【試合評】 今夜ミラクルイーグルスは「期待」から「確信」へ~2016年8月27日○楽天イーグルス7-6オリックス

自力CS復活。今宵、ミラクルイーグルスは「期待」から「確信」へ

「夢と感動」。雨中にも関わらず満員御礼で湧いたkoboスタ宮城、その中、今シーズンのチームスローガンを最も良く表現した3時間8分が、ここにあった。間違いなく今季の指折りベストゲームである。

最大5点差からの逆転勝利は、2010年9月4日の西武戦、9回裏に一挙6得点で5点差をひっくり返して○E7x-6(奇しくも本戦と同じスコアだ)で勝利したサヨナラゲーム以来、実に約6年ぶりの快挙になった。

9回裏、松井裕が最後のアウトを奪うのと前後して、テレビ朝日系列では「神様に選ばれた試合」の放送が始まった。2013年日本シリーズ、田中将大日本最後の15球、その舞台裏に迫ったドキュメンタリー番組だ(録画済だが、まだ見てない)。

今宵の3時間8分は、その番組名と同じく、まさに「神様に選ばれた試合」。3位との最大13.5ゲーム差をひっくり返してのAクラス入りを狙う、そのターニングポイントになる今季51勝目になった。

両軍のスタメン

オリックス=1番・糸井(右)、2番・西野(二)、3番・吉田正(左)、4番・T-岡田(指)、5番・中島(三)、6番・伊藤(一)、7番・ボグセビック(中)、8番・若月(捕)、9番・安達(遊)、先発・ディクソン(右投)

楽天=1番・島内(中)、2番・茂木(遊)、3番・銀次(一)、4番・ウィーラー(左)、5番・今江(三)、6番・アマダー(指)、7番・ペゲーロ(右)、8番・藤田(二)、9番・嶋(捕)、先発・則本(右投)

エース則本が吉田正尚に1試合2本塁打

6回表まで完全に相手のペース。

楽天の先発は則本。今季はコボスタで防御率2.25、6勝3敗と好成績を挙げていたエースが登板した。しかし、そこに立ちはだかったのが、敵軍のドラ1、吉田正尚である。

瀕する敵軍で173cmの小兵ながらも救世主的な槍働きを見せ始めている気鋭の左打者に、則本が初回の立ち上がりと4回、2打席連続で一発を食らった。

初回、2者連続三振。上々の立ち上がりで敵軍上位打線を軽くひねってゼロスタートかと思えた矢先のできごとだった。その初球、150kmストレートが高めに甘く入ったところを、フルスイングで一閃されて右中間スタンドへ。

4回は先頭の2番・西野を三振には取ったものの、捕手・嶋の捕逸で振り逃げ出塁を許した直後、無死1塁からの2ランだった。ボール先行2-1から低めに誘う変化球が上ずり、その失投を今度は右翼スタンドへ。ライトのペゲーロの足が一歩も動かないほどの放物線をかっ飛ばされた。(楽0-3オ)

則本が1試合で同一打者に2本のホームランを許したのは、ルーキーイヤーの5月18日ナゴヤドーム、中日の和田一浩に浴びて以来の屈辱になった。

中盤5回6回は味方エラーで崩れた

3点を追いかけた楽天は、直後の4回裏、7番・アマダーに2夜連続のホームランが飛び出している。外角高めに入った初球145kmを右翼ポール際、切れずに叩き入れる右本で1点を返す。(楽1-3オ)

反撃の気運にしたい一発だったが、直後の5回に1失点、6回に2失点。いずれの回も味方のエラーが失点につながった。

5回は1死無走者から8番・若月のバットが折れたボテボテゴロを三遊間で処理した遊撃・茂木が1塁カメラマン席行きの悪送球。この後、糸井に適時打を許した。6回は無死1塁、4番・T-岡田の打ち取った一ゴ。これをファースト銀次がお手玉にし、無死2,1塁にしてしまう。この後、5番・中島に左翼線への2点二塁打を許した。(楽1-6オ)

しかし、今夜はここで諦めなかった楽天である。直後の6回裏、ディクソンをマウンドから引きずりおろすことに成功した。

銀次が反撃の一発。アマダー、ペゲーロの2者連続本塁打

口火を切ったのは5番・銀次だった。やはり、この人の活躍なくしてイーグルスはありえない。直前に自らのエラーが絡んでの2失点を相当悔いていたのだろう。期する覚悟で入ったこの打席、1-0からの142kmを強い覚悟で一閃。右翼席へ運ぶ3号ソロが反撃の狼煙になった。

1死後、5番・今江。前日1500安打を決めたベテランが粘りに粘った。ディクソンが繰り出すナックルカーブ連投をファウルファウルでしのいだ後、三遊間深くに弾き返す内野安打出塁。続く6番・アマダーがセンター返しで2,1塁のチャンスを演出。2死後、藤田、嶋のバットから連続タイムリーが飛び出す。藤田は0-2と追い込まれながらも外角低め投球を上手く拾って左前へ、嶋はカーブ撃ちの二遊間をゴロで破るセンター返しの打撃を見せた。(楽4-6オ)

そして、終盤8回だ。点差を2点に縮めた楽天は、怒涛の「奇跡」を見せている。

まずは6番・アマダーだ。来日初の1試合2ホーマーとなるバックスクリーンへの中本を比嘉から打って1点差。

すると、7番・ペゲーロでオリックスベンチは比嘉から四番手・松葉にスイッチ。左対左を制したのはペゲーロ。まるで前夜の再現のような右翼場外行きの一発で同点に追いつく。(楽6-6オ)

この直後、8番・藤田が動揺隠せない敵軍の乱れを見逃さず、間髪入れずに初球を左中間へ二塁打を放ったのが、さらに良かった。送りバントで3塁に走者を送り込むと、1死3,1塁で2番・茂木、その初球、敵軍バッテリーに3塁走者が悠々生還するワイルドピッチが発生。これが勝ち越し点になっている。(楽6-7オ)

楽天は8回は青山、9回は松井裕がともに三者凡退投球。青山に今季初の白星がつくと、3連投の松井裕は28セーブ目。

デーゲームで3位・ロッテがソフトバンクに大敗して5連敗したこともあり。楽天は8月17日からの僅か11日間で3位とのゲーム差を13.0から6.5へ、一気に半減に成功する躍進になった。

これでチーム成績は4位、113試合51勝59敗3分の勝率.464。借金を5月18日以来の8へと減らした。

ゲーム差は1位・ソフトバンク、2位・日本ハムと18.0、3位・ロッテと6.5、5位・西武と3.0、6位・オリックスと8.5になった。

各種戦績は、後半戦17勝14敗1分、8月13勝8敗1分、直近10試合7勝2敗1分、オリックス戦10勝8敗1分、コボスタ29勝23敗1分、7回終了時に負けている試合5勝46敗1分になった。

他球団を震え上がらせる、本領発揮の外国人パワー

2試合連続で外国人3人に打点がつくゲームになった。

中でもアマダーだ。1試合2本塁打はそれぞれ大きな意味をもっていた。

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