“松坂世代”初のプロ野球監督。30代指揮官・平石洋介が楽天イーグルスに残したもの

※本稿は前回記事『激震に揺れる楽天の令和元年オフ。わずか1年で瓦解した石井=平石体制と三木新監督に思うこと』と対になっているので、併読をお勧めします。

混パを鼻差で制し、就任1年目でAクラス

NPB史上39年ぶりの30代監督。松坂世代初の指揮官。球団史上初の生え抜き司令官。内外の注目を集めた平石洋介監督の挑戦は3位に終わった。

昨年はドン底から代行を引き受けて37勝41敗2分でチームの瓦解を防ぐと、今年は僕のような?「お手並み拝見」と斜に構えた“見物客”も多い狂騒曲のなか、実力拮抗のロッテとの3位争いを制し、チームを2年ぶり4度目のAクラスに導いた。

代行を含めた監督通算成績は108勝109敗6分。野村克也、星野仙一、梨田昌孝といった歴代の名将が届かなかった『就任1年目のAクラス』を達成させ、万年ほぼ借金生活の球団を率いて“約5割”の戦績。この実績を評価する関係者や野球好きは、きっと多いはずだ。

10/15、紅のネクタイとスーツに身を包んだ平石監督は球団事務所を訪れ、新設された2軍統括のポストを固辞、楽天退団の道を選んでいる。

「本当に仙台が好きですし。宮城県、東北が好きです。(中略) 思い入れは誰にも負けないくらい持っていますけど、そんな私でも、退団する決断をした。それが全てだと思います」。

この決別は、悔しさを滲ませた平石監督に非があるわけでもなく、現実主義者の石井GMが悪いという話でもなく、ただ両者の価値観が異なることに起因する。そして評価者で人事権を握るのが石井GMだったという点に過ぎない。

まさに“捨てる神あれば拾う神あり”で、他者が見れば評価は変わる。そのことを証明するかのように10/25スポーツ報知で「【ソフトバンク】平石洋介氏を1軍打撃コーチに招へい…楽天監督を退任したばかり」というビッグプレゼントな記事が報じられた。


想像を絶するだらしなさ

2019年の楽天を振り返るとき、前回記事に書いたように『3位にしかなれなかった』のも事実、一方で『よく健闘して混パの激戦を鼻差で勝った』のも、これまた事実なのだ。

今季の開幕は『想像を絶するだらしなさ』だった。開幕直前、則本昂大が全治4ヵ月の右肘関節鏡視下クリーニング手術を受け、前半戦ほぼ絶望。岸孝之も開幕戦で左太腿を負傷、責任投球回持たずに降板し、翌日抹消へ。背番号11が1軍復帰したのは約2か月後だった。

二枚看板まさかの故障を受けて、球団の管理体制に疑念を抱いたのは僕だけではないはず。石井GMは「慢性的な肘の損傷があり、突発的なものではない。メンテナンスとしての意味合いが強い」と釈明。慢性的な肘痛なら、なぜこのタイミングでメスを入れたのか? 昨年のうちにメディカルチェックを済ませて肘の患部を“お掃除”できなかったのか。そもそも球団は選手の健康診断を定期的に実施しているのか?いないのか?

同様のことは岡島豪郎にも当てはまる。正捕手・嶋基宏が2年連続でパフォーマンスを落とし、『捕手戦力の地盤沈下と世代交代』がこれ以上なく大きな課題として浮上するなか、、、

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