【試合評】茂木のライバル、高梨をKOも、安楽悔しさいっぱいの119球~2016年9月10日●楽天イーグルス4-7日本ハム

ファイターズの「Vへの執念」に飲み込まれた敗戦

満員御礼の「がんばろう東北デー」、次期エース有力候補の安楽が、懸命に白球を投げ込んで立ち向かうも、前夜1位に立ち「Vへの執念」を見せたファイターズ打撃陣の前に、惜しくも屈するかたちになった。

3回と4回に両軍のスコアボードが激しく動く、そんな21回戦になった。

先手を取ったのはファイターズだ。3回表、1番・西川から始まる好打順。1番・西川のピッチャー返しが安楽を強襲。左足(かグラブを弾いたか)を直撃した打球が一本間に転がるのを、安楽が焦りながら処理。1塁への送球が悪送球になった。1ヒット1エラーで打者走者に二進を許す。

直後、2番・近藤に右中間後方を襲う先制二塁打を許すと、4番・大谷には甘く入ったスライダーを右中間スタンド上段、コボビジョンの真下まで飛ばされる2ランショットを被弾した。(楽0-3日)

日本ハムが長打攻勢を見せるなら、楽天も長打攻勢で応酬する。直後の3回裏、1番・岡島が高梨の速球を仕留め、ライナー性で右中間スタンドに突き刺す5号ソロ、3番・ペゲーロは2-2と追い込まれながらも逆球で内角に入ってきたフォークを上手くひろい、右翼席一直線への7号ソロ。これで楽天の本塁打は5試合連続になった。(楽2-3日)

翌4回、両軍2点ずつを取り合う。

安楽は味方得点直後の重要回、2死無走者から9番・中島卓とのフルカウント9球勝負に根負けし、1番・西川にも四球、2死2,1塁とした後、3番・近藤に左翼フェンス直撃の二塁打を浴び、この当たりで走者2人が本塁生還。1塁走者・西川のホームインは、本塁クロスプレーの末に判定セーフとなり、2点を失う。(楽2-5日)

その裏、楽天も高梨を2四球を絡めて2安打で2点を取った。1死1塁で8番・藤田と1塁走者・島内の安打でエンドランが成功。1,2塁間をゴロ突破する右安で島内が一気に三進して3,1塁のかたちを作ると、9番・足立の初球打ちは左前へのクリーンヒット。これで1点を返した。

なおも1死2,1塁、1番・岡島に高梨の投球がストライク入らない。ストレートの四球で歩いて塁が埋まると、ここで栗山監督がベンチを出た。二番手・井口vs2番・ペレスの勝負は、完全な4-6-3のゲッツーコース。しかし、ここで遊撃・中島卓の1塁転送送球が高めに上ずり、1塁はセーフ! この間、3塁走者がホームを踏んで2点目を挙げている。(楽4-5日)

両軍のスタメン

日本ハム=1番・西川(左)、2番・近藤(右)、3番・大谷(指)、4番・中田(一)、5番・田中賢(二)、6番・陽(中)、7番・レアード(三)、8番・大野(捕)、9番・中島卓(遊)、先発・高梨(右投)

楽天=1番・岡島(右)、2番・ペレス(左)、3番・ペゲーロ(指)、4番・ウィーラー(三)、5番・茂木(遊)、6番・中川(一)、7番・島内(中)、8番・藤田(二)、9番・足立(捕)、先発・安楽(右投)

がんばろう東北デーで1勝5敗1分

4-5と1点差に迫る中、先発・安楽は毎回走者の出塁を許す苦しい内容で球数も過多。5回で降板となり、6回から継投作戦に入った。

6回は9番・中島卓、1番・西川、2番・近藤と左が続く相手の攻撃で、マウンドに登った二番手は金刃。この金刃が打ち取った三ゴをウィーラーがファンブルしたエラー出塁の後、3番・大谷にバックスクリーン右へ運ばれる2ランを被弾(投げ切った内角投球を上手く打たれてしまったという一発)。

この一発、楽天の戦意を挫くには十分すぎる当たりになり、イーグルスは6回以降、日本ハムのブルペンリレーの前に僅か1安打に封じられ、結局、4-7で敗戦。チームは3連敗を喫した。

2012年から始まった「がんばろう東北デー」の戦績は下記のとおり、これで1勝5敗1分となり、その意図とは裏腹なかたちになっている。

◎がんばろう東北デーの戦績

2012年10月4日西武戦(△E5-5L)
2013年10月3日ロッテ戦(●E6-7M)
2014年9月27日西武戦(●E3-4L)
2015年9月18日オリックス戦(●E5-7Bs)
2015年9月19日オリックス戦(●E1-9Bs)
2015年9月20日オリックス戦(○E2-0Bs)
2016年9月10日日本ハム戦(●E4-7F)

球際好守を見せたウィーラーのガッツあるプレー

敗色濃厚の中、ガッツあるプレーを見せたのは4番・サードで出塁したウィーラーだ。正面平凡ゴロを弾いてしまうエラーはあったものの、球際で執念を見せる好プレーがあった。

3回の4番・中田の三邪飛は三塁側フィールド席の手すりを乗り越えて、観客席に身体が飛び込み、ずり落ちそうになりながらの好捕。8回の1番・西川の三ゴは三塁線突破の長打コースのゴロ打球をダイビングキャッチで阻止し、取ってすぐさま1塁に投げて好プレー。

9回は5番・田中賢の三塁ベンチ直前に打ち上げたフライファウルを、ウィーラーが三塁ベンチのフェンス激突リスクを恐れず、果敢にスライディングキャッチを試み、グラブにかするも惜しくも取れず。しかし、その前の2つの球際好守が伏線となり、場内からはガッツあるプレーに温かい拍手が寄せられた。

これでチーム成績は4位、124試合55勝66敗3分の勝率.455、借金は11に。ゲーム差は1位・日本ハムと19.5、2位・ソフトバンクと18.0、試合のなかった3位・ロッテとは0.5開いて9.0、5位・西武がソフトバンクを降して1.0に迫り、6位・オリックスとは6.0になった。

各種戦績は、後半戦21勝21敗1分、9月2勝6敗、日本ハム戦6勝15敗、コボスタ31勝29敗1分、先制された試合24勝52敗としている。

高梨をKOできたのは大きい

ミラクルイーグルスはもはや風前の灯になってしまったが、この試合、収穫がなかったわけではない。茂木と激しく新人王を争そう相手先発・高梨を4回途中でマウンドから引きずりおろし、その10勝を阻止し、防御率を悪化させることができた。その茂木はこの日3の0に終わり、打率を.282から.279に下げ、月27日オリックス戦から続いた連続試合安打も11で途切れたが、チームとしてはナイスな援護ができた一戦になっている。

安楽、悔しさいっぱい...

それにしても、安楽は悔しさいっぱいだったかもしれない。5失点は自己ワーストタイだ。

「立ち上がりはボールもきていましたし、ピンチも切り抜けられたんですが、やっぱり3回、4回の失点が悔やまれます。特に4回は、点を取ってもらった直後でしたし、なんとか抑えないといけない場面。2アウトから四球、四球でピンチを広げての失点だったので...  こういうピッチングをしていると悪循環を繰り返してしまいますし、反省しないといけないと思っています」と降板後の本人談だ。

安楽の球数を、ゴロ凡打、フライ・ライナー凡打、空振り、見逃しストライク・・・など8項目の投球結果別に表した下記棒グラフが示すとおり、この日の119球はプロ入り後、ワーストの内容だったことが分かる。

というのは、、、

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