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【試合評】鷲のエースが見せたNPBでの完成形~5月10日○楽天5-0ロッテ

今シーズン2度目の零封勝利

エースが異次元のピッチングを展開した首位楽天が、最下位ロッテに快勝。
4月18日西武戦(○E2-0L)以来、今シーズン2度目の零封勝利で、今季初のカード負け越しを阻止した。

試合前のブルペンから絶好調だったという則本にとって、序盤2回までの先制5得点が、力強い援護点になった。

立ち上がりの1回表、いきなりのピンチだった。
通算対戦成績33打数10安打、打率.303を打たれていた1番・荻野貴に左中間二塁打を弾き返され、無死2塁でスタートした則本。
しかし、後続の2番・平沢にバントさせずの空三振に取り、3番・細谷を3球三振、4番・鈴木を151kmでねじ伏せての二ゴ。
楽天先発投手の開幕29試合初回連続無失点を決めると、その直後の初回、ビッグプレゼントが待っていた。

相手先発はスタンリッジ。
2番・ペゲーロの左安を皮切りに、4番・ウィーラー死球、5番・銀次四球と制球を乱して迎えた2死満塁、6番・アマダーに大当たりの一発が飛び出した。

アマダーといえば、5月もダメダー。
5月に入りヒットはわずかに1本。
今季2度目の4試合ノーヒットで本戦を迎えていた。
このカードは初戦から厳しい内角攻めに遭い、この打席も初球、2球とインコースを突かれていた。
特に2球目は胸元を突かれ、アマダーは巨体を大きくのけぞっての回避。
そんな中、ボール先行2-0からインロー147kmをすくい上げる完璧な一閃で応戦し、応援団が待つ左翼スタンドに叩き込む来日初、球団通算26本目の満塁ホームランで4点を先制した。

翌2回は1死1塁でエンドランが成功。
1番・茂木が内角の難しい球を右安を弾き返し、1死3,1塁と好機演出。
2番・ペゲーロの併殺崩れ二ゴ時に1点を加点、リードを5点に広げた。

黒のユニフォームに身をまとい、青のグラブを振りかぶって好投した則本は、序盤の大量援護もあって、マウンドを支配した。
2回以降はロッテ打線を散発4単打に抑えて、得点圏進出を許さない。
奪三振12で球団新記録になる『4試合連続二桁奪三振』を達成させ、9回をちょうど100球で投げ切る完封勝利で、今季4勝目を飾っている。

これでチーム成績は29試合21勝8敗の勝率.724。
貯金を今季最多タイ13に戻すと、ロッテ戦は4勝1敗、5月戦績5勝3敗。
ゲーム差は2位・ソフトバンク(5月7勝1敗)と2.5、3位・オリックスと5.0、4位・西武と7.5、5位・日本ハム(5月6勝2敗)と11.0、6位・ロッテと13.0とした。

両軍のスタメン

ロッテ=1番・荻野貴(中)、2番・平沢(遊)、3番・細谷(一)、4番・鈴木(二)、5番・福浦(指)、6番・清田(右)、7番・ダフィー(三)、8番・田村(捕)、9番・柴田(左)、先発・スタンリッジ(右投)

楽天=1番・茂木(遊)、2番・ペゲーロ(右)、3番・島内(中)、4番・ウィーラー(三)、5番・銀次(一)、6番・アマダー(指)、7番・岡島(左)、8番・藤田(二)、9番・足立(捕)、先発・則本(右投)

ダメダーがアマダーになった「奇跡の瞬間」

それにしても、初回のアマダーはよくホームランを放ったと思う。
前述したように、このカードの初戦(3打数0安打1三振2四球)、執拗な内角攻めに遭っていた。
33球勝負のうち、半数に当たる16球で田村はアマダーの懐にミットを構えるリード、ときには四球を出してもOKというかたちで先発チェン以下の投手陣に内角を攻めさせたのだ。

ご存じのとおり、アマダーはインコースが苦手である。

◎アマダー 年度別の内角打撃成績
※本戦試合前データ

上記表のとおり、数少ないアット・バットながらも存在感を見せた昨年でも、インコースは打率.190で本塁打ゼロだった。
今年は本戦試合前の時点で打率.150、ホームランも1本だけ。
対応に悩まされる課題のコースだった。

しかし、本戦ではその苦手をしっかり克服。
ボール先行2-0という打者有利カウントはあったが、それでも前日来の激しいインコース攻めに遭いながら、よく対応したと思う。

それにだ。あの打席は150km、149km、147kmという球速だった。
アマダーは当該打席に1球でも140km以上の球が混じると、その成績が著しく悪化する。

◎アマダー 当該打席に140kmが混ざったときと、混ざらないとき
※本戦試合前データ

全ての球が140km未満だったとき、OPS.988、打率.289、ISO.382、ホームラン9本と本領発揮するアマダーだが、140km以上の球が1球でも混ざるとOPS.521、打率.199、ISO.077に下がってしまう。
当該状況ではホームランもこれまで2本しか打てておらず、あの打席も苦戦確実と思われたアット・バットだったのだ。

「弱点のインコース」、「苦手の140km以上打席」。
二大ハードルを乗り越えてのグランドスラムは、アマダー復調の起点になるか?!

さて、則本の快投に話題を移したい。

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