-2で1点差を制した3点目の得点を呼び込むプロ初のタイムリーになった。

8番・足立もプロ初の適時打。1点を追った5回だった。聖澤、内田の短長連打による無死3,2塁でまわってきた2打席目。おっつけの意識でコンパクトに弾き返した中前への当たりが、同点打になっている。その後、9番・オコエも勝ち越しの犠飛を右翼へ運び、3年目以内の若鷲が合計3安打2打点の槍働き。

3番・茂木は3試合ぶりの無安打に終わったが、守備で大きな貢献をした。

3回だった。美馬が1死後に四球、安打、安打で作った満塁ピンチ。2番・坂口に死球をぶつけて、これが押し出しの先制失点に。なおもピンチで3番・山田、4番・バレンティンというシーンだ。山田を空三振に仕留めた直後、4番・バレンティンの痛打が美馬の真正面を襲う。この打球に美馬が咄嗟にグラブを出し、身体直撃を回避する行動。グラブに当たった打球は大きく跳ねて2塁ベース付近へ。中前へ抜ければ走者1人、2人帰ってくるであろうという場面を、茂木が球際で良く追いついて1塁送球アウトにしている。

ベテラン、中堅どころがイマイチ元気のないチームにおいて、2カード連続の勝ち越しに導く原動力になったのは、ポテンシャルを秘めた新戦力の活躍である。

両軍のスタメン

ヤクルト=1番・大引(遊)、2番・坂口(左)、3番・山田(二)、4番・バレンティン(指)、5番・川端(三)、6番・畠山(一)、7番・雄平(右)、8番・中村(捕)、9番・ジェフン(中)、先発・古野(右投)

楽天=1番・岡島(右)、2番・藤田(二)、3番・茂木(遊)、4番・枡田(指)、5番・銀次(一)、6番・聖澤(左)、7番・内田(三)、8番・足立(捕)、9番・オコエ(中)、先発・美馬(右投)

最後までハラハラドキドキの3時間35分

若鷲の活躍劇で逆転したイーグルスは直後の6回表、先頭の3番・山田による三塁線突破のツーベースで正念場を迎えていた。その後、2死3,1塁でバッターボックスは左の雄平。ここで梨田監督は好投する先発・美馬を諦め、左腕の金刃にスイッチする。この指揮官の采配もズバリ決まったのも大きかった。金刃は初球で雄平を二ゴに仕留め、7回以降のブルペンリレーに託す。

終盤3イニングは7回青山、8回ミコライオ、9回松井裕のブルペンリレー。最後に松井裕が、あわや試合が振り出しに戻るかというフェンスぎりぎりの適時二塁打を浴びヒヤッとさせられたが、最後のアウトを楽天も獲得調査していたジェフンから空三振で取ってゲームセット。

試合後のお立ち台には、6回途中1失点の粘投で5勝目を挙げた美馬に加え、プロ初の登壇になった足立と内田のニューフェイスが呼ばれている。

チームは交流戦に入り、若い戦力の力を起爆剤にして、交流戦5勝4敗の5位(パ4位)の好位置につけている。残り9試合になった交流戦の期間内で、是非5位に浮上したい。

これでチーム成績は6位、21勝34敗2分の勝率.382、借金13になった。

ゲーム差は1位・ソフトバンクと17.5、2位・ロッテと10.0、3位・日本ハムと7.5、4位・西武と6.0、5位・オリックスが負けたため縮めて1.5としている。

各種戦績は、6月4勝4敗、1点差試合7勝10敗、先制された試合10勝26敗、7回終了時にリードしている試合16勝4敗になった。

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